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【重要事項説明】意外と盲点!景観がよく観光地の物件に可能性がある|歴史まちづくり法の説明義務についてわかりやすく解説!!

OSSANも過去に一度だけ「歴史まちづくり法」の関係物件に携わりました。

周辺の建物や景観をみると「これは法チェックで注意が必要だな」と感じるような地域が多いです。

ですので現地の状況の確認せずに、机上や電話だけで済ませてしまう業者にとっては漏れがおおい事項でしょう。

でも、意外と関連する区域は広く開発や売買の際には注意が必要です。

信用を失わないようにするためにイメージだけでも理解して、しっかりと法チェックにしましょう。

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この記事では、不動産取引において重要事項説明の対象となる『歴史まちづくり法(地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律)』の第15条と第33条についてわかりやすく解説します。

 

 

 

1 重要事項説明の対象

歴史まちづくり法における重要事項説明の対象ですが、宅建業法施行令第3条第1項第12の5号に規定されています。

  • 法第15条第1項:歴史風致形成建造物の増築等に係る届出義務(行為着手の30日前)
  • 法第15条第2項:法第15条第1項届出の変更に関する規定
  • 法第33条第1項:歴史的風致維持向上地区計画内における土地の区画形質の変更や建築物の新築・増築に係る届出義務(行為着手の30日前)
  • 法第33条第2項:法第33条第1項届出の変更に関する規定

 

 

 

2 歴史まちづくり法とは?

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文化財の指定を受けていない建築物は建て替え等により、歴史的な街並みが損なわれてしまう状況を受け、施行されたのが『歴史まちづくり法(地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律)』です。

歴史まちづくりを進める市町村が作成した「歴史的風致維持向上計画」の認定を、国から受けることによって、様々な支援や建造物を保存するための措置等を行うことができます。

 

 

 

2-1 第15条第1項・第2項

歴史風致形成建造物の増築や改築等を行うものは、行為に着手する30日前までに市町村長に届出を行わなければならないとするものです。

建物が歴史的風致形成建造物に該当していないかどうかを市町村に確認し、該当している場合にその指定概要等と届出義務について重要事項にて説明が必要です。

多くの市町村では指定した歴史風致形成建造物や内容をHPや窓口で掲載しています。

さらに、所有者からこれまでの管理状況などを聞き取りして売主に対し説明することも必要です。修繕してきた箇所や補助金の名称、修繕計画などの関連事項です。

 

歴史まちづくり法第15条第1項、施行令第3〜5条

歴史まちづくり法第15条(増築等の届出及び勧告等)

歴史的風致形成建造物の増築、改築、移転又は除却をしようとする者は、当該増築、改築、移転又は除却に着手する日の30日前までに、主務省令で定めるところにより、行為の種類、場所、着手予定日その他主務省令で定める事項を市町村長に届け出なければならない。ただし、次に掲げる行為については、この限りでない。

一 通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で政令※1で定めるもの

二 非常災害のため必要な応急措置として行う行為

三 都市計画法第4条第15項に規定する都市計画事業の施行として行う行為又はこれに準ずる行為として政令※2で定める行為

四 前三号に掲げるもののほか、これらに類するものとして政令※3で定める行為

 

※1:認定歴史的風致維持向上計画に記載された法第5条第2項第五号の管理の指針となるべき事項に適合して行う行為等

※2:都市計画施設の整備や土地区画整理事業等の施行より行う行為

※3:認定市町村又は支援法人が行う行為

 

歴史風致形成建造物は、市町村が国から認定を受ける計画である「歴史的風致維持向上計画」の重点区域内において、歴史的な建造物であって重点区域内の歴史的風致を形成しており、かつ、その歴史的風致の維持向上のために保全を図る必要がある建造物のことをいい市町村が指定するものです。

指定されると、建造物の所有者の管理義務(法第16条)や第15条第1項の規定による増築等についての届出義務(重要事項説明の対象)が生じます。

指定の期間は、認定計画の期間内に限られており、指定された建造物は財政上の支援制度に保全に必要な支援を受けることができるようになっています。

計画自体の認定は、金沢や京都、奈良といった歴史的な建造物が多い都市が認定を受けています。詳しくは国土交通省のホームページから

www.mlit.go.jp

 

第15条第2項には、第1項規定の変更に関する規定もありますので注意を!!

歴史まちづくり法第15条第2項

前項(*前項とは歴史まちづくり法第15条第1項)の規定による届出をした者は、その届出に係る事項のうち主務省令で定める事項を変更しようとするときは、当該事項の変更に係る行為に着手する日の30日前までに、主務省令で定めるところにより、その旨を市町村長に届け出なければならない。

 

 

 

2-2 第33条第1項・第2項

歴史まちづくり法第33条第1項(抜粋)

歴史的風致維持向上地区計画の区域(歴史的風致維持向上地区整備計画が定められている区域に限る。)内において、土地の区画形質の変更、建築物等の新築、改築又は増築その他政令で定める行為をしようとする者は、当該行為に着手する日の30日前までに、国土交通省令で定めるところにより、行為の種類、場所、設計又は施行方法、着手予定日その他国土交通省令で定める事項を市町村長に届け出なければならない。

 

第33条第1項は、歴史的風致維持向上地区計画の区域(地区整備計画が定められている区域)内において、土地区画形質の変更、建築物等の新築や増築を行う場合には、行為に着手する30日前までに市町村に届出を行わなければならないとする規定です。

地域の歴史および伝統を生かした物品の販売や料理の提供などを行う歴史的風致にふさわしいとされる用途の建築物等について、用途制限の特例によりその立地を可能とするものです。

太宰府市では、太宰府市歴史風致維持向上地区計画として、太宰府政庁跡前面の道路沿いの用途規制を緩和し、低層住居並みの建築が認められている地区において、飲食店の単独立地を可能としています。

特定用途の制限を緩和する場合には、建築基準法に基づき条例化が必須となっていますので、建築指導部局への詳細な内容の確認が必要です。

第33条第2項については第1項規定の変更に関する規定です。届出した内容について変更する場合にも、その変更に関する行為について30日前までに届出をしなければなりません。

 

 

 

3 まとめ

いかがですか?

歴史的な建物の目的をはかるために、規制をしているのがわかると思います。

いずれも買主の計画に影響が出てくる内容です。

契約後のトラブルを回避するためにも、きちんと買主さんに説明し、内容を確実に伝えておくことが必要です。

調査は、担当する部署に確認しましょう。

場違いな部署で尋ねるとあなたの理解度を疑われますよ!