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【重要事項説明】首都圏近郊整備法第25条第1項、近畿圏近郊整備法第34条第1項(造成工事敷地権利処分の制限)|制度の概要と課題!?重要事項との関係、対象の地域とその理由!しっかり理解してがっちり土地利用。宅建・土地取引・投資のノウハウ!!

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首都圏近郊整備法とは、首都圏の近郊整備地帯及び都市開発区域の整備に関する法律といいます。また、近畿圏近郊整備法とは、近畿圏の近郊整備区域及び都市開発区域の整備及び開発に関する法律をいいます。

ビル街イラスト

首都圏及び近畿圏の近郊整備地帯及び都市開発区域の整備に関する法律(首都圏近郊整備法)は、首都圏の近郊整備地帯に計画的に市街地を整備し、都市開発区域を工業都市、住居都市その他の都市として発展させることを目的として定められました。

売買の対象となる新都市基盤整備法によって整備された箇所に該当する場合には、重要事項説明が必要です。

宅建業法施行令第3条に規定され、調査した結果、売買の対象なる不動産が、地方拠点法に関して指定のある区域等に該当する場合には、制限の内容を調査するとともに、不動産の重要事項説明書の項目にチェックをつけて、制限内容を説明する必要があります。

なんとなくわかっているようで、詳しく説明しようとすると理解できていないものです。

これらを詳細に理解するには、経験と知識が必要です。

しかしながら、どのような規定があるのか概要を理解しておけば、そのような物件に巡り合ったときに気づきが生まれます。

これが重要なのです。

内容を理解しておかないと、買主からの「ここで家が建てれるの!用途や大きさの建築はできるの?」との質問に正確に答えることができません。

この記事では、不動産取引における重要事項説明のうち「首都圏近郊整備法・近畿圏近郊整備法」について解説しています

不動産取引や建築設計において都市計画や建築基準法などの制限を説明する際には正しい根拠とその内容を正確に買主に伝える必要があります。

建築士試験、重要事項説明などにおいて必須の知識となりますので、こちらの記事が参考になれば嬉しいです。

それでは、わかりやすくポイントを絞って解説します。

 

 

 

1 その他法令に基づく重要事項説明事項とは?

法令としては、宅建業法第35条第1項第2号の部分となります。

宅建業法第35条(重要事項の説明等)第1項第二号(抜粋)]

宅地建物取引業者は、宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の相手方若しくは代理を依頼した者又は宅地建物取引業者が行う媒介に係る売買、交換若しくは貸借の各当事者に対して、その者が取得し、又は借りようとしている宅地又は建物に関し、その売買、交換又は貸借の契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面(第五号において図面を必要とするときは、図面)を交付して説明をさせなければならない。

 

二 都市計画法建築基準法その他の法令に基づく制限で契約内容の別(当該契約の目的物が宅地であるか又は建物であるかの別及び当該契約が売買若しくは交換の契約であるか又は貸借の契約であるかの別をいう。)に応じて政令で定めるものに関する事項の概要

 

次に政令ですが、宅建業法施行令第3条となります。次の項では、この第3条について詳しく説明します。

都市計画法建築基準法制限一覧は、こちらの記事で解説しています。

ossan358.hatenablog.com

 

1-2 都市計画法建築基準法以外のその他の法令に基づく制限

施行令第3条ですが、第1項が「宅地又は建物の貸借の契約以外の契約(売買)」について、第2項が「宅地の貸借の契約」について、第3項が「建物の貸借の契約」について規定されています。

大半が対象外となりますが、この内容を覚えておくことで、少しは重要事項説明漏れを防ぐことができると考えられます。

それでは、この記事ではその他の法令に基づく制限のうち『首都圏近郊整備法・近畿圏近郊整備法』について解説していきます。

 

 

 

2 首都圏近郊整備法・近畿圏近郊整備法とは

首都圏近郊整備法とは、首都圏の近郊整備地帯及び都市開発区域の整備に関する法律といいます。

また、近畿圏近郊整備法とは、近畿圏の近郊整備区域及び都市開発区域の整備及び開発に関する法律をいいます。

首都圏及び近畿圏の近郊整備地帯に計画的に市街地を整備し、都市開発区域を工業都市、住居都市その他の都市として発展させることを目的として定められました。

1950年代からの高度成長期に、東京を中心とする首都圏への人口・産業の集中は著しいものとなり、市街地の無秩序な拡大、居住環境の悪化、交通混雑、公共施設の不足、住宅不足などの弊害が深刻化されました。

