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【重要事項説明】不動産取引で景観法を正しく説明!|説明する必要があるルールとは?

こんにちは、OSSANです。

不動産売買や投資で必要な重要事項説明の中でも、よく目にする項目についてシリーズで開設しています。

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今回は、重要事項説明(宅建業法第35条、宅建業法施行令第3条第1項第5の3)として義務付けられている景観法の規定について主なものを解説していきます。

 

 

 

1 重要事項説明義務がある対象条項

重要事項説明のうち、景観法に関する説明が必要となるのは下記の条項です。

なかでも特に説明する機会が多いのは、16条(景観計画区域内での届出)という感じがします。

 

  • 景観法第16条第1項・第2項(景観計画区域内での届出)
  • 景観法第22条第1項の許可(景観重要建造物)
  • 景観法第31条第1項の許可(景観重要樹木)
  • 景観法第41条(管理協定)
  • 景観法第63条第1項の認定(景観地区における建築物等の市町村認定)
  • 景観法第72条第1項の条例(景観地区工作物制限条例)
  • 景観法第73条第1項の条例(景観地区開発行為等制限条例)
  • 景観法第75条第1項の条例(準景観地区建築物・工作物の規制基準)
  • 景観法第75条第2項の条例(準景観地区開発行為等制限条例)
  • 景観法第76条第1項の条例(地区計画等形態意匠条例)
  • 景観法第86条・第87条第5項・第90条第4項(景観協定)

それでは、解説を進めます。

 

 

 

2 景観法第16条第1項・第2項 【景観計画区域内の届出】

景観計画区域内において、建築物の建築や工作物の新設等を行う場合には、その行為に着手する30日前までに景観行政団体の長(景観計画を定めている都道府県、政令指定都市中核市等)に届出しなければならないとするものです。

法令上は、用途や規模に関係なく建築物を新築する場合には届出が必要となっていますが、多くの市町村では景観法第16条第7項第11号に基づく条例により一定規模以上等が対象としているので、詳しくは各市町村の窓口やホームページを確認することが重要です。

ごく稀に、任意条例により景観条例と称して届出を行っている都市もあります。

景観法ではないので説明義務はありませんが、違いを理解した上で、ルールをチェックし重要事項として説明しておくことが必要です。

 

景観法第16条第1項・第2項

景観計画区域内において、次に掲げる行為をしようとする者は、あらかじめ、国土交通省令(第四号に掲げる行為にあっては、景観行政団体の条例。以下この条において同じ。)で定めるところにより、行為の種類、場所、設計又は施行方法、着手予定日その他国土交通省令で定める事項を景観行政団体の長に届け出なければならない。

一 建築物の新築、増築、改築若しくは移転、外観を変更することとなる修繕若しくは模様替又は色彩の変更(以下「建築等」という。)

二 工作物の新設、増築、改築若しくは移転、外観を変更することとなる修繕若しくは模様替又は色彩の変更(以下「建設等」という。)

三 都市計画法第4条第12項に規定する開発行為その他政令で定める行為

四 前三号に掲げるもののほか、良好な景観の形成に支障を及ぼすおそれのある行為として景観計画に従い景観行政団体の条例で定める行為

2 前項の規定による届出をした者は、その届出に係る事項のうち、国土交通省令で定める事項を変更しようとするときは、あらかじめ、その旨を景観行政団体の長に届け出なければならない。

 

届出に対して景観計画の制限(景観法第8条第3項:景観形成基準)に適合しないと認められる場合には届者に対し勧告することができる規定となっている他、条例により変更命令を行う規定を設けることが可能となっています。

届出違反者に対しては、罰則規定(30万円以下)があります。また、変更命令に従わなかった場合は、50万以下の罰則と現状回復命令が規定されています。

 

 

 

