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【重要事項説明】建築基準法第60条の3(特定用途誘導地区)|用途地域と異なる扱い!?都市計画法との関係、対象の地域とその理由!しっかり理解してがっちり土地利用。宅建・土地取引・投資のノウハウ!!

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こんかいは建築基準法第60条の3(特定用途誘導地区)についてです。

特定用途誘導地区とは、立地適正化計画で定める都市機能誘導区域内に指定され、地区内の建築物の用途、容積率・高さの最高限度について、通常の用途地域とは異なる扱い(緩和措置)が定められた地区です。

これらを詳細に理解するには、経験と知識が必要です。

しかしながら、どのような規定があるのか概要を理解しておけば、そのような物件に巡り合ったときに気づきが生まれます。

これが重要なのです。

内容を理解しておかないと、買主からの「このような用途や大きさの建築はできるの?」との質問に正確に答えることができません。

不動産取引や建築設計において都市計画や建築基準法の制限を説明する際には正しい根拠とその内容を正確に買主に伝える必要があります。

建築士試験、重要事項説明などにおいて必須の知識となりますので、こちらの記事が参考になれば嬉しいです。

それでは、わかりやすくポイントを絞って解説します。

 

 

 

1 建築基準法における重要事項説明事項とは?

重要事項説明では、宅建業法施行令第3条第1項第2号に掲げる内容を説明する必要があります。

宅建業法施行令第3条第1項第2号(重要事項説明:建築基準法

二 建築基準法第39条第2項、第43条、第43条の2、第44条第1項、第45条第1項、第47条、第48条第1項から第14項まで(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第49条(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第49条の2(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第50条(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第52条第1項から第14項まで、第53条第1項から第8項まで、第53条の2第1項から第3項まで、第54条第55条第1項から第3項まで、第56条第56条の2第57条の2第3項、第57条の4第1項第57条の5第58条第59条第1項及び第2項第59条の2第1項第60条第1項及び第2項第60条の2第1項、第2項、第3項(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)及び第6項第60条の2の2第1項から第3項まで及び第4項(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)第60条の3第1項、第2項及び第3項(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第61条、第67条第1項及び第3項から第7項まで、第68条第1項から第4項まで、第68条の2第1項及び第5項(これらの規定を同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第68条の9、第75条、第75条の2第5項、第76条の3第5項、第86条第1項から第4項まで、第86条の2第1項から第3項まで並びに第86条の8第1項及び第3項

「エッ」と思うぐらい多いですが、このうち都市計画や建築基準法に基づく指定や認可状況、条例などを調査し、該当する事項を説明することになります。

調査方法としては、都市計画課(法)や建築指導課(法)などを担当する窓口にて確認することとなります。

くれぐれも「どれが対象ですか?」などの尋ね方はやめましょう!

対象となる窓口にて確認して内容を理解し、説明が必要な事項を洗い出して整理するのが資格者の責務です。「役所がいったから。」では役割を果たしていません。

 

 

 

2 「特定用途誘導地区」とは

特定用途誘導地区は、平成26年の都市再生特別措置法の改正により設けられた比較的新しい制度です。

国土交通省の公表では、令和2年3月31日現在で、全国で3地区 約153haが都市計画決定されています。

www.mlit.go.jp

 

都市計画法第8条第1項第四号の2]

都市再生特別措置法(平成14年法律第22号)第36条第1項の規定による都市再生特別地区、同法第89条の規定による居住調整地域又は同法第109条第1項の規定による特定用途誘導地区

 

都市計画法第8条の規定により、都市再生特別措置法第109条第1項に規定されています。

 

[都市再生特別措置法第109条第1項]

立地適正化計画に記載された都市機能誘導区域のうち、当該都市機能誘導区域に係る誘導施設を有する建築物の建築を誘導する必要があると認められる区域都市計画法第8条第1項第一号に規定する用途地域(同号に掲げる工業専用地域を除く。)が定められている区域に限る。)については、都市計画に、特定用途誘導地区を定めることができる。

