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【重要事項説明】森林法第第10条の2、第10条の11、第31条、第34条(森林開発における許可・制限)|制度の概要と課題!?重要事項との関係、対象の地域とその理由!しっかり理解してがっちり土地利用。宅建・土地取引・投資のノウハウ!!

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森林法は、森林計画、保安林その他の森林に関する基本的事項を定め、森林の保存培養と森林生産力の増進を図ることを目的として1951(昭和26)年に定められました。
売買の対象となる敷地が地域森林計画対象民有林、施行実施協定内、保安林予定森林、保安林に該当する場合には、重要事項説明が必要です。
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なんとなくわかっているようで、詳しく説明しようとすると理解できていないものです。
これらを詳細に理解するには、経験と知識が必要です。
しかしながら、どのような規定があるのか概要を理解しておけば、そのような物件に巡り合ったときに気づきが生まれます。
これが重要なのです。
内容を理解しておかないと、買主からの「ここで家が建てれるの!用途や大きさの建築はできるの?」との質問に正確に答えることができません。
この記事では、不動産取引における重要事項説明のうち「森林法」について解説しています
不動産取引や建築設計において都市計画や建築基準法などの制限を説明する際には正しい根拠とその内容を正確に買主に伝える必要があります。
建築士試験、重要事項説明などにおいて必須の知識となりますので、こちらの記事が参考になれば嬉しいです。
それでは、わかりやすくポイントを絞って解説します。

 

 


1 その他法令に基づく重要事項説明事項とは?

 
法令としては、宅建業法第35条第1項第2号の部分となります。

宅建業法第35条(重要事項の説明等)第1項第二号(抜粋)]
宅地建物取引業者は、宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の相手方若しくは代理を依頼した者又は宅地建物取引業者が行う媒介に係る売買、交換若しくは貸借の各当事者に対して、その者が取得し、又は借りようとしている宅地又は建物に関し、その売買、交換又は貸借の契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面(第五号において図面を必要とするときは、図面)を交付して説明をさせなければならない。

二 都市計画法建築基準法その他の法令に基づく制限で契約内容の別(当該契約の目的物が宅地であるか又は建物であるかの別及び当該契約が売買若しくは交換の契約であるか又は貸借の契約であるかの別をいう。)に応じて政令で定めるものに関する事項の概要

 

次に政令ですが、宅建業法施行令第3条となります。次の項では、この第3条について詳しく説明します。

都市計画法建築基準法制限一覧は、こちらの記事で解説しています。

ossan358.hatenablog.com

 

■ 都市計画法建築基準法以外のその他の法令に基づく制限

施行令第3条ですが、第1項が「宅地又は建物の貸借の契約以外の契約(売買)」について、第2項が「宅地の貸借の契約」について、第3項が「建物の貸借の契約」について規定されています。
大半が対象外となりますが、この内容を覚えておくことで、少しは重要事項説明漏れを防ぐことができると考えられます。

それでは、この記事ではその他の法令に基づく制限のうち『森林法』について解説していきます。

 

 


2 森林法とは

森林法は、森林計画、保安林その他の森林に関する基本的事項を定め、森林の保存培養と森林生産力の増進を図ることを目的として1951(昭和26)年に定められました。

森林は、天然林と人工林に分かれ、人工林については、植林により計画的な森林をつくるための森林計画を策定します。
森林計画には、国(農林水産大臣)が立てる全国森林計画に即して、都道府県知事が策定する地域森林計画(造林・伐採・林道整備などの基本計画)がたてられ、これを基に市町村が策定する市町村森林整備計画、さらにこれを基に各森林所有者が策定する森林施業計画があります。

 

 


3 林地開発許可

森林法第10条の2(抜粋)(開発行為の許可)
地域森林計画の対象となつている民有林(〜略〜)において開発行為(土石又は樹根の採掘、開墾その他の土地の形質を変更する行為で、森林の土地の自然的条件、その行為の態様等を勘案して政令※で定める規模をこえるものをいう。以下同じ。)をしようとする者は、農林水産省令で定める手続に従い、都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、次の各号の一に該当する場合は、この限りでない。
一 国又は地方公共団体が行なう場合
二 火災、風水害その他の非常災害のために必要な応急措置として行なう場合
三 森林の土地の保全に著しい支障を及ぼすおそれが少なく、かつ、公益性が高いと認められる事業で農林水産省令※2で定めるものの施行として行なう場合