3 景観法第22条第1項【景観重要建造物】

景観法第22条第1項の規定については、景観重要建造物(※)は、景観行政団体(都道府県、政令指定都市中核市等)の長の許可を受けなければ、増築や改築、除却、外観の変更(修繕・模様替え・色彩)をしてはならないとするものです。

維持管理行為や災害時の応急措置等の行為(景観法施行令第13条)は許可不要です。

これも各自治体の窓口やホームページで確認することができます。

 

※景観重要建造物とは、景観計画区域(景観行政団体の長が指定)内で良好な景観形成に需要な建造物(地域の自然や歴史、文化などを踏まえて指定される。具体的な基準は、景観法施行規則第6条に定められた)で景観行政団体の長が指定

 

重要事項説明においては、景観重要建造物であるかどうか大事です。(ほぼないと思いますが・・・。)

 

景観法第22条第1項

何人も、景観行政団体の長の許可を受けなければ、景観重要建造物の増築、改築、移転若しくは除却、外観を変更することとなる修繕若しくは模様替又は色彩の変更をしてはならない。ただし、通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で政令で定めるもの及び非常災害のため必要な応急措置として行う行為については、この限りでない。

 

 

 

3-1 景観重要建造物の法令の緩和

景観重要建造物は建築基準法にも関係が記載されています。

内容としては、建築基準法第85条の2の規定により法令の一部が緩和されます。

『良好な景観の保全のためその位置又は構造をその状態において保存すべき』建造物については、市町村は、景観法第22条・第25条(現状変更の規制、景観重要建造物の所有者の管理義務)の規定の施行のため必要と認める場合は、国土交通大臣承認により条例で屋根不燃や建蔽率容積率などを緩和することができというものです。

 

建築基準法第85条の2

(景観重要建造物である建築物に対する制限の緩和)

景観法第19条第1項の規定により景観重要建造物として指定された建築物のうち、良好な景観の保全のためその位置又は構造をその状態において保存すべきものについては、市町村は、同法第22条及び第25条の規定の施行のため必要と認める場合においては、国土交通大臣の承認を得て、条例で、第21条から第25条まで、第28条、第43条、第44条、第47条、第52条、第53条、第54条から第56条の2まで、第58条、第61条、第62条、第67条第1項及び第5項から第7項まで並びに第68条第1項及び第2項の規定の全部若しくは一部を適用せず、又はこれらの規定による制限を緩和することができる。

 

 

 

4 景観法第31条第1項【景観重要樹木】

景観重要樹木は、樹木が対象となります。

景観行政団体の長の許可を受けなければ、景観重要樹木の伐採や移植をしてはならないとするものです。ただし、通常の管理行為等(整枝など景観施行令第15条)は許可不要となります。

地域のシンボルとなっているような樹木の場合は対象となっている場合があります。

 

景観法第31条第1項

何人も、景観行政団体の長の許可を受けなければ、景観重要樹木の伐採又は移植をしてはならない。ただし、通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で政令で定めるもの及び非常災害のため必要な応急措置として行う行為については、この限りでない。

 

 

 

5 景観法第41条【管理協定】

景観法第41条は、管理協定(景観重要建造物・景観重要樹木の適切な管理のために景観行政団体の長等と所有者の間で結ぶもの)の効力は所有者変更後も効力が及ぶとするものです。

相続や売買によって所有者が変わる場合も、協定の内容は守らないといけません。世代が変わっている場合などは、特に注意が必要です。

 

 

 

