近年、災害の激甚化・頻発下に伴い災害リスクについて重要事項説明における取り扱いが注目されています。
令和2年8月には法改正により水災害のリスクについても、明記することが追加されました。
更には、熱海の土砂災害により、傾斜地に住む人たちについては土砂災害のリスクについても再度認識することとなっています。
災害には、このほか津波や高潮などについてもリスクとしてあげられますが、今回ここでは再確認の意味も含め「土砂災害特別警戒区域」について記述していきます。
1 「土砂災害特別警戒区域」とは
「土砂災害特別警戒区域」については、宅建業法施行令第3条第1項第23の2号において、必ず実施しなければならないとされています。
宅建業法施行令第3条第1項第23の2号
23の2 土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律第10条第1項及び第17条第1項
法第10条第1項については次のように規定されています。
特定の用途を含む建築物の建築を目的とする開発行為(都市計画法)を行う者は、行為に着手する前に都道府県知事の許可を受けなさいとするものです。
土砂災害防止法第10条(特定開発行為の制限)
第10条 特別警戒区域内において、都市計画法第4条第12項に規定する開発行為で当該開発行為をする土地の区域内において建築が予定されている建築物(当該区域が特別警戒区域の内外にわたる場合においては、特別警戒区域外において建築が予定されている建築物を除く。以下「予定建築物」という。)の用途が制限用途であるもの(以下「特定開発行為」という。)をしようとする者は、あらかじめ、都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、非常災害のために必要な応急措置として行う行為その他の政令で定める行為については、この限りでない。
概要のポイントを説明します。
次に該当する場合には、あらあかじめ、都道府県知事の許可が必要となります。
●土砂災害特別警戒区域内における開発行為を行う者
●開発行為後において建築する建築物の用途が制限用途であること。
なお、次に行為に該当する場合には許可不要となります。
2 許可不要の行為
- 非常災害のために必要な応急措置として行う開発行為
- 仮設建築物の建築の用に供する目的で行う開発行為
また、制限用途とは次の用途をいいます。
制限用途
住宅(自己の居住の用に供するものを除く。)、老人福祉施設(老人介護支援センターを除く。)、有料老人ホーム、身体障害者社会参加支援施設、障害者支援施設、地域活動支援センター、福祉ホーム、障害福祉サービス事業(生活介護、短期入所、自立訓練、就労移行支援又は就労継続支援を行う事業に限る。)の用に供する施設、保護施設(医療保護施設及び宿所提供施設を除く。)、児童福祉施設(児童自立支援施設を除く。)、障害児通所支援事業(児童発達支援又は放課後等デイサービスを行う事業に限る。)の用に供する施設、母子・父子福祉施設、母子健康包括支援センターその他これらに類する施設、特別支援学校、幼稚園、病院、診療所、助産所
3 まとめ
重要事項説明においては、取引する土地が土砂災害特別警戒区域内であれば、この法第10条第1項の規定(制限用途を含む建築物の建築を目的とした開発行為)を説明します。
なお、土砂災害特別警戒区域内において建築物を建築する場合には、建築基準法において待ち受け擁壁の築造が必要となります。
土砂災害計画区域は、いつの間にか指定されていたというケースもあります。
必ず自治体の窓口で確認をしましょう!