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こんかいは建築基準法第52条第10~14項(容積率の制限の特例)の概要についてです。
「容積率」については、いろんな規定があり詳細に理解するには、経験と知識が必要です。
しかしながら、どのような規定があるのか概要を理解しておけば、そのような物件に巡り合ったときに気づきが生まれます。
これが重要なのです。
内容を理解しておかないと、買主からの「このような用途や大きさの建築はできるの?」との質問に正確に答えることができません。
不動産取引や建築設計において都市計画や建築基準法の制限を説明する際には正しい根拠とその内容を正確に買主に伝える必要があります。
建築士試験、重要事項説明などにおいて必須の知識となりますので、こちらの記事が参考になれば嬉しいです。
それでは、わかりやすくポイントを絞って解説します。
1 建築基準法における重要事項説明事項とは?
重要事項説明では、宅建業法施行令第3条第1項第2号に掲げる内容を説明する必要があります。
宅建業法施行令第3条第1項第2号(重要事項説明:建築基準法)
二 建築基準法第39条第2項、第43条、第43条の2、第44条第1項、第45条第1項、第47条、第48条第1項から第14項まで(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第49条(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第49条の2(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第50条(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第52条第1項から第14項まで、第53条第1項から第8項まで、第53条の2第1項から第3項まで、第54条、第55条第1項から第3項まで、第56条、第56条の2、第57条の2第3項、第57条の4第1項、第57条の5、第58条、第59条第1項及び第2項、第59条の2第1項、第60条第1項及び第2項、第60条の2第1項、第2項、第3項(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)及び第6項、第60条の2の2第1項から第3項まで及び第4項(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第60条の3第1項、第2項及び第3項(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第61条、第67条第1項及び第3項から第7項まで、第68条第1項から第4項まで、第68条の2第1項及び第5項(これらの規定を同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第68条の9、第75条、第75条の2第5項、第76条の3第5項、第86条第1項から第4項まで、第86条の2第1項から第3項まで並びに第86条の8第1項及び第3項
「エッ」と思うぐらい多いですが、このうち都市計画や建築基準法に基づく指定や認可状況、条例などを調査し、該当する事項を説明することになります。
調査方法としては、都市計画課(法)や建築指導課(法)などを担当する窓口にて確認することとなります。
くれぐれも「どれが対象ですか?」などの尋ね方はやめましょう!
対象となる窓口にて確認して内容を理解し、説明が必要な事項を洗い出して整理するのが資格者の責務です。「役所がいったから。」では役割を果たしていません。
2 容積率とは!?
容積率とは、「敷地面積(土地の面積)に対する延べ床面積(各階の床面積の合計)の割合」のことです。
建ぺい率といっしょに、建物の大きさを制限するために設けられた制限です。
「防火対策」「風通し、日当たりの確保」「景観を守る」だけでなく、人口をコントロールすることで、快適な住環境を守る役割があります。
容積率によって人口をコントロールすることで、快適な街づくりを行うことが目的です。
用途地域の指定がある場合は用途地域の種類(都市計画法)ごとに、無い場合は建築条例(建築基準法)などで指定容積率として定められている場合が多いです。
容積率とは=建築物の延べ面積※1の敷地面積に対する割合
※1:建築物の各階の床面積※2の合計
※2:建築物の各階又はその一部で壁その他の区画の中心で囲まれた部分の水平投影面積による。
(容積率の算定例)
敷地面積:300㎡
1階床面積:100㎡
2階床面積: 50㎡
容積率(%)=(100㎡+50㎡)÷300㎡*100
=50%
実際の設計では、容積率の算定に含める・含めない部分の規定があるため、設計士による計算が必要ですが、イメージとしてはこのような形で計算することができます。
この容積率は、都市計画や建築条例(用途地域の指定がない場合)にて定めてあります。
用途地域以外にも、高度利用地区や地区計画などによって、別途制限が設けられるケースなどもあります。
不動産取引で示す指定容積率については、基本的に都市計画や建築条例で定められた内容を記載します。
ほとんどの自治体では、都市計画情報を窓口やホームページに掲載しています。
それでは、今回の主題になります建築基準法第52条第10~14項における容積率の制限の特例について説明していきます。
3 建築基準法第52条第10~14項の特例
3-1 法第52条第10項
[建築基準法第52条第10項]
