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【重要事項説明】急傾斜地法第7条(急傾斜地崩壊危険区域内の制限)|制度の概要と課題!?重要事項との関係、対象の地域とその理由!しっかり理解してがっちり土地利用。宅建・土地取引・投資のノウハウ!!

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急傾斜地法(急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律)は、急傾斜地の崩壊による災害から人命を守るため、急傾斜地の崩壊を防止するために必要な措置を講じることを目的として1969(昭和44)年に定められました。

売買の対象となる敷地が急傾斜地崩壊危険区域内に該当する場合には、重要事項説明が必要です。なんとなくわかっているようで、詳しく説明しようとすると理解できていないものです。

これらを詳細に理解するには、経験と知識が必要です。

しかしながら、どのような規定があるのか概要を理解しておけば、そのような物件に巡り合ったときに気づきが生まれます。

これが重要なのです。

内容を理解しておかないと、買主からの「ここで家が建てれるの!用途や大きさの建築はできるの?」との質問に正確に答えることができません。

この記事では、不動産取引における重要事項説明のうち「急傾斜地法」について解説しています

不動産取引や建築設計において都市計画や建築基準法などの制限を説明する際には正しい根拠とその内容を正確に買主に伝える必要があります。

建築士試験、重要事項説明などにおいて必須の知識となりますので、こちらの記事が参考になれば嬉しいです。

それでは、わかりやすくポイントを絞って解説します。

 

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1 その他法令に基づく重要事項説明事項とは?

法令としては、宅建業法第35条第1項第2号の部分となります。

 宅建業法第35条(重要事項の説明等)第1項第二号(抜粋)]

宅地建物取引業者は、宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の相手方若しくは代理を依頼した者又は宅地建物取引業者が行う媒介に係る売買、交換若しくは貸借の各当事者に対して、その者が取得し、又は借りようとしている宅地又は建物に関し、その売買、交換又は貸借の契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面(第五号において図面を必要とするときは、図面)を交付して説明をさせなければならない。

 

二 都市計画法建築基準法その他の法令に基づく制限で契約内容の別(当該契約の目的物が宅地であるか又は建物であるかの別及び当該契約が売買若しくは交換の契約であるか又は貸借の契約であるかの別をいう。)に応じて政令で定めるものに関する事項の概要

 

次に政令ですが、宅建業法施行令第3条となります。次の項では、この第3条について詳しく説明します。

都市計画法建築基準法制限一覧は、こちらの記事で解説しています。

 

ossan358.hatenablog.com

 

■ 都市計画法建築基準法以外のその他の法令に基づく制限

施行令第3条ですが、第1項が「宅地又は建物の貸借の契約以外の契約(売買)」について、第2項が「宅地の貸借の契約」について、第3項が「建物の貸借の契約」について規定されています。

大半が対象外となりますが、この内容を覚えておくことで、少しは重要事項説明漏れを防ぐことができると考えられます。

 それでは、この記事ではその他の法令に基づく制限のうち『急傾斜地法』について解説していきます。

 

 

 

2 急傾斜地法とは

急傾斜地法(急傾斜地崩壊危険区域)は、急傾斜地の崩壊による災害から人命を守るため、急傾斜地の崩壊を防止するために必要な措置を講じることを目的として1969(昭和44)年に定められました。

簡単にいうとがけ崩れ対策のための法律です。

都道府県知事は、崩壊するおそれのある急傾斜地(傾斜度が30度以上で高さが5m以上ある土地)で、その崩壊により相当数の居住者の危害が生ずるおそれのあるものや、これに隣接する土地のうち、急傾斜地の崩壊が助長されたり誘発されるおそれがないようにするために、一定の行為を制限する必要がある土地の区域を急傾斜地崩壊危険区域として指定することができます。

急傾斜地崩壊危険区域内で、水の放流、法(のり)切・切土・盛土・掘削、立木竹の伐採等の行為を行う場合は、原則として都道府県知事の許可が必要です。

 

2-1 急傾斜地崩壊危険区域内における制限行為

(急傾斜地法第71項)

急傾斜地崩壊危険区域内の制限

l  水を放流し、または停滞させる行為その他水のしん透を助長する行為

l  ため池、用水路その他の急傾斜地崩壊防止施設以外の施設または工作物の設置または改造

l  のり切、切土、掘さくまたは盛土

l  立木竹の伐採

l  木竹の滑下または地引による搬出

l  土石の採取または集積

l  その他、急傾斜地の崩壊を助長し、または誘発するおそれのある行為で政令で定めるもの

 

急傾斜地崩壊危険区域に指定される基準は、高さが5m以上、傾斜度が30度以上の崩壊するおそれのある急傾斜地で5戸以上の人家または5戸未満であっても公共施設などに危害が生じるおそれのある土地です。

一般的に、土地が傾斜地の場合、その土地の所有者が傾斜地の崩壊防止工事を行う必要がありますが、急傾斜地崩壊危険区域に指定された場合、都道府県が崩壊防止工事を行うことが多いです。ただし、所有者などその工事によって恩恵を受ける人(受益者)が一部費用を負担することもあります(受益者負担金)。

