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【重要事項説明】自然公園法って何?|自然公園の区域内における重説についてわかりやすく解説!

OSSANも「自然公園って何?」というくらい関わることが少ないかもしれません。

でも、意外と関連する区域は広く開発や売買の際には注意が必要です。

信用を失わないようにするためにイメージだけでも理解して、しっかりと法チェックにしましょう。

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土地利用の根本は、国土利用計画に基づく土地利用計画によって分類されています。

土地利用計画では、「都市地域」、「農業地域」、「森林地域」、「自然公園地域」、「自然保全地域」の5地域が定められています。

これにより、「都市地域」=「都市計画法」のように土地利用に関する規制が運用されています。

なので、重要事項の調査の場合は、それぞれの法律を担当する部局に調査が必要となります。

今回は、森林法(森林計画、保安林等の基本的事項を定めて、森林の保続培養と森林生産力の増進を図り、国土の保全と国民経済の発展に資することを目的した法律)の、宅建業法第35条の重要事項説明について解説します。

 

 

 

1 自然公園法に関して重要事項の対象項目

今回の自然公園法は、宅建業法第35条 ー 宅建業法施行令第3条第1項第17号に規定されており、次の事項が滋養事項にて買主に対し説明する必要があります。

  • 自然公園法第20条第3項:特別地域内の行為制限(許可)
  • 自然公園法第21条第3項:特別保護地区内の行為制限(許可)
  • 自然公園法第22条第3項:海域公園地区内の行為制限(許可)
  • 自然公園法第48条:風景地保護協定(国立公園、国定公園)の承継効
  • 自然公園法第73条第1項(利用調整地区に係る部分を除く。):都道府県立自然公園(特別地域内)の条例による行為制限

私有地として取引があり得るのは自然公園法第73条第1項の都道府県立自然公園があるようです。

 

 

 

2 特別地域内の行為制限

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自然公園法第20条第1項

(特別地域)

環境大臣は国立公園について、都道府県知事は国定公園について、当該公園の風致を維持するため、公園計画に基づいて、その区域(海域を除く。)内に、特別地域を指定することができる。

 

特別地域とは、環境大臣又は都道府県知事が自然公園(①国立公園・②国定公園)の風致を維持するために指定します。

国立公園については環境大臣国定公園については都道府県知事が指定します。

その他、特別地域内において③第1種・④第2種・⑤第3種が指定されます。

 

①国立公園

国の風景を代表するに足りる傑出した自然の風景地(海域の景観地を含む。)で環境大臣が指定するエリア

国定公園

国立公園に準ずる優れた自然の風景地で環境大臣が指定するエリア

③第1種特別地域

特別保護地区に準ずる景観を有し、特別地域のうちでは風致を維持する必要性が最も高い地域であつて、現在の景観を極力保護することが必要な地域

④第2種特別地域

第1種特別地域及び第3種特別地域以外の地域であつて、特に農林漁業活動についてはつとめて調整を図ることが必要な地域

⑤第3種特別地域

特別地域のうちでは風致を維持する必要性が比較的低い地域であつて、特に通常の農林漁業活動については原則として風致の維持に影響を及ぼすおそれが少ない地域

 

特別地域は、公園計画(国立公園又は国定公園の保護又は利用のための規制又は事業に関する計画)に基づき指定されるもので、法第20条第3項において行為の制限が設けられています。

重要事項説明においては、この法第20条第3項について説明の義務があります。

特別地域については、自然公園ごとの公園計画を確認することで特別地域(第1〜3種、後述する特別保護地区など)を確認することができますので、チェックが重要です。

 

 

 

2-1 特別地域内で制限を受ける行為

国立公園については環境大臣国定公園については都道府県知事の許可が必要となります。

 

自然公園法第20条第3項前段

特別地域(特別保護地区を除く。以下この条において同じ。)内においては、次の各号に掲げる行為は、国立公園にあつては環境大臣の、国定公園にあつては都道府県知事の許可を受けなければ、してはならない。ただし、非常災害のために必要な応急措置として行う行為又は第三号に掲げる行為で森林の整備及び保全を図るために行うものは、この限りでない。