10 建築物の敷地が都市計画において定められた計画道路(第四十二条第一項第四号に該当するものを除くものとし、以下この項において「計画道路」という。)に接する場合又は当該敷地内に計画道路がある場合において、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて許可した建築物については、当該計画道路を第二項の前面道路とみなして、同項から第七項まで及び前項の規定を適用するものとする。この場合においては、当該敷地のうち計画道路に係る部分の面積は、敷地面積又は敷地の部分の面積に算入しないものとする。
計画道路に接する等の敷地の場合で、特定行政庁が許可した建築物については、その計画道路を前面道路とみなして、容積率の制限が適用されるという規定です。
都市計画道路がある場合は、その取扱いを特定行政庁がどう判断しているか確認が必要です。
3-2 法第52条第11項
[建築基準法第52条第11項]
11 前面道路の境界線又はその反対側の境界線からそれぞれ後退して壁面線の指定がある場合において、特定行政庁が次に掲げる基準に適合すると認めて許可した建築物については、当該前面道路の境界線又はその反対側の境界線は、それぞれ当該壁面線にあるものとみなして、第二項から第七項まで及び第九項の規定を適用するものとする。この場合においては、当該建築物の敷地のうち前面道路と壁面線との間の部分の面積は、敷地面積又は敷地の部分の面積に算入しないものとする。
一 当該建築物がある街区内における土地利用の状況等からみて、その街区内において、前面道路と壁面線との間の敷地の部分が当該前面道路と一体的かつ連続的に有効な空地として確保されており、又は確保されることが確実と見込まれること。
二 交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないこと。
前面道路の境界線又はその反対側の境界線からそれぞれ後退して壁面線の指定がある場合において、特定行政庁が定めた基準に適合すると認めて許可した建築物については、境界線は壁面線にあるものとみなして、容積率の制限がされるという規定です。
3-3 法第52条第12~13項
[建築基準法第52条第12項]
12 第二項各号の規定により前面道路の幅員のメートルの数値に乗ずる数値が十分の四とされている建築物で、前面道路の境界線から後退して壁面線の指定がある場合又は第六十八条の二第一項の規定に基づく条例で定める壁面の位置の制限(道路に面する建築物の壁又はこれに代わる柱の位置及び道路に面する高さ二メートルを超える門又は塀の位置を制限するものに限る。)がある場合において当該壁面線又は当該壁面の位置の制限として定められた限度の線(以下この項及び次項において「壁面線等」という。)を越えないもの(ひさしその他の建築物の部分で政令で定めるものを除く。)については、当該前面道路の境界線は、当該壁面線等にあるものとみなして、第二項から第七項まで及び第九項の規定を適用することができる。ただし、建築物の容積率は、当該前面道路の幅員のメートルの数値に十分の六を乗じたもの以下でなければならない。
[建築基準法第52条第13項]
13 前項の場合においては、当該建築物の敷地のうち前面道路と壁面線等との間の部分の面積は、敷地面積又は敷地の部分の面積に算入しないものとする。
前面道路幅員による容積率制限において前面道路の幅員に乗じる値が40とされている建築物で、前面道路の境界線から後退して壁面線の指定がある場合又は地区計画において壁面の位置の制限が定められ、かつ、条例の制限として定められている場合においては、その壁面線又は壁面の位置として定められた限度の線を前面道路の境界線とみなして容積率制限を適用することができるとするものです。但し、容積率の上限は前面道路の幅員に60を乗じたもの以下でなければなりません(法第52条第12項)。
また、前面道路と壁面線等の間の部分の面積は、容積率算定にあたり敷地面積に算入しません(法第52条第13項)。
3-3 法第52条第14項
[建築基準法第52条第14項]
14 次の各号のいずれかに該当する建築物で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて許可したものの容積率は、第一項から第九項までの規定にかかわらず、その許可の範囲内において、これらの規定による限度を超えるものとすることができる。
一 同一敷地内の建築物の機械室その他これに類する部分の床面積の合計の建築物の延べ面積に対する割合が著しく大きい場合におけるその敷地内の建築物
二 その敷地の周囲に広い公園、広場、道路その他の空地を有する建築物
機械室の占める割合が大きい建築物や敷地内に広い空地等がある建築物で、特定行政庁が許可した場合は、許可の範囲内で、容積率の制限を超えて建築することができる規定です(法第52条第14項)。
(参考)東京都容積率の許可に関する取扱基準の概要
www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp
4 まとめ
いかがでしたか?
建築基準法第52条第10~14項については、個別の建築敷地に対して特定行政庁の判断が必要な場合が多く、その結果で使用できる容積率の内容が確定するものとなっています。
特定行政庁である窓口に事前に確認をしておく必要があります。
また、容積率・建ぺい率のほかにも敷地の条件に合わせて守るべき、下記のように規模を制限する法律があります。
少しでも疑問がある場合は、事前に建築確認の部署(機関)に確認し法チェックをしておきましょう。
一概にホームページのパンフレットだけでは読み解けない部分もあるため、きちんと窓口などで内容を確認することが必要です。
不動産の取引・設計や投資の際には、買主や施主の要望を十分に理解して、リスクを回避するためにも理解をしておく必要がありますね。
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