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【重要事項説明】土砂災害防止対策推進法第10条第1項、第17条第1項(土砂災害特別警戒区域における特定開発行為の制限)|制度の概要と課題!?重要事項との関係、対象の地域とその理由!しっかり理解してがっちり土地利用。宅建・土地取引・投資のノウハウ!!

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土砂災害防止対策推進法(土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律は、土砂災害が発生するおそれがある土地の区域を明らかにし、警戒避難体制の整備と一定の開発行為の制限及び建築物の構造の規制に関する措置を定め、土砂災害の防止のための対策の推進を図ることを目的として2001(平成13)年に定められました。土砂災害防止対策推進法は「土砂災害防止法」とも略されます。

売買の対象となる敷地が土砂災害警戒区域内、土砂災害特別警戒区域に該当する場合には、重要事項説明が必要です。
 


なんとなくわかっているようで、詳しく説明しようとすると理解できていないものです。
これらを詳細に理解するには、経験と知識が必要です。
しかしながら、どのような規定があるのか概要を理解しておけば、そのような物件に巡り合ったときに気づきが生まれます。
これが重要なのです。
内容を理解しておかないと、買主からの「ここで家が建てれるの!用途や大きさの建築はできるの?」との質問に正確に答えることができません。
この記事では、不動産取引における重要事項説明のうち「土砂災害防止対策推進法」について解説しています
不動産取引や建築設計において都市計画や建築基準法などの制限を説明する際には正しい根拠とその内容を正確に買主に伝える必要があります。
建築士試験、重要事項説明などにおいて必須の知識となりますので、こちらの記事が参考になれば嬉しいです。
それでは、わかりやすくポイントを絞って解説します。

 

 

 

1 その他法令に基づく重要事項説明事項とは?

法令としては、宅建業法第35条第1項第2号の部分となります。

宅建業法第35条(重要事項の説明等)第1項第二号(抜粋)]
宅地建物取引業者は、宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の相手方若しくは代理を依頼した者又は宅地建物取引業者が行う媒介に係る売買、交換若しくは貸借の各当事者に対して、その者が取得し、又は借りようとしている宅地又は建物に関し、その売買、交換又は貸借の契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面(第五号において図面を必要とするときは、図面)を交付して説明をさせなければならない。

二 都市計画法建築基準法その他の法令に基づく制限で契約内容の別(当該契約の目的物が宅地であるか又は建物であるかの別及び当該契約が売買若しくは交換の契約であるか又は貸借の契約であるかの別をいう。)に応じて政令で定めるものに関する事項の概要

 

次に政令ですが、宅建業法施行令第3条となります。次の項では、この第3条について詳しく説明します。

都市計画法建築基準法制限一覧は、こちらの記事で解説しています。

 

ossan358.hatenablog.com

 

 

■ 都市計画法建築基準法以外のその他の法令に基づく制限

施行令第3条ですが、第1項が「宅地又は建物の貸借の契約以外の契約(売買)」について、第2項が「宅地の貸借の契約」について、第3項が「建物の貸借の契約」について規定されています。
大半が対象外となりますが、この内容を覚えておくことで、少しは重要事項説明漏れを防ぐことができると考えられます。

それでは、この記事ではその他の法令に基づく制限のうち『土砂災害防止対策推進法』について解説していきます。

 

 


2 土砂災害防止対策推進法(土砂災害防止法)とは

土砂災害防止対策推進法(土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律は、土砂災害が発生するおそれがある土地の区域を明らかにし、警戒避難体制の整備と一定の開発行為の制限及び建築物の構造の規制に関する措置を定め、土砂災害の防止のための対策の推進を図ることを目的として2001(平成13)年に定められました。
土砂災害防止対策推進法は「土砂災害防止法」とも略されます。

住民に土砂災害の危険性を認識してもらうとともに、土砂災害警戒区域・土砂災害特別警戒区域の指定を促進させるため、都道府県に対し、基礎調査の結果について公表することを義務付けています。

 

■基礎調査

渓流や斜面など土砂災害により被害を受けるおそれのある区域の地形、地質、土地利用状況など土砂災害警戒区域の指定及び土砂災害防止対策に必要な調査のこと。

土砂災害とは、急傾斜地の崩壊、土石流または地滑り(これを急傾斜地の崩壊等といいます)を発生原因として生じる被害のことです。
 

 

 

2-1 土砂災害警戒区域(イエローゾーン)

