都市計画の土地利用で用途地域の種類とよく勘違いされる「地区計画」について解説していきます。
こんにちは、OSSANです。
地区計画は実務でも試験でもよく出てきます。
1 【一言でいうと】地区計画とは?
条例で定められたその地区の独自のルールです。
比較的小さな地区を単位として、それぞれの区域の特性にふさわしい街づくりを行う都市計画を言います。
用途地域が定められている区域および定められていない区域に定めることができます。
1-1 根拠は?
地区計画に何を定めるのか?
地区計画に関する都市計画には、種類・名称・位置及び区域や地区整備計画を定めるとともに、区域の面積、当該地区計画の目標や整備・開発・保全に関する方針等を定めるよう努めることになっています。
建築基準法第68条の2(市町村の条例に基づく制限)第1項です。
市町村は、地区計画等の区域(地区整備計画、特定建築物地区整備計画、防災街区整備地区整備計画、歴史的風致維持向上地区整備計画、沿道地区整備計画又は集落地区整備計画(以下「地区整備計画等」という。)が定められている区域に限る。)内において、建築物の敷地、構造、建築設備又は用途に関する事項で当該地区計画等の内容として定められたものを、条例で、これらに関する制限として定めることができる。
簡単にいうと
・地区計画とは、条例で定められたその地区の独自のルール。
・条例なので、絶対に守らないといけない。
2 じゃあ具体的にはどういうルールを定めることができるのでしょうか?
具体的には、建築基準法施行令136条の2の5(条例で定める制限)第1項に書いてあります。
そこをまとめると以下の15個になります。
この15個のなかから、その地区にあった項目を採用します。
一 建築物の用途の制限
二 建築物の容積率の最高限度
三 建築物の建蔽率の最高限度
四 建築物の敷地面積の最低限度
五 壁面の位置の制限
六 建築物の高さの最高限度
七 建築物の高さの最低限度、建築物の容積率の最低限度及び建築物の建築面積の最低限度
八 建築物の形態又は意匠の制限
九 垣又は柵の構造の制限
十 建築物の建築の限界
十一建築物の特定特区防災施設(密集市街地における災害地区の整備の促進に関する法律第32条第2項第一号に規定する特定地区防災施設に規定する特定地区防災施設という。以下この条において同じ。)に面する部分の長さの敷地の当該特定地区防災施設に接する部分の長さに対する割合(以下この条において「特定地区防災施設に係る開口率」という。)の最低限度
十二建築物の構造に関する防火上必要な制限
十三建築物の沿道整備道路(幹線道路の沿道の整備に関する法律(昭和55年法律第34号)第2第二号に規定する沿道整備道路をいう。以下この条において同じ。)に面する部分の長さに対する割合(以下この条において「沿道整備道路に係る開口率」という。)の最低限度
十四建築物の構造に関する遮音上必要な制限
十五建築物の構造に関する防音上必要な制限
・地区ごとに、地区計画の内容は異なる。
・地区計画の具体的な内容は、各特定行政庁のHPで調べることができるよ。
3 届出も必要
地区計画には届出が必要です。
届出が必要な場合
地区計画の区域内で、土地の区画形質の変更、建築物の建築を行う者は、
何を…必要事項を
いつ…行為に着手する30日前までに
どこに…市町村長に
どうするか…届出をしなければいけません。
届出が不要な場合
上記の届出の内容が地区計画に適合しない場合、市町村長は計画の変更を勧告することができます。
根拠は、都市計画法第58条の2(建築物等の届出等)第1項です。
地区計画の区域(再開発等促進区若しくは開発整備促進区(いずれも第12条の5第5項第一号に規定する施設の配置及び規模が定められているものに限る。)又は地区整備計画が定められているものに限る。)内においては、土地の区画形質の変更、建築物の建築その他政令で定める行為を行おうとする者は、当該行為に着手する日の前30日前までに、国土交通省令で定めるところにより、行為の種類、場所、設計又は施工方法、着手予定日その他国土交通省令で定める事項を市町村長に届け出なければならない。だたし、次に掲げる行為については、この限りではない。
一 通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で政令で定めるもの二 省略
三 省略
四 省略
五 省略
つまり、着工する30日前までに、市町村長に届け出なければならないのです。
ただし、次の場合は届出不要となります。
通常の管理行為、軽易な行為
非常災害のため必要な応急措置として行う行為
国または地方公共団体が行う行為
都市計画事業の施行として行う行為、またはこれに準ずる行為
開発許可を要する行為
地区計画とは
地区計画等の種類
防災街区整備地区計画
これは、家事や地震の時に備えて、延焼防止と避難機能確保のための計画です。
沿道地区計画
これは、車やトラックの騒音を低減させるための計画です。
集落地区計画
これは、集落地域の土地の区域内で、営農と居住環境が調和した土地利用を図るための計画です。
歴史的風致維持向上地区計画
歴史的なおもむきを維持向上させるための計画です。
4 ちなみに、ちきんとした届け出をしなかったらどうなるの?
罰則があります。20万円以下の罰金です。
根拠は、都市計画法第93条第一号です。
次の各号の一に該当する者は、20万円以下の罰金に処する。
要するに、
・着工する30日前までに、市町村長に届け出なければならない。
・届出をしなかったり、虚偽の届出の場合は、20万円の罰金になる。
5 まとめ
最後にまとめるとこんな感じです!
・条例で定められたその地区の独自のルール。
・条例なので、守らないといけない。
・着工30日前までに、市町村長に届出なければならない。
よくみると地区計画は、そんなに厳しい内容にはなっていません。
そもそも、法の趣旨としては、
・適切な都市機能の健全な都市環境を確保する
・良好な住環境を確保するため
決して、建築物を建築させないようには、していないのです。
いいまちをつくるために、みんなで協力しようと言っているのです。
むしろ今の環境が守られるため、閑静な住宅地などは地区計画が価値の担保となる場合もあります。
さいごまでお読みいただきありがとうございました。