  • 工作物の新築・改築・増築
  • 木竹の伐採
  • 環境大臣が指定する区域内において木竹を損傷する行為
  • 鉱物を掘採・土石を採取
  • 河川、湖沼等の水位又は水量に増減を及ぼさせること
  • 湖沼・湿原及びこれらの周辺1キロメートルの区域内において当該湖沼若しくは湿原又はこれらに流水が流入する水域若しくは水路に汚水又は廃水を排水設備を設けて排出すること
  • 広告物を掲出・設置、広告を工作物等に表示
  • 屋外において土石その他の環境大臣が指定する物を集積し、又は貯蔵すること
  • 水面を埋め立て・干拓
  • 土地を開墾しその他土地の形状を変更
  • 高山植物その他の植物で環境大臣が指定するものを採取し、又は損傷すること
  • 本来の生育地でない植物で、当該区域における風致の維持に影響を及ぼすおそれがあるものとして環境大臣が指定するものを植栽し、又は当該植物の種子をまくこと。
  • 山岳に生息する動物その他の動物で環境大臣が指定するものを捕獲し、若しくは殺傷し、又は当該動物の卵を採取し、若しくは損傷すること。
  • 環境大臣が指定する区域内において当該区域が本来の生息地でない動物で、当該区域における風致の維持に影響を及ぼすおそれがあるものとして環境大臣が指定するものを放つこと(当該指定する動物が家畜である場合における当該家畜である動物の放牧を含む。)。
  • 屋根、壁面、塀、橋、鉄塔、送水管その他これらに類するものの色彩を変更すること。
  • 湿原その他これに類する地域のうち環境大臣が指定する区域内へ当該区域ごとに指定する期間内に立ち入ること。
  • 道路、広場、田、畑、牧場及び宅地以外の地域のうち環境大臣が指定する区域内において車馬若しくは動力船を使用し、又は航空機を着陸させること。
  • 特別地域における風致の維持に影響を及ぼすおそれがある行為で政令(おそらく政令未指定)で定めるもの

上記の行為について、環境省令で定める基準(自然公園法施行規則第11条)に適合しないものについては、許可ができません(自然公園法第20条第4項)。

 

基準や取り扱い、様式については環境省のホームページを参照ください。

>>環境省のホームページ

www.env.go.jp

 

 

 

3 特別保護地区内の行為制限

特別地域内と変わりませんが、より環境保護に重点が置かれた地域となっています。

特別保護地区は、特別地域内に定められる最も制限の厳しい区域です。特別保護地区内の取引は基本的に考えられませんが、法第21条第3項に許可に関する規定が設けられています。

 

自然公園法第21条第3項

特別保護地区内においては、次の各号に掲げる行為は、国立公園にあつては環境大臣の、国定公園にあつては都道府県知事の許可を受けなければ、してはならない。ただし、非常災害のために必要な応急措置として行う行為は、この限りでない。

一 前条第3項第一号、第二号、第四号から第七号まで、第九号、第十号、第十五号及び第十六号に掲げる行為 *前条第3項とは、特別地域内の制限

二 木竹を損傷すること。

三 木竹を植栽すること。

四 動物を放つこと(家畜の放牧を含む。)。

五 屋外において物を集積し、又は貯蔵すること。

六 火入れ又はたき火をすること。

七 木竹以外の植物を採取し、若しくは損傷し、又は落葉若しくは落枝を採取すること。

八 木竹以外の植物を植栽し、又は植物の種子をまくこと。

九 動物を捕獲し、若しくは殺傷し、又は動物の卵を採取し、若しくは損傷すること。

十 道路及び広場以外の地域内において車馬若しくは動力船を使用し、又は航空機を着陸させること。十一 前各号に掲げるもののほか、特別保護地区における景観の維持に影響を及ぼすおそれがある行為で政令で定めるもの

 

国立公園であれば環境省国定公園であれば都道府県のホームページにて確認しましょう。また、あわせて特別保護地区内の許可基準についても確認しておくことをおすすめします。

 

 

 