都道府県知事は、急傾斜地の崩壊等が発生した場合に、住民等の生命または身体に危険が生じるおそれがあると認められる区域土砂災害警戒区域(イエローゾーン)に指定することができ、危険の周知や警戒避難体制の整備が行われます。土砂災害警戒区域を「土砂災害防止法第7条第1項に該当する区域」と記載されることもあります。
危険の周知や警戒避難体制の整備というのは、①市町村地域防災計画への記載②災害時要援護者関連施設の経過避難体制③土砂災害ハザードマップによる周知の徹底④宅地建物取引における措置を指しています。

 

土砂災害警戒区域(イエローゾーン)内の宅地建物取引における措置

土砂災害警戒区域では、宅地建物取引業者は、当該宅地または建物の売買等にあたり、警戒区域内である旨について重要事項説明を行うことが義務付けられています。

 

2-2 土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)

都道府県知事は、土砂災害警戒区域のうち、急傾斜地の崩壊等が建築物に損壊が生じ、住民等の生命または身体に著しい危害が生じるおそれがあると認められる区域土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)として指定することができます。

土砂災害特別警戒区域内で、予定される建築物の用途が住宅・社会福祉施設・学校・医療施設等である場合は、原則として都道府県知事の許可を受けなければなりません。
また、許可を受けた後でも予定建築物の用途及びその敷地の位置を変更する場合は、原則として都道府県知事の許可が必要です。加えて、建築物の構造規制(想定される衝撃等に対して建築物の構造が安全かどうか)、建築物の移転等の勧告が行われます。土砂災害特別警戒区域を「土砂災害防止法第9条第1項に該当する区域」と記載されることもあります。

 

■土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)内の宅地建物取引における措置

土砂災害特別警戒区域では、宅地建物取引業者は、特別の開発行為において、都道府県の許可を受けた後でなければ当該宅地の広告、売買契約の締結を行うことはできず、当該宅地又は建物売買等にあたり、特定の開発の許可についての重要事項説明を行うことが義務付けられています。
 

詳しくは国土交通省のHPで確認することができます。

https://www.mlit.go.jp/river/sabo/sinpoupdf/gaiyou.pdf

 

 


3 重要事項説明:土砂災害特別警戒区域関係

土砂災害防止法第10条(特定開発行為の制限)
特別警戒区域内において、都市計画法第4条第12項に規定する開発行為で当該開発行為をする土地の区域内において建築が予定されている建築物(当該区域が特別警戒区域の内外にわたる場合においては、特別警戒区域外において建築が予定されている建築物を除く。以下「予定建築物」という。)の用途が制限用途であるもの(以下「特定開発行為」という。)をしようとする者は、あらかじめ、都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、非常災害のために必要な応急措置として行う行為その他の政令で定める行為については、この限りでない。

特定の用途を含む建築物の建築を目的とする開発行為(都市計画法)を行う者は、行為に着手する前に都道府県知事の許可を受けなさいとするものです。

次の該当する場合には、あらかじめ、都道府県知事の許可(技術基準が別途定められており、建築・土木的な知識が必要となります)が必要となります。

①土砂災害特別警戒区域内における開発行為を行う者
*土地の一部が特別警戒区域に含まれていても予定建築物の位置が区域外であれば許可不要

②開発行為後において建築する建築物の用途が制限用途(※)であること。
なお、次に行為に該当する場合には許可不要となります。
・非常災害のために必要な応急措置として行う開発行為
・仮設建築物の建築の用に供する目的で行う開発行為

※制限用途とは
住宅(自己の居住の用に供するものを除く。)、老人福祉施設老人介護支援センターを除く。)、有料老人ホーム、身体障害者社会参加支援施設、障害者支援施設、地域活動支援センター、福祉ホーム、障害福祉サービス事業(生活介護、短期入所、自立訓練、就労移行支援又は就労継続支援を行う事業に限る。)の用に供する施設、保護施設(医療保護施設及び宿所提供施設を除く。)、児童福祉施設児童自立支援施設を除く。)、障害児通所支援事業(児童発達支援又は放課後等デイサービスを行う事業に限る。)の用に供する施設、母子・父子福祉施設、母子健康包括支援センターその他これらに類する施設、特別支援学校、幼稚園、病院、診療所、助産所

 

重要事項説明においては、取引する土地が土砂災害特別警戒区域内であれば、この法第10条第1項の規定(制限用途を含む建築物の建築を目的とした開発行為)を説明します。
なお、土砂災害特別警戒区域内において建築物を建築する場合には、建築基準法において待ち受け擁壁の築造が必要となります。
 

