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【重要事項説明】建築基準法第57条の2、第57条の4(特例容積率適用地区)|容積率を売買して高層化!?対象の地域とその理由!しっかり理解してがっちり土地利用。宅建・土地取引・投資のノウハウ!!

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こんかいは建築基準法第57条の2(特例容積率適用地区)についてです。

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「特例容積率適用地区」とは、都心部の高度利用を図るために、他の敷地で未利用となっている容積率を、離れた土地に移転して活用しようとする地区です。

これらを詳細に理解するには、経験と知識が必要です。

しかしながら、どのような規定があるのか概要を理解しておけば、そのような物件に巡り合ったときに気づきが生まれます。

これが重要なのです。

内容を理解しておかないと、買主からの「このような用途や大きさの建築はできるの?」との質問に正確に答えることができません。

不動産取引や建築設計において都市計画や建築基準法の制限を説明する際には正しい根拠とその内容を正確に買主に伝える必要があります。

建築士試験、重要事項説明などにおいて必須の知識となりますので、こちらの記事が参考になれば嬉しいです。

それでは、わかりやすくポイントを絞って解説します。

 

 

 

1 建築基準法における重要事項説明事項とは?

重要事項説明では、宅建業法施行令第3条第1項第2号に掲げる内容を説明する必要があります。

宅建業法施行令第3条第1項第2号(重要事項説明:建築基準法

二 建築基準法第39条第2項、第43条、第43条の2、第44条第1項、第45条第1項、第47条、第48条第1項から第14項まで(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第49条(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第49条の2(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第50条(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第52条第1項から第14項まで、第53条第1項から第8項まで、第53条の2第1項から第3項まで、第54条第55条第1項から第3項まで、第56条第56条の2第57条の2第3項、第57条の4第1項、第57条の5、第58条、第59条第1項及び第2項、第59条の2第1項、第60条第1項及び第2項、第60条の2第1項、第2項、第3項(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)及び第6項、第60条の2の2第1項から第3項まで及び第4項(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第60条の3第1項、第2項及び第3項(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第61条、第67条第1項及び第3項から第7項まで、第68条第1項から第4項まで、第68条の2第1項及び第5項(これらの規定を同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第68条の9、第75条、第75条の2第5項、第76条の3第5項、第86条第1項から第4項まで、第86条の2第1項から第3項まで並びに第86条の8第1項及び第3項

「エッ」と思うぐらい多いですが、このうち都市計画や建築基準法に基づく指定や認可状況、条例などを調査し、該当する事項を説明することになります。

調査方法としては、都市計画課(法)や建築指導課(法)などを担当する窓口にて確認することとなります。

くれぐれも「どれが対象ですか?」などの尋ね方はやめましょう!

対象となる窓口にて確認して内容を理解し、説明が必要な事項を洗い出して整理するのが資格者の責務です。「役所がいったから。」では役割を果たしていません。

 

 

 

2 特例容積率適用地区とは?

都市計画法第9条第16項]

特例容積率適用地区は、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域準住居地域、近隣商業地域、商業地域、準工業地域又は工業地域内の適正な配置及び規模の公共施設を備えた土地の区域において、建築基準法第52条第1項から第9項までの規定による建築物の容積率の限度からみて未利用となっている建築物の容積の活用を促進して土地の高度利用を図るため定める地区とする。

 

[都市計画運用指針(抜粋)]

建築基準法第57条の2の規定により、土地所有者等の申請に基づき、特定行政庁が複数の敷地について、これらの敷地に係る容積の限度の和が、 同条第3項第1号に規定する基準容積率による容積の限度の和を超えない範囲内において、それぞれの敷地に適用される特別の容積率の限度を指定することにより、敷地間の容積の移転が可能となる。

 

特例容積率適用地区(とくれいようせきりつてきようちく)とは、他の敷地で余っている容積率を、離れた土地に移転して活用しようとする地区です。

高度(こうど)とは、ハイレベル(高次元)に土地を利用するイメージです。

また、容積率移転を「容積飛ばし」とも言いますが、「大手町・丸の内・有楽地区」はこの制度が利用できる特例容積率適用地区に指定されています。

特例容積率適用地区に指定された地区では、同じ地区内であれば、容積率を移転する敷地が隣接していなくても、建築敷地の容積率の一部を複数の建築敷地間で移転できます。

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2012年10月に赤レンガ駅舎の復元された東京駅は、約500億円で東京駅の敷地の空中部分の容積率を、丸の内地区内の離れた敷地(ビル)に売却することによって調達しました。

このように余っている余剰容積率は売買の対象となり、これを空中権売買(くうちゅうけんばいばい)といいます。

都心部や地方の中心部では、その容積率を使い切ってないことが多く、また将来に渡っても、すべてを高層化するということはほとんどありません。

このような敷地で、使われずに残っている未利用の容積を他の敷地に上乗せし、土地の有効利用を図ろうとするのが特例容積率適用地区です。

 

 

 

3 「特例容積率適用地区」を定めることができる用途地域

「特例容積率適用地区」を定めることができる用途地域は、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域準住居地域、近隣商業地域、商業地域、準工業地域、工業地域となっています。

第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、田園住居地域、工業専用地域には指定することはできません。

また、建築基準法第57条の2の規定に基づき、特定行政庁から指定を受ける必要があります。

 

 

 

4 都市計画で定める内容と決定権者

○都市計画で定める内容

建築物の高さの最高限度(当該地区における市街地の環境を確保するために必要な場合に限る。)

○都市計画を決定する者

「市町村」

 

 

5 全国での指定状況?

千代田区中央区(東京駅周辺)の一箇所のみです。

面積は、116.7haです。

ということは、「特例容積率適用地区」に遭遇することはほとんどありえません。

試験にはでるかもしれませんが・・・。

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6 まとめ

いかがでしたか?

「特例容積率適用地区」には、宅建の試験以外ではほとんど係ることはないかと思います。

全国では1箇所ですが、特例容積率適用地区制度が、老朽マンションの建替えなどに今後応用されることが期待されています。

いつの間にか都市計画の決定がされていたということもあるかもしれません。

思い込みはやめてきちんと窓口などで内容を確認することも必要です。

土地の仲介業者は購入希望者に対して、その土地がどの「用途地域」に属するかとあわせて、建築物への制限についても必ず伝える義務があります。

少しでも疑問がある場合は、事前に建築確認の部署(機関)に確認し法チェックをしておきましょう。

不動産の取引・設計や投資の際には、買主や施主の要望を十分に理解して、リスクを回避するためにも理解をしておく必要がありますね。