※施行令第2条の3
専ら道路の新設又は改築を目的とする行為でその行為に係る土地の面積が1haを超えるものにあつては道路(路肩部分及び屈曲部又は待避所として必要な拡幅部分を除く。)の幅員3mとし、その他の行為にあつては土地の面積1haとする。

 

地域森林計画の対象となっている民有林を地域森林計画対象民有林といい、土地の形質の変更等の開発行為を行う場合は、都道府県知事の許可が必要です。地域森林計画対象民有林は、国有林と保安林以外のほとんどの森林が該当します。
なお、民有林でも、保安林である場合には、森林法第34条の制限がかかるので留意が必要です。

林地開発行為とは、土石の採掘や林地以外への転用などの土地の形質を行う1ha超えの開発行為のことです。
また、許可の基準としては、第2項に規定されており、「災害の防止」、「水の確保」、「水害の防止」、「環境の保全」などの基準が設けられています。なお、第2項に該当しない場合には、都道府県知事は、許可しなければならないと規定されています。

*森林計画区は林野庁のホームページで確認することができます。
>>都道府県知事がたてる「地域森林計画」:林野庁

 

重要事項説明においては、取引を行う土地が民有林に該当しているかどうかを、各都道府県が公表している地域森林計画にて確認します。各都道府県のホームページのほか、市町村の林務課などで確認することができるようになっています。

その上で、民有林に該当している場合には、『森林法第10条の2第1項』の規定を説明することとなります。
買主さんが土地購入後にどのような土地利用を予定しているのかによって、開発許可が必要となるかどうかが決まりますので、買主から十分にヒアリングを行った上で説明を行うことが望ましいと考えられます。

なお、森林法第10条の2第1項第三号の農林水産省令とは、都市計画事業や土地区画整理事業などとなっており、どちらかというと公共工事に近いイメージです。

 

 


4 施業実施協定

森林法第10条の11の6(施業実施協定の効力)
第10条の11の4第2項(前条第2項において準用する場合を含む。)の規定による認可の公告のあつた施業実施協定は、その公告のあつた後において当該施業実施協定の対象とする森林の森林所有者等又は当該森林の土地の所有者となつた者に対しても、その効力があるものとする。

市町村の区域内にある民有林の所有者は、一体として整備することが良いとされる森林について、市町村長の認可を受けて、森林施業の共同化のために必要な施設の整備に関する施業実施協定を締結することができ、施業実施協定の公告の後に森林の所有者になった者にも効力が及びます(承継効)
つまり、所有者が変更されても協定の効力は継続するというものです。
施業実施協定とは、森林ボランティア団体等と森林所有者が締結するもので、市町村長の認可受けて森林施業(森林育成のための造林、保育、伐採等の一連の森林に対する人為的行為)の共同化等を内容とする協定です。
継承効に関する規定ですが、通常、この手の実施協定は売主側で確実に把握していることが通例です。

 

 


5 保安林予定森林の制限

森林法第31条
都道府県知事は、前2条の規定による告示があつた保安林予定森林について、農林水産省令で定めるところにより、90日を超えない期間内において、立木竹の伐採又は土石若しくは樹根の採掘、開墾その他の土地の形質を変更する行為を禁止することができる。

予定森林とはいえ、保安林という最大限の保全を図っていこうとする森林に指定しようとする地区ですので、一定の行為制限が設定されています。
保安林予定森林における伐採や採掘、開墾等の制限の規定です。
都道府県知事による保安林予定森林の告示があった日から90日を超えない範囲において、伐採等の行為を禁止することができます。
取引する土地が森林である場合には、将来、保安林が指定される可能性がないか、行政(森林事務所など)に確認しておく必要があります。