 

 


4 土砂三法と土砂災害防止法の違い

土砂法(土砂災害防止対策推進法)は、土砂災害の被害を受ける土地への対策としての法律ですが、土砂三法は、そもそもの災害発生源の規制と対策工事について定めています。
土砂災害防止法は、土砂災害のおそれのある区域について、危険の周知、警戒避難体制の整備、住宅等の新規立地の抑制、既存住宅の移転促進などソフト対策を推進するものです。
また、土砂災害特別警戒区域内で住宅が絶対建てられないわけではないことに注意が必要です。

■定開発行為に対する許可制都道府県知事の許可があれば、宅地分譲や社会福祉施設・医療施設などの建築を行うための開発行為は、基準に従ったものに限って許可されます。
■建築物の構造規制:居室を有する建築物は、建築基準法で定められた構造耐力の基準に沿ったものに限って建築確認がおります。
■建築物の移転等の勧告:著しい損壊が生じるおそれのある建築物の所有者等に対し、移転の勧告が図られ、住宅金融支援機構の支援などが受けられます。

 

4-1 土砂災害のおそれのある区域の指定

土砂災害のおそれのある区域は次の手順で指定されます。

①土砂災害防止対策基本指針の作成(国土交通省:土砂災害防止対策の基本的事項、基礎調査の実施指針、土砂災害警戒区域等の指定指針等を作成
②基礎調査の実施(都道府県):区域指定及び土砂災害防止対策に必要な調査(地形、地質、土地利用状況等)を実施
③土砂災害のおそれのある区域土砂災害警戒区域、土砂災害特別警戒区域)の指定(都道府県)

 

 


■まとめ

いかがでしたか?
重要事項説明の一つである『土砂災害防止対策推進法』についての説明でした。
都道府県が実施する基礎調査の結果について公表が義務づけられることに伴い、宅地建物取引業者は、基礎調査の結果が公表されている場合にはその結果についても、取引判断に重要な影響を及ぼす事項として、購入者等に対して行う重要事項説明において説明することが望ましいとされています。
取引の対象となる不動産が、基礎調査により土砂災害のおそれがあると認められた区域内(土砂災害警戒区域等に相当する範囲)にある場合にはその旨と、当該範囲が土砂災害警戒区域等に指定される可能性があることを説明しなければなりません。
この基礎調査の結果について、故意に事実を告げず、または不実のことを告げる行為は、宅地建物取引業法第47条第1号に違反する場合があります。

■業務に関する禁止事項
宅地建物取引業法第47条第1号)
宅地建物取引業者は、その業務に関して、宅地建物取引業者の相手方等に対し、次に掲げる行為をしてはならない。
1 宅地もしくは建物の売買、交換もしくは賃借の契約の締結について勧誘をするに際し、またはその契約の申込みの撤回もしくは解除若しくは宅地建物取引業に関する取引により生じた債権の行使を妨げるため、次のいずれかに該当する事項について、故意に事実を告げず、または不実のことを告げる行為
イ 第35条第1項各号又は第2号各号に掲げる事項
ロ 第35条の2各号に掲げる事項
ハ 第37条第1項各号又は第2項各号(第1号を除く。)に掲げる事項
ニ イからハまで掲げるもののほか、宅地もしくは建物の所在、規模、形質、現在もしくは将来の利用の制限、環境、交通等の利便、代金、賃借等の対価の額もしくは支払方法その他の取引条件または当該宅地建物取引業者もしくは取引の関係者の資力もしくは信用に関する事項であって、宅地建物取引業者の相手方等の判断に重要な影響を及ぼすこととなるもの

調査した結果、売買の対象となる敷地が土砂災害警戒区域内、土砂災害特別警戒区域内に該当する場合には、制限の内容を調査するとともに、不動産の重要事項説明書の「土砂災害防止対策推進法」の項目にチェックをつけて、制限内容を説明する必要があります。
このような物件に関しては、物件の仲介業者は購入希望者に対して、その物件がどの「用途地域」に属するかとあわせて、制限についても必ず伝える義務があります。
少しでも疑問がある場合は、事前に担当の部署に確認し法チェックをしておきましょう。
不動産の取引・設計や投資の際には、買主や施主の要望を十分に理解して、リスクを回避するためにも理解をしておく必要がありますね。