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【重要事項説明】水害ハザードエリアが追加!もう知らいないとはいえません。令和2年8月28日施行

宅建業法施行規則第16条4の3(法第35条第1項第14号イの国土交通省令内閣府及び同号ロの国土交通省令で定める事項)に新たに「3の2」が追加されました。

これにより、物件の位置が洪水ハザードエリアの中であれば重要事項説明が必要です。

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法が施行され1年以上経過していますが、いまだに理解されていない方も多いようですので、改めて解説します。

 

 

 

1 今回の改正内容

主旨は、近年、水災害が頻発・激甚化しているので、ハザードマップに当該物件の位置を明示して浸水深や避難場所、避難経路などを説明しなさいというものです。

不動産取引を行う物件が洪水等ハザードマップ(水防法第15条第3項)の浸水エリアに該当している場合には、そのことについて説明するというものです。

 

宅建業法施行規則第16条の4の3第3の2号】

水防法施行規則第11条第1号の規定により当該宅地又は建物が所在する市町村の長が提供する図面に当該宅地又は建物の位置が表示されているときは、当該図面における当該宅地又は建物の所在地

 

水防法施行規則第11条第1号についても確認しておきましょう。

 

 【水防法施行規則第11条第1号(市町村地域防災計画において定められた事項を住民等に周知させるための必要な措置)】

法第15条第3項の住民、滞在者その他の者(以下この条において「住民等」という。)に周知させるための必要な措置は、次に掲げるものとする。

一 第2条第1号及び第2号※1、第5条第1号及び第2号※2並びに第8条第1号及び第2号※3に掲げる事項を表示した図面に市町村地域防災計画において定められた法第15条第1項各号※4に掲げる事項(次のイ又はロに掲げる区域をその区域に含む市町村にあっては、それぞれイ又はロに定める事項を含む。)を記載したもの(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録を含む。)を、印刷物の配布その他の適切な方法により、各世帯に提供すること。

イ 土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(平成12年法律第57号)第7条第一項の土砂災害警戒区域 同法第8条第3項に規定する事項

ロ 津波防災地域づくりに関する法律(平成23年法律第123号)第53条第1項の津波災害警戒区域 同法第55条に規定する事項

 

※1:洪水浸水想定区域のエリア及び浸水深

※2:雨水出水(内水)浸水想定区域のエリア及び浸水深

※3:高潮浸水想定区域のエリア及び浸水深

※4:洪水ハザードマップに記載する付帯情報(避難所や避難施設、医療・福祉施設の位置などの)

 

 

 

2 いつから説明が義務付けられたの?

令和2年8月28日以降の、不動産物件の重要事項説明については、水災害に関するリスクを説明することが必要です。

 

 

 

3 説明する内容とは?

重要事項説明において、対象物件についての洪水等ハザードマップ(水防法第15条第3項)に記載された内容を説明します。

基本的な事項は、次のとおりです。

  • 浸水想定区域の名称(洪水・内水・高潮のいずれか)と浸水深

ただし、国が公表している重要事項説明の解釈においては、このエリア及び浸水深のみならず、洪水ハザードマップに公表されている内容についても説明することが望ましいとあります。

要するに、避難所や避難路、避難経路などの情報についても記載しましょうということです。

なお、洪水浸水想定区域については、想定最大規模と計画規模、家屋倒壊等氾濫想定区域などの種類がありますので勝手に判断せずに自治体の窓口やHPを確認しましょう。

【水防法第15条第3項(ハザードマップ)】

浸水想定区域をその区域に含む市町村の長は、国土交通省令で定めるところにより、市町村地域防災計画において定められた第一項各号に掲げる事項を住民、滞在者その他の者(第15条の11において「住民等」という。)に周知させるため、これらの事項(次の各号に掲げる区域をその区域に含む市町村にあつては、それぞれ当該各号に定める事項を含む。)を記載した印刷物の配布その他の必要な措置を講じなければならない。

一 土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律第7条第1項の土砂災害警戒区域 同法第8条第3項に規定する事項

二 津波防災地域づくりに関する法律第53条第1項の津波災害警戒区域 同法第55条に規定する事項

 

 

4 重要事項説明時の注意点は?

