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【重要事項説明】建築基準法第68条の2(地区計画条例)|地区計画条例と届出制度は違う?都市計画法との関係、対象の地域とその理由!しっかり理解してがっちり土地利用。宅建・土地取引・投資のノウハウ!!

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こんかいは建築基準法第68条の2(地区計画条例)についてです。

地区計画とは、地区レベルの詳細な街づくりの計画のことです。

そのような地区計画ですが、「条例」と「届出」が2種類存在するのです。

なんとなくわかっているようで、詳しく説明しようとすると理解できていないものです。

これらを詳細に理解するには、経験と知識が必要です。

しかしながら、どのような規定があるのか概要を理解しておけば、そのような物件に巡り合ったときに気づきが生まれます。

これが重要なのです。

内容を理解しておかないと、買主からの「このような用途や大きさの建築はできるの?」との質問に正確に答えることができません。

不動産取引や建築設計において都市計画や建築基準法の制限を説明する際には正しい根拠とその内容を正確に買主に伝える必要があります。

建築士試験、重要事項説明などにおいて必須の知識となりますので、こちらの記事が参考になれば嬉しいです。

それでは、わかりやすくポイントを絞って解説します。

 

 

 

1 建築基準法における重要事項説明事項とは?

重要事項説明では、宅建業法施行令第3条第1項第2号に掲げる内容を説明する必要があります。

宅建業法施行令第3条第1項第2号(重要事項説明:建築基準法

二 建築基準法第39条第2項、第43条、第43条の2、第44条第1項、第45条第1項、第47条、第48条第1項から第14項まで(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第49条(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第49条の2(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第50条(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第52条第1項から第14項まで、第53条第1項から第8項まで、第53条の2第1項から第3項まで、第54条第55条第1項から第3項まで、第56条第56条の2第57条の2第3項、第57条の4第1項第57条の5第58条第59条第1項及び第2項第59条の2第1項第60条第1項及び第2項第60条の2第1項、第2項、第3項(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)及び第6項第60条の2の2第1項から第3項まで及び第4項(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)第60条の3第1項、第2項及び第3項(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)第61条第67条第1項及び第3項から第7項まで、第68条第1項から第4項まで、第68条の2第1項及び第5項(これらの規定を同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第68条の9、第75条、第75条の2第5項、第76条の3第5項、第86条第1項から第4項まで、第86条の2第1項から第3項まで並びに第86条の8第1項及び第3項

「エッ」と思うぐらい多いですが、このうち都市計画や建築基準法に基づく指定や認可状況、条例などを調査し、該当する事項を説明することになります。

調査方法としては、都市計画課(法)や建築指導課(法)などを担当する窓口にて確認することとなります。

くれぐれも「どれが対象ですか?」などの尋ね方はやめましょう!

対象となる窓口にて確認して内容を理解し、説明が必要な事項を洗い出して整理するのが資格者の責務です。「役所がいったから。」では役割を果たしていません。

 

 

 

2 地区計画の条例化と届出の違いとは?

都市計画が、都市全体の計画を定めるのに対し、地区計画は都市の中の一定の範囲である地区レベルに合った詳細な街の計画を定めるものです。街区単位のきめ細やかな街づくりを行うために住民・事業者合意(発意)のもと都市計画決定されるものです。

地区計画の内容に沿って、建築や開発行為などを規制・誘導することで、目標とするまちづくり目指します。地区計画は「都市計画」で決定される重要な都市づくりの手法の一つです。

良好な街並み等を小さい街区単体で形成していくには効果的ですので、ニュータウンや駅前、幹線道路沿いで多く設定されます。

 

そのような地区計画ですが、「条例」と「届出」が2種類存在しています。

*この記事でいう地区計画は、防災街区整備地区整備計画、歴史的風致維持向上地区整備計画、沿道地区整備計画、集落地区整備計画などの個別法に基づく地区計画を除く、都市計画で定められる地区計画をいいます。

 

(市町村の条例に基づく制限)

第六十八条の二 市町村は、地区計画等の区域(地区整備計画、特定建築物地区整備計画、防災街区整備地区整備計画、歴史的風致維持向上地区整備計画、沿道地区整備計画又は集落地区整備計画(以下「地区整備計画等」という。)が定められている区域に限る。)内において、建築物の敷地、構造、建築設備又は用途に関する事項で当該地区計画等の内容として定められたものを、条例で、これらに関する制限として定めることができる。

2 前項の規定による制限は、建築物の利用上の必要性、当該区域内における土地利用の状況等を考慮し、地区計画、防災街区整備地区計画、歴史的風致維持向上地区計画又は沿道地区計画の区域にあつては適正な都市機能と健全な都市環境を確保するため、集落地区計画の区域にあつては当該集落地区計画の区域の特性にふさわしい良好な居住環境の確保と適正な土地利用を図るため、それぞれ合理的に必要と認められる限度において、同項に規定する事項のうち特に重要な事項につき、政令で定める基準に従い、行うものとする。

3 第一項の規定に基づく条例で建築物の敷地面積に関する制限を定める場合においては、当該条例に、当該条例の規定の施行又は適用の際、現に建築物の敷地として使用されている土地で当該規定に適合しないもの又は現に存する所有権その他の権利に基づいて建築物の敷地として使用するならば当該規定に適合しないこととなる土地について、その全部を一の敷地として使用する場合の適用の除外に関する規定(第三条第三項第一号及び第五号の規定に相当する規定を含む。)を定めるものとする。

4 第一項の規定に基づく条例で建築物の構造に関する防火上必要な制限を定める場合においては、当該条例に、第六十五条の規定の例により、当該制限を受ける区域の内外にわたる建築物についての当該制限に係る規定の適用に関する措置を定めるものとする。

