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【重要事項説明】農地の取引は難しい!|重要事項説明で必要な農地法についてわかりやすく解説!!

そもそも農地の売買には、買主が一定規模の営農を行っているなどの条件をクリアすることが必要です。その他法令の制限と異なり、そもそもの不動産取引自体に影響を与えます。

農地の売買は農業委員会の許可が必要となるからです。

売買する土地が「農地」であり、権利移動の制限がある場合には、そもそも売買不可の可能性もあります。

現状や地目上、農地である場合は、売買や投資のための不動産調査には十分な調査が必要です。

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通常、役所では複数の窓口での調整や確認が必要になります。

現状が宅地や雑種地に見えても、取り扱いとしては農地のままという場合もあるからです。

用途地域の指定がない土地の売買をする場合は、現地の状況だけでなく農地法の対象となっていないか確認しておきましょう。

重要事項説明において説明するというよりは、農地法に関する制限内容を理解した上で、土地取引を行うことが必要になってきます。。

この記事では、不動産取引における重要事項説明のうち、「農地法」についてわかりやすく解説していきます。

 

 

 

1 農地法における重要事項説明

宅建業法施行令第3条第1項第16号(重要事項説明:農地法

十六 農地法第3条第1項、第4条第1項及び第5条第1項

 

重要事項説明のおける農地法の取り扱いについては、宅建業法施行令第3条第1項第16号に規定されています。

重要事項説明における農地法は、農地法第3条第1項、第4条第1項、第5条第1項が対象となります。

宅建業法施行令第3条第1項第16号(重要事項説明:農地法

法第3条第1項       農地又は採草放牧地の権利移動の制限

法第4条第1項       農地の転用の制限

法第5条第1項       農地又は採草放牧地の転用のための権利移動の制限

 

まず農地法は、農地の保全・保護を目的とした法律であることをイメージしておきましょう。

農地法第1条

 この法律は、国内の農業生産の基盤である農地が現在及び将来における国民のための限られた資源であり、かつ、地域における貴重な資源であることにかんがみ、耕作者自らによる農地の所有が果たしてきている重要な役割も踏まえつつ、農地を農地以外のものにすることを規制するとともに、農地を効率的に利用する耕作者による地域との調和に配慮した農地についての権利の取得を促進し、及び農地の利用関係を調整し、並びに農地の農業上の利用を確保するための措置を講ずることにより、耕作者の地位の安定と国内の農業生産の増大を図り、もつて国民に対する食料の安定供給の確保に資することを目的とする。

 

イメージとしてはこんな感じです!

  • 農地を農地以外のものにすることを規制
  • 農地を効率的に利用する耕作者による地域との調和に配慮した農地についての権利の取得を促進
  • 農地の利用関係を調整
  • 農地の農業上の利用を確保するための措置を講ずる

 

 

 

2 農地法における農地

農地法第2条第1項(定義)

第2条 この法律で「農地」とは、耕作の目的に供される土地をいい、「採草放牧地」とは、農地以外の土地で、主として耕作又は養畜の事業のための採草又は家畜の放牧の目的に供されるものをいう。

農地法における農地の定義は「耕作の目的で供される土地」となります。

同様に採草放牧地は、「農地以外の土地で、主として耕作又は養畜の事業のための採草又は家畜の放牧の目的に供されるもの」と定義されています。

>>「全国農地ナビ」により農地の情報等が分かるようになっています

www.alis-ac.jp

 

 

 

3 法第3条第1項

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農地法第3条第1項(抜粋)

(農地又は採草放牧地の権利移動の制限)

第3条 農地又は採草放牧地について所有権を移転し、又は地上権、永小作権、質権、使用貸借による権利、賃借権若しくはその他の使用及び収益を目的とする権利を設定し、若しくは移転する場合には、政令で定めるところにより、当事者が農業委員会の許可を受けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合及び第5条第1項本文に規定する場合は、この限りでない。

許可が必要となる権利の内容

所有権、地上権、永小作権、質権、使用貸借による権利、賃借権、その他の使用及び収益を目的とする権利の設定もしくは移転

 