浸水想定区域を国や都道府県が公表の後、市町村のハザードマップの改訂までのタイムラグがある点です。

取引時のリスクを減らすためにも、国や都道府県が水防法第14条、同法第14条の2、第14条の3に基づき公表している洪水浸水想定区域を確認しておくことも必要かと思います。

また、周辺に複数の河川がある場合、その河川ごとに浸水想定区域が公表されていますので、この点も注意しましょう。



 

5 洪水浸水想定区域の種類

浸水想定区域には、次のような種類があります。

複数該当する可能性がありますので注意が必要です。

特に、家屋倒壊等氾濫想定区域は家屋が倒壊する可能性あるエリアになり、人命に直結する可能性があります。

  • 想定最大規模降雨:想定し得る最大規模の降雨(1,000年に1回程度)
  • 計画規模降雨:河川整備計画の多雨とする降雨(概ね50~100年に1回程度の降雨)
  • 家屋倒壊等氾濫想定区域:洪水時に家屋の流出・倒壊をもたらすような氾濫発生区域
  • ①氾濫流:家屋の流出・倒壊をもたらす洪水の氾濫流
  • ②河岸浸食:家屋の流出・倒壊をもたらす洪水時の河岸浸食



6 宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方(平成13年国総動第3号)

宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方については、国土交通省より次のよう通達がでていますので確認ください。

 

水防法の規定による図面における宅地又は建物の所在地について(規則第16条の4の3第3号の2関係)

本説明義務は、売買・交換・貸借の対象である宅地又は建物が水防法(昭和24年法律第193号)に基づき作成された水害(洪水・雨水出水(以下「内水」という。)・高潮)ハザードマップ(以下「水害ハザードマップ」という。)上のどこに所在するかについて消費者に確認せしめるものであり、取引の対象となる宅地又は建物の位置を含む水害ハザードマップを、洪水・内水・高潮のそれぞれについて提示し、当該宅地又は建物の概ねの位置を示すことにより行うこととする。

本説明義務における水害ハザードマップは、取引の対象となる宅地又は建物が存する市町村(特別区を含む。以下同じ。)が配布する印刷物又は当該市町村のホームページ等に掲載されたものを印刷したものであって、当該市町村のホームページ等を確認し入手可能な最新のものを用いることとする。

当該市町村に照会し、当該市町村が取引の対象となる宅地又は建物の位置を含む水害ハザードマップの全部又は一部を作成せず、又は印刷物の配布若しくはホームページ等への掲載等をしていないことが確認された場合は、その照会をもって調査義務を果たしたことになる。この場合は、提示すべき水害ハザードマップが存しない旨の説明を行う必要がある。

なお、本説明義務については、水害ハザードマップに記載されている内容の説明まで宅地建物取引業者に義務付けるものではないが、水害ハザードマップが地域の水害リスクと水害時の避難に関する情報を住民等に提供するものであることに鑑み、水害ハザードマップ上に記載された避難所について、併せてその位置を示すことが望ましい。

また、水害ハザードマップに記載された浸水想定区域に該当しないことをもって、水害リスクがないと相手方が誤認することのないよう配慮するとともに、水害ハザードマップに記載されている内容については今後変更される場合があることを補足することが望ましい。

 

 

 

7 まとめ

今回の改正で、水災害のリスクについても重要事項の対象となったのは、不動産業者・買主双方にとって、水災害のリスクについて理解する良い機会になります。

特に、業者にとっては、ただ単にハザードマップを添付すればよいというものでなく、その内容についても理解し説明する必要があるからです。(説明できないような業者とは、縁を切りましょう)

また、想定最大規模以外にも頻発する水災害(内水)についても買主は認識することとなるため、建築計画に配慮する方も増えてくると思います。