4 海域公園地区内の行為制限

国立公園又は国定公園の海域内に指定される地区です。

このエリアに指定されると一定の行為制限があります。不動産取引においては、この規定について説明が必要です。

自然公園法第22条第3項

海域公園地区内においては、次の各号に掲げる行為は、国立公園にあつては環境大臣の、国定公園にあつては都道府県知事の許可を受けなければ、してはならない。ただし、非常災害のために必要な応急措置として行う行為又は第一号、第四号、第五号及び第七号に掲げる行為で漁具の設置その他漁業を行うために必要とされるものは、この限りでない。

一 第20条第3項第一号、第四号及び第七号に掲げる行為

二 環境大臣が指定する区域内において、熱帯魚、さんご、海藻その他の動植物で、当該区域ごとに環境大臣農林水産大臣の同意を得て指定するものを捕獲し、若しくは殺傷し、又は採取し、若しくは損傷すること。

三 海面を埋め立て、又は干拓すること。

四 海底の形状を変更すること。

五 物を係留すること。

六 汚水又は廃水を排水設備を設けて排出すること。

七 環境大臣が指定する区域内において当該区域ごとに指定する期間内に動力船を使用すること。八 前各号に掲げるもののほか、海域公園地区における景観の維持に影響を及ぼすおそれがある行為で政令で定めるもの

 

環境省ホームページ:

www.env.go.jp

 

 

4-1 国立公園の海域公園地区*令和2年3月末時点

15公園98地区が指定されています。

www.env.go.jp

 

 

 

4-2 国定公園海域公園地区*令和2年3月末時点

15公園29地区が指定されています。

www.env.go.jp

 

 

 

5 風景地保護協定

風景地保護協定とは、自然公園法第43条に規定されているもので、土地所有者等による管理が不十分で風景の保護が図られないおそれのある国立・国定公園内の自然の風景地について、環境大臣地方公共団体又は公園管理団体が土地所有者等との間で自然の風景地の保護のための協定(風景地保護協定)を締結し、この土地所有者等に代わり自然の風景地の管理を行うことができることとしたものです。

不動産取引においては、この協定について、協定公告があったあとに土地所有者が変更した場合も引き続き効力が継続するとするものです。

協定締結している土地についての取引であれば、売主が理解している他、国立・国定公園の管理者が把握しています。

 

自然公園法第48条

(風景地保護協定の効力)

第46条(前条において準用する場合を含む。)の規定による公告のあつた風景地保護協定は、その公告のあつた後において当該風景地保護協定区域内の土地の所有者等となつた者に対しても、その効力があるものとする。

 

 

 

6 都道府県立自然公園

都道府県立自然公園内について、条例により必要な規制が定められており、この規定については不動産取引において説明する義務があります。

自然公園法第73条第1項

(保護及び利用)

都道府県は、条例の定めるところにより、都道府県立自然公園の風致を維持するためその区域内に特別地域を、都道府県立自然公園の風致の維持とその適正な利用を図るため特別地域内に利用調整地区を指定し、かつ、特別地域内、利用調整地区内及び当該都道府県立自然公園の区域のうち特別地域に含まれない区域内における行為につき、それぞれ国立公園の特別地域、利用調整地区又は普通地域内における行為に関する前章第四節の規定による規制の範囲内において、条例で必要な規制を定めることができる。

 

 

 

7 国立公園

国立公園については、下記のHPで確認できます。

令和2年3月末時点で全国に34箇所あります。

環境省ホームページ:

www.env.go.jp

 

 

 

8 国定公園

国定公園については、下記のHPで確認できます。

令和2年3月末時点で全国に57箇所あります。

指定されている公園の概要は、各都道府県のホームページを確認する必要があります。

環境省ホームページ:

www.env.go.jp

 

 

 

9 まとめ

いかがですか?

自然公園法の目的をはかるために、規制をしているのがわかると思います。

いずれも買主の計画に影響が出てくる内容です。

契約後のトラブルを回避するためにも、きちんと買主さんに説明し、内容を確実に伝えておくことが必要です。

調査は、担当する部署に確認しましょう。

場違いな部署で尋ねるとあなたの理解度を疑われますよ!