6 景観法第63条第1項【景観地区】

この項目は、景観法と都市計画法による指定が関連しており、景観計画区域と間違いやすので注意が必要です。

景観法第63条第1項の規定では、景観地区内において建築物を新築や増築等をしようとする者は建築物等の計画を市町村長に提出して認定を受けなければならないものです。

申請してから30日以内に建築物の形態意匠(外観や色彩など)や最高高さ、壁面線などが都市計画に適合しているかどうか審査されます。

なお、景観地区が指定されると建築基準法第68条の規定により、高さ、壁面線、敷地面積が建築確認申請に時に審査されます。

景観地区とは、都市計画の地域地区の一つでして、市町村が定める都市計画です。指定可能な区域は、都市計画区域または準都市計画区域内になります。

景観地区に関する詳しい記事はコチラ〉〉

ossan358.hatenablog.com

景観法第63条第1項

景観地区内において建築物の建築等をしようとする者は、あらかじめ、その計画が、前条※の規定に適合するものであることについて、申請書を提出して市町村長の認定を受けなければならない。当該認定を受けた建築物の計画を変更して建築等をしようとする場合も、同様とする。

※景観地区内の建築物の形態意匠は、都市計画に定められた建築物の形態意匠の制限に適合するものでなければならないとするものです。

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6-1 『景観計画』と『景観地区』の違い

景観計画と景観地区について、間違いやすいので補足しておきます。

いずれも重要事項説明義務があります。

『景観計画』は計画書の内で、一定規模以上の建築物や開発行為、形態意匠について景観行政団体の長に対し届出が必要(景観法第16条第1項)と規定されています。その他、景観重要建造物や樹木、さらには市町村としての景観まちづくりに関しての指針等が記載されています。建築基準法の関係規定ではありません。

それとは別に、『景観地区』は都市計画でして、都市計画区域内に指定することが可能です。

景観地区内の建築物の建築については、建築基準法が適用され建築確認申請時にチェック(高さ、壁面線、敷地の最低限度)され、形態意匠については市町村から認定が必要です。こちらは、建築基準法の関係規定になります。

 

 

 

7 景観法第72条第1項、73条第1項、75条第1項・第2項、第76条第1項(条例化)

これら5つの条項については、市町村による条例化が必要なものです。

条例において制限等を定めることができる内容は、次のとおりです。

 

◎景観地区工作物制限条例(法第72条第1項)

景観地区内の工作物について、条例で、形態意匠の制限、高さの最高限度、最低限度、壁面後退区域を定めることができる。

◎景観地区開発行為等制限条例(法第73条第1項)

景観地区内の開発行為について、良好な景観を形成するために必要な制限を条例にて定めることができる。

◎準景観地区建築物・工作物の規制基準(法第75条第1項)

準景観地区内における建築物又は工作物について、条例で、良好な景観を保全するため必要な規制を条例にて定めることができる。*準景観地区の指定は、平泉町高野町宗像市薩摩川内市

◎準景観地区開発行為等制限条例(法第75条第2項)

準景観地区内の開発行為について、良好な景観を形成するために必要な制限を条例にて定めることができる。*準景観地区の指定は、平泉町高野町宗像市、薩摩川内

◎地区計画等形態意匠条例(法第76条第1項)

地区計画において定められた建築物等の形態意匠の制限を条例に定めることができる。

 

条例化しているかどうかは景観計画を策定している市町村の窓口やホームページにて確認しましょう。

 

 

 

8 景観法第86条・第87条第5項・第90条第4項【景観協定】

景観協定とは、住民等の全員合意により、建築物、かき柵、緑地、工作物、看板、駐車場などの景観に関するルールを定めることができる(景観行政団体の長の認定)とするものです。

結構な数で協定を設けてありますので注意が必要です。

住民独自のルールになりますので、審査は市町村ではなく、協定の運営委員会のような組織となります。新たに土地を所有した者にも効力が及ぶ(承継効)こととなります。

協定に関する情報を自治体などから入手し、どういったルールなのか早めに確認しておく必要があります。それだけコミュニティが活発な地区ですので購入者によっては懸念材料になる可能性があります。

 

 

 

9 まとめ

いかがでしょうか?景観という文字をみてわけがわからないと思っていた方は少しイメージができたでしょうか?不動産の売買や投資をする方はもちろん、これから土地や家の購入を考えて方も景観に関する事項を理解することで、どのような物件なのか判断

ができると思います。