OSSAN358’s ブログ

OSSANの日々の雑記ブログです

【重要事項説明】森林経営管理法第7条、第37条(経営管理権集積計画、経営管理実施配分計画)|制度の概要と課題!?重要事項との関係、対象の地域とその理由!しっかり理解してがっちり土地利用。宅建・土地取引・投資のノウハウ!!

このブログは、まちづくりや都市計画、不動産の取引や投資に関して役立つ情報をつぶやくOSSAN(オッサン)のブログです。良かったらブックマークを活用いただき、業務や調べものの時に活用してくれると励みになります。
森林管理経営法は、平成31年(2019年)に施行された新しい法律でして、経営管理が行われていない森林について、市町村が仲介役となり、森林所有者と担い手をつなぐ仕組みを構築できるものです。


なんとなくわかっているようで、詳しく説明しようとすると理解できていないものです。
これらを詳細に理解するには、経験と知識が必要です。
しかしながら、どのような規定があるのか概要を理解しておけば、そのような物件に巡り合ったときに気づきが生まれます。
これが重要なのです。
内容を理解しておかないと、買主からの「ここで家が建てれるの!用途や大きさの建築はできるの?」との質問に正確に答えることができません。
この記事では、不動産取引における重要事項説明のうち「森林経営管理法」について解説しています。
不動産取引や建築設計において都市計画や建築基準法などの制限を説明する際には正しい根拠とその内容を正確に買主に伝える必要があります。
建築士試験、重要事項説明などにおいて必須の知識となりますので、こちらの記事が参考になれば嬉しいです。
それでは、わかりやすくポイントを絞って解説します。

 

 


1 その他法令に基づく重要事項説明事項とは?

 
法令としては、宅建業法第35条第1項第2号の部分となります。

宅建業法第35条(重要事項の説明等)第1項第二号(抜粋)]
宅地建物取引業者は、宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の相手方若しくは代理を依頼した者又は宅地建物取引業者が行う媒介に係る売買、交換若しくは貸借の各当事者に対して、その者が取得し、又は借りようとしている宅地又は建物に関し、その売買、交換又は貸借の契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面(第五号において図面を必要とするときは、図面)を交付して説明をさせなければならない。

二 都市計画法建築基準法その他の法令に基づく制限で契約内容の別(当該契約の目的物が宅地であるか又は建物であるかの別及び当該契約が売買若しくは交換の契約であるか又は貸借の契約であるかの別をいう。)に応じて政令で定めるものに関する事項の概要

 

次に政令ですが、宅建業法施行令第3条となります。次の項では、この第3条について詳しく説明します。

都市計画法建築基準法制限一覧は、こちらの記事で解説しています。

ossan358.hatenablog.com

 

■ 都市計画法建築基準法以外のその他の法令に基づく制限

施行令第3条ですが、第1項が「宅地又は建物の貸借の契約以外の契約(売買)」について、第2項が「宅地の貸借の契約」について、第3項が「建物の貸借の契約」について規定されています。
大半が対象外となりますが、この内容を覚えておくことで、少しは重要事項説明漏れを防ぐことができると考えられます。
それでは、この記事ではその他の法令に基づく制限のうち『森林経営管理法』について解説していきます。

 

 


2 森林経営管理法とは

森林管理経営法は、平成31年(2019年)に施行された新しい法律でして、経営管理が行われていない森林について、市町村が仲介役となり、森林所有者と担い手をつなぐ仕組みを構築できるものです。

具体的には、都道府県知事が作成する「地域森林計画(森林法第5条第1項)」内において、市町村が経営管理権集積計画を定め、森林所有者から経営管理権を取得した上で、自ら経営管理を行うか、民間事業者に対して経営管理実施権を設定することができるものです。

経営管理集積計画では、計画区域の樹種や林齢、経営管理権の存続期間(基本的に15年以上)、経営管理の内容(保育間伐、犯罪、森林巡視など)などが定められており、作成した自治体は公告する必要があることから、市町村のホームページに掲載されています。

林野庁のサイトでも詳細に記載されているので、もう少し詳細に知りたい方はこちらのページを参照ください。

www.rinya.maff.go.jp


 

 

3 重要事項説明において説明しなければならない規定

森林経営管理法については、宅建業法施行令第3条第1項24の2号に規定されており、森林経営管理法第7条第3項と法第37条第3項が重要事項説明の対象となります。

3-1 森林経営管理法第7条第3項

【森林経営管理法第7条(経営管理権集積計画の公告等)】
市町村は、経営管理権集積計画を定めたときは、農林水産省令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を公告するものとする。
2 前項の規定による公告があったときは、その公告があった経営管理権集積計画の定めるところにより、市町村に経営管理権が、森林所有者に金銭の支払を受ける権利(以下「経営管理受益権」という。)が、それぞれ設定される。
3 前項の規定により設定された経営管理権は、第1項の規定による公告の後において当該経営管理権に係る森林の森林所有者となった者(国その他の農林水産省令で定める者を除く。)に対しても、その効力があるものとする。

承継効に関する規定となっており、経営管理権集積計画の公告区域内の森林所有者が売買等により変更されても、効力は引き続き継続するとするものです。
不動産取引においては取引する土地が経営管理集積計画の区域内であるかどうか、調査し、該当の有無を確認します。
経営管理集積計画の区域内に該当する場合には、その内容を売主から入手し、買主へ説明を行います。

 

3-2 法第37条第3項

【森林経営管理法第37条第1~3項(経営管理実施権配分計画の公告等)】
市町村は、経営管理実施権配分計画を定めたときは、農林水産省令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を公告するものとする。
2 前項の規定による公告があったときは、その公告があった経営管理実施権配分計画の定めるところにより、民間事業者に経営管理実施権が、森林所有者及び市町村に経営管理受益権が、それぞれ設定される。
3 前項の規定により設定された経営管理実施権は、第1項の規定による公告の後において当該経営管理実施権に係る森林の森林所有者となった者(国その他の農林水産省令で定める者を除く。)に対しても、その効力があるものとする。

法第37条第3項になり、こちらも同様に承継効に関する規定で、「経営管理実施権配分計画」に関する規定となります。
経営管理実施権配分計画については、市町村が経営管理権を有する森林について、民間事業者に経営管理実施権の設定を行おうとする場合に定める計画とされており、林業経営に適した森林に対して実施権が林業経営者に設定されるものです。
先に説明した経営管理権集積計画との違いは、

①集積計画が森林の経営管理を行う権利が市町村に設定されるのに対し、

②配分計画では集積計画により市町村に委託された森林の経営管理を民間事業者(意欲とノウハウを有する)に委託するための計画

となっていま   す。

 


■まとめ

いかがでしたか?
重要事項説明の一つである『森林経営管理法』についての説明でした。
調査した結果、売買の対象となる不動産が、経営管理権集積計画及び経営管理実施権配分計画に該当する場合には、制限の内容を調査するとともに、不動産の重要事項説明書の「森林経営管理法」の項目にチェックをつけて、制限内容を説明する必要があります。
このような物件に関しては、物件の仲介業者は購入希望者に対して、その物件がどの「用途地域」に属するかとあわせて、制限についても必ず伝える義務があります。
少しでも疑問がある場合は、事前に担当の部署に確認し法チェックをしておきましょう。
不動産の取引・設計や投資の際には、買主や施主の要望を十分に理解して、リスクを回避するためにも理解をしておく必要がありますね。