これらに対処するため東京都を中心に、その周辺7県(首都圏:東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県・茨城県・栃木県・群馬県山梨県の1都7県)を一体とした広域的かつ総合的な首都圏整備が進められました。計画的に首都圏の中(近郊整備地帯)に工業都市を発展させることを目的としています。

工業団地造成事業とは、首都圏の近郊整備地帯または都市開発区域内において行われる工場の敷地の造成や、あわせて整備する道路・排水施設・鉄道などの造成や施設の整備に関する事業のことです。

工業団地造成事業により造成された工場敷地で、所有権・地上権・賃借権の権利の設定や移転を行う場合は、その造成工事の完了公告の日の翌日から起算して10年間は地方公共団体等の長の承認が必要となります。

詳しくは、国土交通省のホームページにより

www.mlit.go.jp

 

 

 

3 重要事項説明の対象となる条項と概要(宅建業法施行令第3条第1項第9・10号)

法律では、次のように規定されています。

 

首都圏近郊整備法第25条第1項、近畿圏近郊整備法第34条第1項

第19条第2項(*近畿圏近郊整備法:第26条第2項)の公告の日の翌日から起算して10年間は、造成工場敷地の所有権、地上権、質権、使用貸借による権利又は賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利の設定又は移転については、国土交通省令で定めるところにより、当事者が施行者であつた者の長の承認を受けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに掲げる場合は、この限りでない。

一 相続その他の一般承継により当該権利が移転する場合

二 滞納処分、強制執行、担保権の実行としての競売(その例による競売を含む。)又は企業担保権の実行により当該権利が移転する場合

三 土地収用法その他の法律により当該造成工場敷地が収用され、又は使用される場合

 

首都圏近郊整備法第25条第1項、近畿圏近郊整備法第34条第1項 のいずれも同じ制限(成工場敷地に関する権利の処分の制限)となります。

 

第19条第2項(*近畿圏近郊整備法:第26条第2項)の公告とは、工業団地造成事業(都市計画決定)が完了公告のことをいいます。完了公告から10年間は、造成工事敷地の所有権等の権利の設定等については、施行者(工業団地造成事業の施行者)の承認を受けなければならないとするものです。

 

重要事項説明として、まず、都市計画決定として「工業団地造成事業」の中にエリアであるかどうか②完了公告から10年間以内かどうかが大切なです。
承認を受けなくても良い権利設定として、相続、担保権実行としての競売、土地収用などが該当します。

また、工業団地造成事業という都市計画決定がどの程度指定されているかどうかですが、現在(令和2年都市計画現状調査*出典:国土交通省)、全国40都市、53地区、約5千8百haが指定されています。

 

 

 

■まとめ

いかがでしたか?

重要事項説明の一つである『首都圏近郊整備法・近畿圏近郊整備法』についての説明でした。

工業団地造成事業は、大半が昭和時代に完了しています。完了公告から10年間以内の地域の売買に係ることはほぼないかもしれません。

しかしながら、国土交通省が公表している都市計画現況調査に完了年月日が入っていない事業がいくつかあり、全くとはいえません。

今後、調査した結果、もし売買の対象となる不動産が工業団地造成事業の事業地に該当する場合には、制限の内容を調査するとともに、不動産の重要事項説明書の「首都圏近郊整備法、若しくは近畿圏近郊整備法」の項目にチェックをつけて、制限内容を説明する必要しなければなりません。

このような土地に関しては、土地の仲介業者は購入希望者に対して、その土地がどの「用途地域」に属するかとあわせて、制限についても必ず伝える義務があります。

少しでも疑問がある場合は、事前に担当の部署に確認し法チェックをしておきましょう。

不動産の取引・設計や投資の際には、買主や施主の要望を十分に理解して、リスクを回避するためにも理解をしておく必要がありますね。