 

[都市計画運用指針 抜粋]

特定用途誘導地区は、都市機能誘導区域内において、誘導施設に限定して容積率や用途規制の緩和を行う一方、それ以外の建築物については従前通りの規制を適用することにより、誘導施設を有する建築物の建築を誘導することを目的とする地域地区である。

本制度は、誘導施設について、新築・建替え等の個別具体の構想がない段階で、特定用途誘導地区に当該施設を誘導したいという趣旨を事前明示するために設定することが想定されるが、個別具体の構想が決まってから当該地区を設定することも可能である。後者については、例えば、老朽化した医療施設や福祉施設の建替え、増築や新築の際に本制度を活用することが想定される。

なお、用途地域やそれを補完する特別用途地区、地区計画等は、建築物等の用途に応じて、単に建築を禁止又は許容するものであるが、今後、人口減少社会を迎え、活発な建築 活動も見込みにくくなる中で、用途地域等により、建築物の用途に応じて建築を禁止するだけでなく、民間の建築投資を必要な場所に誘導することが重要であり、こうした観点からも、特定用途誘導地区の活用が効果的である。

また、用途地域内において、指定容積率は、建築物の用途にかかわらず、すべての建築物について一律に適用されるものであるのに対し、特定用途誘導地区内において、誘導施設を有する建築物については、指定容積率とは別に定められた容積率の最高限度が適用される。

 

○制度のポイントをまとめるとこんな感じです。

  • 立地適正化計画における誘導施設を有する建築を誘導することを目的にしている。
  • 個別具体の構想の有無を問わず区域を設定することが可能
  • 民間の建築投資を必要な場所に誘導することに焦点を当てている。
  • 誘導施設については、指定容積率とは別に定められた容積率の最高限度が適用される。

※出典:国土交通省

 

 

 

3 「特定用途誘導地区」を指定可能な区域

特定用途誘導地区が指定できる区域は、立地適正化区域に定める都市機能誘導区域内となっています。これ以外の区域では、指定ができません。

都市機能誘導区域とは、医療施設、福祉施設、商業施設その他の都市の居住者の共同の福祉又は利便のため必要な施設で、都市機能の増進に著しく寄与するもの誘導を図る区域のことです。

要は、都市居住者の日常生活等に必要な機能の誘導を図る区域のことです。

 

 

 

4 「都市計画」で定める内容

[都市再生特別措置法第109条第2項]

 特定用途誘導地区に関する都市計画には、都市計画法第8条第3項第一号及び第三号に掲げる事項のほか、次に掲げる事項を定めるものとする。

一 建築物等の誘導すべき用途及びその全部又は一部を当該用途に供する建築物の容積率の最高限度

二 当該地区における土地の合理的かつ健全な高度利用を図るため必要な場合にあっては、建築物の容積率の最低限度及び建築物の建築面積の最低限度

三 当該地区における市街地の環境を確保するため必要な場合にあっては、建築物の高さの最高限度

 

都市計画で定める内容は、都市計画法ではなく都市再生特別措置法第109条第2項に規定されています。

《都市計画で定める内容》

  • 地域地区の種類(必須)
  • 位置(必須)
  • 区域(必須)
  • 建築物の容積率の最高限度(必須)
  • 建築物の容積率の最低限度(高度利用を図る場合:必要な場合)
  • 建築物の建築面積の最低限度(高度利用を図る場合:必要な場合)
  • 建築物の高さの最高限度(市街地の環境確保として必要な場合:必要な場合)

 

 

 

5 「特定用途誘導地区」を定めるのは

(都市計画を定める者)

第15条 次に掲げる都市計画は都道府県が、その他の都市計画は市町村が定める。

一 〜 四 (略)