5 市町村は、用途地域における用途の制限を補完し、当該地区計画等(集落地区計画を除く。)の区域の特性にふさわしい土地利用の増進等の目的を達成するため必要と認める場合においては、国土交通大臣の承認を得て、第一項の規定に基づく条例で、第四十八条第一項から第十三項までの規定による制限を緩和することができる。

条例とは、建築基準法第68条の2に基づく「地区計画条例」となり、建築確認申請において審査されることとなります。

条例化されている場合は、建築基準法に基づく指導・罰則等(罰則については条例に罰則規定を設ける必要がある)があります。

 

(建築等の届出等)

第五十八条の二 地区計画の区域(再開発等促進区若しくは開発整備促進区(いずれも第十二条の五第五項第一号に規定する施設の配置及び規模が定められているものに限る。)又は地区整備計画が定められている区域に限る。)内において、土地の区画形質の変更、建築物の建築その他政令で定める行為を行おうとする者は、当該行為に着手する日の三十日前までに、国土交通省令で定めるところにより、行為の種類、場所、設計又は施行方法、着手予定日その他国土交通省令で定める事項を市町村長に届け出なければならない。ただし、次に掲げる行為については、この限りでない。

一 通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で政令で定めるもの

二 非常災害のため必要な応急措置として行う行為

三 国又は地方公共団体が行う行為

四 都市計画事業の施行として行う行為又はこれに準ずる行為として政令で定める行為

五 第二十九条第一項の許可を要する行為その他政令で定める行為

2 前項の規定による届出をした者は、その届出に係る事項のうち国土交通省令で定める事項を変更しようとするときは、当該事項の変更に係る行為に着手する日の三十日前までに、国土交通省令で定めるところにより、その旨を市町村長に届け出なければならない。

3 市町村長は、第一項又は前項の規定による届出があつた場合において、その届出に係る行為が地区計画に適合しないと認めるときは、その届出をした者に対し、その届出に係る行為に関し設計の変更その他の必要な措置をとることを勧告することができる。

4 市町村長は、前項の規定による勧告をした場合において、必要があると認めるときは、その勧告を受けた者に対し、土地に関する権利の処分についてのあつせんその他の必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

 

届出とは、都市計画法第58条の2に基づく「地区計画届出」のことであり、行為に着手する30日前に市町村長に届出を行うものです。

この場合は、建築基準法第68条の2に基づき条例化されていません。

届出の場合は、法的拘束力は無く、勧告にとどまります。建築基準関係規定にはなりません。

 

 

 

3 地区計画条例化とは?

地区計画条例とは、建築基準法第68条の2に規定されているもので、地区計画が定められている区域(地区計画の中で地区整備計画等が定められている区域のみ)において、建築物の敷地、構造、建築設備、用途等について条例化できるものです。

条例化することで、建築基準関係規定となり、建築確認申請において確認が必要になります。

また、条例化にあたっては、令第136条の2の5(地区計画等の区域内において条例で定める制限)の規定により条例化されます。

elaws.e-gov.go.jp

具体的には、建築物の用途、容積率建蔽率、敷地面積の最低限度、壁面の位置の制限、建築物の高さの最高限度、建築物の高さの最高限度、建築物の形態又は意匠の制限、垣又は柵の構造の制限、建築物の建築の限界などについての制限が条例にて規定されます。

なお、建築基準法第48条(用途地域)の用途制限を緩和する地区整備計画の内容を条例化する場合は、あらかじめ国土交通大臣の承認が必要とされています。

地区計画条例は、市町村が行いますので、不動産調査など地区計画がある場合は、届出・条例の確認をしておきましょう。窓口や手続きの方法が異なる場合が多いです。

 

3-1 条例化と届出の選択

地区計画の建築基準法条例化ですが、地区計画を定める際の指針でもある都市計画運用指針上でも『条例化しなければならない』との記載はありません。

条例化するかどうかは自治体の裁量によるものです。

条例化の際は、地権者等からの要請・要望や議会の承認などの手続があり、よりハードルが高いことはまちがいがありません。

その物件の用途や面積などによっては、既存宅地を条例化するのは住民との合意形成に時間と労力がかかると思います。

条例化するのであれば、これから開発しようとする地区に対し将来の街並みを担保する上でも条例化するのが望ましいと考えられます。

 

 

 

4 地区計画届出とは?

地区計画届出は、都市計画法第58条の2に規定されており、都市計画法のみの適用となります。地区計画の指定のある区域内において、土地の区画形質の変更、建築物の建築等を行う場合には、着手する30日前までに届出が必要です。

先ほど説明したように、勧告では拘束力が低いことから、方向性にそぐわない建築行為を制限する必要がある場合は、条例化により対応している場合が多いようです。

国土交通省によると令和2年3月末時点で全国に8081地区計画(都市計画施行状況調査)存在しています。

www.mlit.go.jp

 

 

 

5 まとめ

いかがでしたか?

地区計画は、どの自治体でも指定の可能性があるものですが、場合によっては、都市計画図をインターネットや電話で確認するだけではわかりにくい場合も多いようです。

また、不動産業者の方や建築士の方は、取引等でこの地区に入っている場合には、忘れずに確認して、クライアントに説明できるようにしておくことが必要です。

思い込みはやめてきちんと窓口などで内容を確認することも必要です。

土地の仲介業者は購入希望者に対して、その土地がどの「用途地域」に属するかとあわせて、建築物への制限についても必ず伝える義務があります。

少しでも疑問がある場合は、事前に建築確認の部署(機関)に確認し法チェックをしておきましょう。

不動産の取引・設計や投資の際には、買主や施主の要望を十分に理解して、リスクを回避するためにも理解をしておく必要がありますね