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大規模災害からの復興に関する法律(大規模災害復興法)は、東日本大震災の経験を踏まえ、大規模な災害からの復興の枠組みをつくる法律で、2013(平成25)年に定められました。
売買の対象となる不動産が届出対象区域内に該当する場合には、重要事項説明が必要です。
なんとなくわかっているようで、詳しく説明しようとすると理解できていないものです。
これらを詳細に理解するには、経験と知識が必要です。
しかしながら、どのような規定があるのか概要を理解しておけば、そのような物件に巡り合ったときに気づきが生まれます。
これが重要なのです。
内容を理解しておかないと、買主からの「ここで家が建てれるの!用途や大きさの建築はできるの?」との質問に正確に答えることができません。
この記事では、不動産取引における重要事項説明のうち「大規模災害復興法」について解説しています。
不動産取引や建築設計において都市計画や建築基準法などの制限を説明する際には正しい根拠とその内容を正確に買主に伝える必要があります。
建築士試験、重要事項説明などにおいて必須の知識となりますので、こちらの記事が参考になれば嬉しいです。
それでは、わかりやすくポイントを絞って解説します。
1 その他法令に基づく重要事項説明事項とは?
法令としては、宅建業法第35条第1項第2号の部分となります。
[宅建業法第35条(重要事項の説明等)第1項第二号(抜粋)]
宅地建物取引業者は、宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の相手方若しくは代理を依頼した者又は宅地建物取引業者が行う媒介に係る売買、交換若しくは貸借の各当事者に対して、その者が取得し、又は借りようとしている宅地又は建物に関し、その売買、交換又は貸借の契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面(第五号において図面を必要とするときは、図面)を交付して説明をさせなければならない。
二 都市計画法、建築基準法その他の法令に基づく制限で契約内容の別(当該契約の目的物が宅地であるか又は建物であるかの別及び当該契約が売買若しくは交換の契約であるか又は貸借の契約であるかの別をいう。)に応じて政令で定めるものに関する事項の概要
次に政令ですが、宅建業法施行令第3条となります。次の項では、この第3条について詳しく説明します。
都市計画法・建築基準法制限一覧は、こちらの記事で解説しています。
■ 都市計画法・建築基準法以外のその他の法令に基づく制限
施行令第3条ですが、第1項が「宅地又は建物の貸借の契約以外の契約(売買)」について、第2項が「宅地の貸借の契約」について、第3項が「建物の貸借の契約」について規定されています。
大半が対象外となりますが、この内容を覚えておくことで、少しは重要事項説明漏れを防ぐことができると考えられます。
それでは、この記事ではその他の法令に基づく制限のうち『東日本大震災復興特別区域法』について解説していきます。
2 大規模災害からの復興に関する法律とは
大規模災害からの復興に関する法律(大規模災害復興法)は、東日本大震災の経験を踏まえ、大規模な災害からの復興の枠組みをつくる法律で、2013(平成25)年に定められました。
大規模災害が発生した場合、災害地域での生活再建や経済復興を迅速に図り、災害に対して安全な地域づくりを目的とします。そのために、政府による復興対策本部の設置や復興計画の作成、復興計画実施に係る特別の措置等を規定します。
大規模災害が発生した被災市町村は、復興整備事業実施区域の全部または一部の地域を、届出対象区域として指定することができます。
届出対象区域内で、土地の区画形質の変更、建築物その他の工作物の新築、改築・増築などをするときは、30日前までに市町村長に届出なければならず、届出事項を変更するときも同じです。
3 重要事項説明の内容
[宅建業法第35条(重要事項の説明等)第1項第二号(抜粋)]
宅地建物取引業者は、宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の相手方若しくは代理を依頼した者又は宅地建物取引業者が行う媒介に係る売買、交換若しくは貸借の各当事者に対して、その者が取得し、又は借りようとしている宅地又は建物に関し、その売買、交換又は貸借の契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面(第五号において図面を必要とするときは、図面)を交付して説明をさせなければならない。
二 都市計画法、建築基準法その他の法令に基づく制限で契約内容の別(当該契約の目的物が宅地であるか又は建物であるかの別及び当該契約が売買若しくは交換の契約であるか又は貸借の契約であるかの別をいう。)に応じて政令で定めるものに関する事項の概要
重要事項説明の対象となるのが、この大規模災害復興法第28条第4項及び第5項の対象となるのかどうかです。基本的には大規模災害復興法第28条第1項の規定による特定被災市町村が届出対象区域を指定されているかどうかがポイントとなります。
大規模災害復興法に基づく特定被災市町村となるかどうかについては、内閣府のホームページを確認し、大規模な災害を受けた地域であるかどうかを確認することが必要です。
▶️内閣府:大規模災害からの復興に関する法律 : 防災情報のページ - 内閣府
3-1 届出対象区域内における制限行為
第三款 復興計画の実施に係る特別の措置
【大規模災害復興法第28条(届出対象区域内における建築等の届出等)・・・抜粋】
特定被災市町村は、計画区域のうち、復興整備事業の実施区域の全部又は一部の区域を、届出対象区域として指定することができる。
2〜3 (略)
4 届出対象区域内において、土地の区画形質の変更、建築物その他の工作物の新築、改築又は増築その他政令で定める行為をしようとする者は、当該行為に着手する日の30日前までに、内閣府令で定めるところにより、行為の種類、場所、設計又は施行方法、着手予定日その他内閣府令で定める事項を特定被災市町村長に届け出なければならない。ただし、次に掲げる行為については、この限りでない。
一 通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で政令で定めるもの
二 非常災害のため必要な応急措置として行う行為
三 国又は地方公共団体が行う行為
四 復興整備事業の施行として行う行為
届出対象区域内においては、次に該当する行為を行う場合に届出が必要となります。
基本的には土地の区画や形質を変えるような行為や建築物の新築(木造2階以下などの簡易な建築物を除く)を行う場合です。
【届出が必要となる行為】
- 土地の区画形質の変更
- 建築物、工作物の新築・増築・改築
- 次の行為を除く
大規模な災害を受けた市町村において、届出対象区域として指定された区域内において建築物の建築などを行う場合に、工事着手の30日前までの届出(市町村長宛)が必要となるということです。
3-2 届出対象区域内における制限行為(変更)
【大規模災害復興法第28条第5項】
前項の規定による届出をした者は、その届出に係る事項のうち内閣府令で定める事項を変更しようとするときは、当該事項の変更に係る行為に着手する日の30日前までに、内閣府令で定めるところにより、その旨を特定被災市町村長に届け出なければならない。
第5項の規定については、届出を行なった場合において変更する場合にも、変更に関する行為に着手する30日前までに特定被災市町村長に届出を行う必要があるというものです。
■まとめ
いかがでしたか?
重要事項説明の一つである『大規模災害復興法第28条第4項・第5項』についての説明でした。
売買等を行う宅地または建築物が法第28条第1項の届出対象区域として指定されているかどうかが重要です。
指定されているかどうかは、市町村のホームページで確認することが可能です。
調査した結果、売買の対象となる不動産が届出対象区域内に該当する場合には、制限の内容を調査するとともに、不動産の重要事項説明書の「大規模災害からの復興に関する法律」の項目にチェックをつけて、制限内容を説明する必要があります。
このような物件に関しては、物件の仲介業者は購入希望者に対して、その物件がどの「用途地域」に属するかとあわせて、制限についても必ず伝える義務があります。
少しでも疑問がある場合は、事前に担当の部署に確認し法チェックをしておきましょう。
不動産の取引・設計や投資の際には、買主や施主の要望を十分に理解して、リスクを回避するためにも理解をしておく必要がありますね。