農地法第3条第1項とは、農地・採草放牧地を農業目的に取得(賃借を含む)する場合に農業委員会の許可が必要となるものです。

なので、売買や贈与、賃借、競売などは農業委員会の許可が必要となります。

許可が不要となるケースとして、相続や時効取得などがありますが、詳細は農地法第3条第1項各号に定められています。

また、当然、全て許可されるわけではなく、許可してはならない規定が農地法第3条第2項に定められていますので、各農業委員会に不許可基準を確認するようにしてください。

【罰則】

農地法第3条第6項の規定により、同法第3条第1項の許可を受けないで行った売買等の行為は、無効となります。また、農地法第64条の規定により「3年以下の懲役又300万円以下の罰金」となります。

 

 

 

4 法第4条第1項

農地法第4条第1項(農地の転用の制限)

第4条 農地を農地以外のものにする者は、都道府県知事(農地又は採草放牧地の農業上の効率的かつ総合的な利用の確保に関する施策の実施状況を考慮して農林水産大臣が指定する市町村(以下「指定市町村」という。)の区域内にあつては、指定市町村の長。以下「都道府県知事等」という。)の許可を受けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。

農地法第4条第1項とは、自己所有地である農地を農地以外(宅地など)に転用する場合には、都道府県知事(指定市町村)の許可が必要となるものです。

許可することができない規定(農用地区域、市街化調整区域内で良好な営農条件を備えている農地、良好な営農条件を備えている農地など)が農地法第4条第6項に定められているので、各窓口やホームページで詳細は、確認してください。

農地が市街化区域の場合には、農業委員会への届出により宅地等への転用が可能となっています。こちらに関しても、詳しくは各市町村の農業委員会に確認をお願いします。

将来的に農地から農地以外に転用する可能性の有無に関わらず、農地法第4条第1項の規定の重要事項説明が必要です。

【罰則】

農地法第64条の規定により、許可を受けないで行った転用は「3年以下の懲役又300万円以下の罰金」となります。

 

 

 

5 法第5条第1項

農地法第5条第1項(抜粋)(農地又は採草放牧地の転用のための権利移動の制限)

第5条 農地を農地以外のものにするため又は採草放牧地を採草放牧地以外のもの(農地を除く。次項及び第4項において同じ。)にするため、これらの土地について第3条第1項本文に掲げる権利を設定し、又は移転する場合には、当事者が都道府県知事等の許可を受けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。

農地法第5条第1項は、農地又は採草放牧地を売買や賃借等により農地以外(宅地など)に権利設定しする場合には、都道府県知事の許可が必要となるものです。

なお、法第4条第1項の規定と同じく、市街化区域内農地(採草放牧地)の場合には、農業委員会への届出で可能です。

重要事項説明の前の事前調査として、取引する土地の形態が「農地」や登記事項証明書において「畑・田」の場合には、農業委員会で農地であるかどうかの確認が必要です。

売買(賃借)後の利用方法(農地以外の利用)に応じて、農地法第5条第1項の許可(市街化区域内農地の場合には届出)が必要となる旨を説明します。

【罰則】

農地法第5条第3項の規定により、同法第5条第1項の許可を受けないで行った売買等の行為は、無効となります。また、農地法第64条の規定により「3年以下の懲役又300万円以下の罰金」となります。

 

 

 

6 まとめ

農地法第3条第1項、同法第4条第1項、同法第5条第1項をまとめると次のとおりです。

  • 農地等→農地等への権利移動(法第3条第1項) をする場合は、農業委員会の許可が必要
  • 農地→宅地等への自己転用(法第4条第1項)をする場合は、都道府県知事(指定市町村長)の許可が必要
  • 農地等→宅地等への権利移動+転用(法第5条第1項)をする場合は、都道府県知事(指定市町村長)の許可が必要

となります。

農地法については、その土地がどう活用できるか関係してくることから売買後のトラブル防止のため、あやしい場合は行政の窓口で根拠をしっかりと確認して、現場での確認も忘れずに行っておきましょう。農政関係の窓口にてきちんと確認を!