保安林とは、土砂の流出を防いだり、水源を守るためなどの森林として、森林法にもとづき農林水産大臣が指定した山林で、現時点で生育しているか否かは問われません。目的を達成するために次の17種の保安林があります。

 

 

 

6 保安林・保安施設地区の行為制限

(法第34条第1項)
保安林においては、政令で定めるところにより、都道府県知事の許可を受けなければ、立木を伐採してはならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
一 法令又はこれに基づく処分により伐採の義務のある者がその履行として伐採する場合
二 次条第一項に規定する択伐による立木の伐採をする場合
三 第34条の3第1項に規定する間伐のための立木の伐採をする場合
四 第39条の4第1項の規定により地域森林計画に定められている森林施業の方法及び時期に関する事項に従つて立木の伐採をする場合
五 森林所有者等が第49条第1項の許可を受けて伐採する場合
六 第188条第3項の規定に基づいて伐採する場合
七 火災、風水害その他の非常災害に際し緊急の用に供する必要がある場合
八 除伐する場合
九 その他農林水産省令で定める場合

2 保安林においては、都道府県知事の許可を受けなければ、立竹を伐採し、立木を損傷し、家畜を放牧し、下草、落葉若しくは落枝を採取し、又は土石若しくは樹根の採掘、開墾その他の土地の形質を変更する行為をしてはならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
一 法令又はこれに基づく処分によりこれらの行為をする義務のある者がその履行としてする場合
二 森林所有者等が第四49条第1項の許可を受けてする場合
三 第188条第3項の規定に基づいてする場合
四 火災、風水害その他の非常災害に際し緊急の用に供する必要がある場合
五 軽易な行為であつて農林水産省令で定めるものをする場合
六 その他農林水産省令で定める場合

 

保安林においては、原則として都道府県知事の許可を受けなければ、立木の伐採等の行為をしてはなりません

保安林の種類ごとに、伐採の方法や面積などの許可基準が定められています。
山林を開発するには、まず樹木の伐採が必要ですが、保安林では伐採に対する規制が厳しく、結果として開発が困難となっています。
保安林・保安施設地区内では、立木の伐採許可、択伐・間伐の届出、伐採跡地への植栽の義務、土地の形質変更等の許可が規定されています。
基本的な考えとして、保安林については、伐採や土地の形質変更等は行えないものと認識しておいた方がよいということです。

ただし、保安林について保全するための必要な伐採等は認められています。
第1項の立木の伐採。第2項が立竹の伐採、立木の損傷、家畜の放牧、下草、落葉・落枝の採取、土石・樹根の採掘、土地の形質の変更となっています。

なお、保安林の保全に関する行為については許可が不要となります。

保安林 看板地域森林計画対象民有林、保安林に関する事項は都道府県または市町村で、施業実施協定に関する事項は市町村で確認することができます。
調査している山林が保安林の指定を受けているかどうかは、基本的に登記簿謄本を見て調べます。保安林の指定を受けているときは、地目の欄に保安林と表示されているのが原則です。
また、現地には保安林であることを示すために、道路沿いなどに看板や標識がたてられますが、確実ではないため、現在指定されているかどうかは、役所にある保安林台帳とその附属図面を閲覧して確認します。

 

 


■まとめ

いかがでしたか?
重要事項説明の一つである『森林法』についての説明でした。
調査した結果、売買の対象となる不動産が、地域森林計画対象民有林、保安林、保安林予定森林、施行実施協定内に該当する場合には、制限の内容を調査するとともに、不動産の重要事項説明書の「森林法」の項目にチェックをつけて、制限内容を説明する必要があります。
このような物件に関しては、物件の仲介業者は購入希望者に対して、その物件がどの「用途地域」に属するかとあわせて、制限についても必ず伝える義務があります。
少しでも疑問がある場合は、事前に担当の部署に確認し法チェックをしておきましょう。
不動産の取引・設計や投資の際には、買主や施主の要望を十分に理解して、リスクを回避するためにも理解をしておく必要がありますね。