 

 

 

3 急傾斜地法と土砂災害防止法の違い

 ○急傾斜地法(昭和44年法律第57号)

[急傾斜地法 第1条]

この法律は、急傾斜地の崩壊による災害から国民の生命を保護するため、急傾斜地の崩壊を防止するために必要な措置を講じ、もつて民生の安定と国土の保全とに資することを目的とする。

 

ポイントとしては、「急傾斜地の崩壊」と「崩壊を防止するために必要な措置を講じ」です。

また、指定されると崖下に、危険区域を示す看板が設置されます。必ず一度は見たことあるのではないでしょうか。

 

目的:急傾斜地の崩壊防止対策などのハード整備が中心となっている(砂防法、地すべり防止法と同じ。急傾斜地法と合わせて土砂三法)    

指定される区域:急傾斜地崩壊危険区域

区域を指定する者:都道府県知事

区域内における制限:(建築等行為)建築物の建築や立木の伐採などの行為は、都道府県知事の許可が必要(第7条)

 

次に、土砂災害防止法です。

 

○土砂災害防止法(平成12年法律第57号)

[土砂災害防止法 第1条]

この法律は、土砂災害から国民の生命及び身体を保護するため、土砂災害が発生するおそれがある土地の区域を明らかにし、当該区域における警戒避難体制の整備を図るとともに、著しい土砂災害が発生するおそれがある土地の区域において一定の開発行為を制限し、建築物の構造の規制に関する所要の措置を定めるほか、土砂災害の急迫した危険がある場合において避難に資する情報を提供すること等により、土砂災害の防止のための対策の推進を図り、もって公共の福祉の確保に資することを目的とする。 

 

ポイントしては、「土砂災害」、「土砂災害が発生する恐れがある土地の区域」、「警戒避難体制の整備」、「一定の開発行為を制限」、「建築物の構造の規制に関する所要の措置」、「避難に資する情報を提供」の部分です。

 

目的:警戒避難体制の確保などのソフト的な取り組みが中心となっているほか、土砂災害の危険性があるエリアの開発や建築構造の制限を行っている

指定される区域:土砂災害警戒区域(イエローゾーン)、土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)

区域を指定する者:都道府県知事

区域内における制限:(特定開発行為)土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)内において、住宅(自己用を除く)、社会福祉施設、学校等の用途以外に供する建築物の建築を予定している開発行為は、都道府県知事の許可が必要(第10条)(建築行為)

・土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)内における居室を有する建築物は、建築基準法第6条第1項第四号区域内の建築物とみなされる

・土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)内における居室を有する建築物の建築は、建築基準法施行令第80条の3に適合させる必要がある

 

建築基準法と関係してくるのは、土砂災害防止法の「土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)」内における建築物の建築を計画する場合です。

居室を有する建築物の建築を予定している場合には、次のポイントが重要です。

☑️建築基準法第6条第1項第四号に該当することとなるため、都市計画区域外などで四号建築物(木造2階建て延べ床面積130㎡程度の一戸建ての住宅など)を建築する場合には、建築確認申請が必要となります。

☑️建築基準法施行令第80の条の3、平成13年国交告383号に適合させる必要があります。

 

 

 

4 土砂法(土砂災害防止法)と急傾斜地法を含む土砂三法(砂防法・地すべり等防止法・急傾斜地法)の違い

 

土砂法(土砂災害防止法・土砂災害防止対策推進法)は、土砂災害の被害を受ける土地への対策としての法律ですが、急傾斜地法は、そもそもの災害発生源であるがけ崩れ対策について定めています。

急傾斜地崩壊危険区域なお、急傾斜地崩壊危険区域は区域内に設置される標識により確認することができます。

調査している物件が急傾斜地崩壊危険区域内にあるかについては、地域を所管している各土木事務所の窓口で確認します。

 

 

 

■まとめ

いかがでしたか?

重要事項説明の一つである『急傾斜地法』についての説明でした。

今回の解説のポイントとしては、急傾斜地法と土砂災害防止法の目的はそれぞれ違うこと、また、建築基準法と関係してくるのは、土砂災害防止法における土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)であるということでした。

なお、繰り返しとなりますが、砂防指定地は、地すべり防止区域、急傾斜地崩壊危険区域、土砂災害特別警戒区域に並んで危険が区域となりますので、売主に対する災害リスクの高さに関しては説明する必要があります。

調査した結果、売買の対象となる敷地が急傾斜地崩壊危険区域内に該当する場合には、制限の内容を調査するとともに、不動産の重要事項説明書の「急傾斜地法」の項目にチェックをつけて、制限内容を説明する必要があります。

このような物件に関しては、物件の仲介業者は購入希望者に対して、その物件がどの「用途地域」に属するかとあわせて、制限についても必ず伝える義務があります。

少しでも疑問がある場合は、事前に担当の部署に確認し法チェックをしておきましょう。

不動産の取引・設計や投資の際には、買主や施主の要望を十分に理解して、リスクを回避するためにも理解をしておく必要がありますね。