四 第8条第1項第四号の二、第9号から第13号まで及び第16号に掲げる地域地区(同項第四号の二に掲げる地区にあつては都市再生特別措置法第36条第1項の規定による都市再生特別地区に、第八条第一項第九号に掲げる地区にあつては港湾法(昭和二十五年法律第二百十八号)第二条第二項の国際戦略港湾、国際拠点港湾又は重要港湾に係るものに、第八条第一項第十二号に掲げる地区にあつては都市緑地法第五条の規定による緑地保全地域(二以上の市町村の区域にわたるものに限る。)、首都圏近郊緑地保全法(昭和四十一年法律第百一号)第四条第二項第三号の近郊緑地特別保全地区及び近畿圏の保全区域の整備に関する法律(昭和四十二年法律第百三号)第六条第二項の近郊緑地特別保全地区に限る。)に関する都市計画

都市計画法第8条第1項第四号の二に、都市再生特別措置法に規定する、「居住調整地域」、「都市再生特別地区」、「特定用途誘導地区」が規定されていますが、カッコ書きの部分で、「都市再生特別地区」に限るとされています。

都市計画決定者は市町村となります。

 

 

 

6 建築基準法との関係

建築基準法第60条の3(特定用途誘導地区)

特定用途誘導地区内においては、建築物の容積率及び建築物の建築面積(同一敷地内に二以上の建築物がある場合においては、それぞれの建築面積)は、特定用途誘導地区に関する都市計画において建築物の容積率の最低限度及び建築物の建築面積の最低限度が定められたときは、それぞれ、これらの最低限度以上でなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する建築物については、この限りでない。

一 主要構造部が木造、鉄骨造、コンクリートブロック造その他これらに類する構造であつて、階数が二以下で、かつ、地階を有しない建築物で、容易に移転し、又は除却することができるもの

二 公衆便所、巡査派出所その他これらに類する建築物で、公益上必要なもの

三 学校、駅舎、卸売市場その他これらに類する公益上必要な建築物で、特定行政庁が用途上又は構造上やむを得ないと認めて許可したもの

2 特定用途誘導地区内においては、建築物の高さは、特定用途誘導地区に関する都市計画において建築物の高さの最高限度が定められたときは、当該最高限度以下でなければならない。ただし、特定行政庁が用途上又は構造上やむを得ないと認めて許可したものについては、この限りでない。

3 特定用途誘導地区内においては、地方公共団体は、その地区の指定の目的のために必要と認める場合においては、国土交通大臣の承認を得て、条例で、第四十八条第一項から第十三項までの規定による制限を緩和することができる。

4 第四十四条第二項の規定は、第一項第三号又は第二項ただし書の規定による許可をする場合に準用する。

 

建築基準法第60条の3第3項]

特定用途誘導地区内においては、地方公共団体は、その地区の指定の目的のために必要と認める場合においては、国土交通大臣の承認を得て、条例で、第48条第1項から第13項までの規定による制限を緩和することができる。

 

都市計画にて定められた内容については、建築基準法にて運用されていくことになります。

ただし、第1項各号に定められる内容については適用が除外されます。

また、第3項にあるように、自治体の条例化は必要ですが、大臣承認を得れば、用途地域内の制限を緩和することが可能です。

 

 

 

7 まとめ

いかがでしたか?

特定用途誘導地区については、コンパクトシティを目指す都市において、都市機能を維持・誘導していくためのインセンティブとじて誘導な手段です。

これから導入していく自治体が増加していくことが考えられます。

そのため、いつの間にか指定されいる可能性もあります。

都市計画図をインターネットや電話で確認するだけではわかりにくい場合も多いようです。

思い込みはやめてきちんと窓口などで内容を確認することも必要です。

土地の仲介業者は購入希望者に対して、その土地がどの「用途地域」に属するかとあわせて、建築物への制限についても必ず伝える義務があります。

少しでも疑問がある場合は、事前に建築確認の部署(機関)に確認し法チェックをしておきましょう。

不動産の取引・設計や投資の際には、買主や施主の要望を十分に理解して、リスクを回避するためにも理解をしておく必要がありますね。