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【重要事項説明】不動産取引で「景観地区」を正しく説明!|景観法・都市計画法・建築基準法と複雑に関係。勘違いが多い内容です!!

ここでは都市計画法において地域地区の一つとされている景観地区の解説になります。

計画区域内の届出と混同し、勘違いが多い箇所なので注意してください。

景観法に関する内容はこちらの記事で》》

【重要事項説明】不動産取引で景観法を正しく説明!|説明する必要があるルールとは? - OSSAN358’s ブログ

それでは、景観地区について解説します。

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1 都市計画法における「景観地区」

景観地区は、都市計画法第8条に規定される地域地区の一つです。

「景観地区」において定める制限の内容等については、都市計画法に記載はなく、景観法に規定があります。

内容は、景観法第61条第2項に記載され、『建築物の形態意匠の制限(必須)』、『建築物の高さの最高限度又は最低限度(任意)』、『壁面の位置の制限(任意)』、『建築物の敷地面積の最低限度(任意)』を定めることとされています。

 

[都市計画運用指針抜粋(13.景観地区)]

景観地区は、市街地の良好な景観の形成を図るために定める地域地区である。このため、 既に良好な景観が形成されている地区のみならず、現在、良好な景観が保たれていないが、 今後良好な景観を形成していこうとする地区について、幅広く活用することが可能とされているものである。

 

景観地区を活用することで、都市の外観上の魅力向上につながることが期待されています。

指定には、住民や事業者の合意形成が必要になり、景観協定や建築協定のような任意のルールよりも都市計画で指定することで法的な担保を持たせているのです。

参考に「景観法運用指針」では、指定される地区の考え方を次のように記載しています。

 

[景観法運用指針の抜粋]

・既に良好な景観を形成している業務地、商業地、住宅地、歴史的街並み、集落等

・地区周辺の山並みや海岸線、河川、緑地、城址等の地域のシンボルと街並みが一体となって、地域色豊かな景観形成を進めていく必要がある区域

・良好な景観の形成を進めることが生活環境の向上に資すると想定される住宅地

・良好な景観の形成を進めることによって、地域の活性化や地域の価値創造を図ることを目標とする商店街や中心市街地

・町家や武家屋敷等の景観資源は点在しているものの、良好な景観を形成しているとは言い難い状況であり、今後良好な景観形成を進める必要がある既成市街地

・市街地縁辺部等で、住宅と、青空駐車場や資材置き場等の空閑地が混在するなどの景観上の課題が顕在化している区域

・多種多様な形状や色彩からなる郊外型店舗等が集積しているバイパス沿道等、景観の向上に向けた対策が必要である区域

・ 今後建築物の更新が想定される郊外型の団地など、これまでの環境を確保しつつ新しい生活環境を創造していく必要がある区域

・ 開発事業等に伴い、新たな景観の創出が見込まれる区域

・ 道路、河川、公園、緑地、水辺等の地域の景観資源と一体となって良好な景観の形成を進める必要がある区域

 

 

 

2 景観地区で定める制限の内容

景観地区で定める制限の内容については、景観法第61条第2項次のように規定されています。

 

景観法第61条第1項(都市計画法第8条第3項第一号及び三号)

①地域地区の種類、②位置、③区域、④区域の面積  

景観法第61条第1項各号    下記事項のうち一号は必須。二〜四号は任意

一号:建築物の形態意匠の制限(※建築物の色彩や見た目)

二号:建築物の高さの最高限度・最低限度

三号:壁面の位置の制限

四号:建築物の敷地面積の最低限度   景観計画による良好な景観の形成に支障がないように定める

 

 

 

3 景観地区が指定されると制限[景観法]

景観地区内については、建築物の形態意匠等に関する計画について、市町村による認定制度が設けられており、建築する前に市町村長の認定を取らないと着工することはできません。

 

 

4 景観地区が指定されると制限の内容は?[建築基準法

景観地区が指定されると建築基準法第68条の規定により、都市計画で定めた内容が制限されることになります。

 

建築基準法第68条  

第1項

建築物の高さの最高限度又は最低限度が定められた場合には、最高限度以上・最低限度

第2項

壁面の位置の制限が定められた場合には、地盤面下を除き、制限の内容に反してはならない

第3項

建築物の敷地の最低限度が定められた場合には、最低限度以上にする 第1項に同じ

 

なお、建築基準法第68条第5項により、上記の制限される内容に適合し、かつ、敷地内に有効な空地が確保されること等により特定行政庁の許可を受ければ高さの制限(建築基準法第56条:斜線制限)を適用しないことが可能です。

 

 

 

6 まとめ

景観地区は都市計画によって告示決定された内容であり、規制の法的な担保があります。よって、景観法による認定や建築基準法による審査が関係するのです。

これとは別に景観計画区域内における届出がありますが、こちらは建築基準法の関係規定ではなく、内容も定性的な規制が多いです。どちらかというとこちらの活用が多いです。

重要事項の説明の場合、都市計画法と景観法のどちらに関するものか、全く違いますのでよく確認して説明をしましょう。

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