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こんかいは建築基準法第52条第7項(容積率:用途地域が複数にまたがる場合の容積率)についてです。
「容積率」については、用途地域が複数にまたがる場合は指定容積率よりも設計上の容積率の上限値が低くなる場合があります。
つまり用途地域や建築条例で指定してある指定容積率上限まで建物が建築できないのです。
検討している土地が複数の用途地域にまたがる物件の取引や投資は要注意です。
内容を理解しておかないと、買主からの「このような用途や大きさの建築はできるの?」との質問に正確に答えることができません。
不動産取引において都市計画や建築基準法の制限を説明する際には正しい根拠とその内容を正確に買主に伝える必要があります。
それでは、「容積率」を中心にして、わかりやすくポイントを絞って解説します。
- 1 建築基準法における重要事項説明事項とは?
- 2 容積率とは
- 3 都市計画における指定容積率
- 4 異なる容積率が指定されている場合の考え方(計算)
- 4 前面道路が12m未満の場合の注意点など
- 5 まとめ
まずは、なぜ重要事項で説明が必要なのか。その理由から。
1 建築基準法における重要事項説明事項とは?
重要事項説明では、宅建業法施行令第3条第1項第2号に掲げる内容を説明する必要があります。
宅建業法施行令第3条第1項第2号(重要事項説明:建築基準法)
二 建築基準法第39条第2項、第43条、第43条の2、第44条第1項、第45条第1項、第47条、第48条第1項から第14項まで(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第49条(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第49条の2(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第50条(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第52条第1項から第14項まで、第53条第1項から第8項まで、第53条の2第1項から第3項まで、第54条、第55条第1項から第3項まで、第56条、第56条の2、第57条の2第3項、第57条の4第1項、第57条の5、第58条、第59条第1項及び第2項、第59条の2第1項、第60条第1項及び第2項、第60条の2第1項、第2項、第3項(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)及び第6項、第60条の2の2第1項から第3項まで及び第4項(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第60条の3第1項、第2項及び第3項(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第61条、第67条第1項及び第3項から第7項まで、第68条第1項から第4項まで、第68条の2第1項及び第5項(これらの規定を同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第68条の9、第75条、第75条の2第5項、第76条の3第5項、第86条第1項から第4項まで、第86条の2第1項から第3項まで並びに第86条の8第1項及び第3項
「エッ」と思うぐらい多いですが、このうち都市計画や建築基準法に基づく指定や認可状況、条例などを調査し、該当する事項を説明することになります。
調査方法としては、都市計画課(法)や建築指導課(法)などを担当する窓口にて確認することとなります。
くれぐれも「どれが対象ですか?」などの尋ね方はやめましょう!
対象となる窓口にて確認して内容を理解し、説明が必要な事項を洗い出して整理するのが資格者の責務です。「役所がいったから。」では役割を果たしていません。
続いて、「容積率」の定義についてです。
2 容積率とは
容積率とは、「敷地面積(土地の面積)に対する延べ床面積(各階の床面積の合計)の割合」のことです。
建ぺい率といっしょに、建物の大きさを制限するために設けられた制限です。
「防火対策」「風通し、日当たりの確保」「景観を守る」だけでなく、人口をコントロールすることで、快適な住環境を守る役割があります。
容積率によって人口をコントロールすることで、快適な街づくりを行うことが目的です。
用途地域の指定がある場合は用途地域の種類(都市計画法)ごとに、無い場合は建築条例(建築基準法)などで指定容積率として定められている場合が多いです。
容積率とは=建築物の延べ面積※1の敷地面積に対する割合
※1:建築物の各階の床面積※2の合計
※2:建築物の各階又はその一部で壁その他の区画の中心で囲まれた部分の水平投影面積による。
(容積率の算定例)
敷地面積:100㎡
1階床面積:50㎡
2階床面積:25㎡
容積率(%)=(50㎡+25㎡)÷100㎡*100=75%
実際の設計では、容積率の算定に含める・含めない部分の規定があるため、設計士による計算が必要ですが、イメージとしてはこのような形で計算することができます。
この容積率は、都市計画や建築条例(用途地域の指定がない場合)にて定めてあります。
用途地域以外にも、高度利用地区や地区計画などによって、別途制限が設けられるケースなどもあります。
不動産取引で示す指定容積率については、基本的に都市計画や建築条例で定められた内容を記載します。
ほとんどの自治体では、都市計画情報を窓口やホームページに掲載しています。
3 都市計画における指定容積率
用途地域が指定されている場合は、都市計画にて指定容積率が定められます。
用途地域の種類に応じて、下記の数値のいずれかが決定権者(県・もしくは市町村)により指定(選択)されています。
●第一種低層住居専用地域・第二種低層住居専用地域・田園住居地域
(50、60、80、100、150、200)%
●第一種中高層住居専用地域・第二種中高層住居専用地域・第一種住居地域・第二種住居地域・準住居地域・近隣商業地域・準工業地域
(100、150、200、300、400、500)%
●商業地域
(200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300)%
●工業地域、工業専用地域
(100、150、200、300、400)%
●用途地域の指定のない区域(市街化調整区域・用途白地地域)*建築基準法による場合有
(50、80、100、200、300、400)%
これ以外にも、地区計画などで別途制限を設けている場合があるので注意が必要してください。
ここまでは大丈夫でしょか?
ここからが今回の本題。
同一敷地内で異なる容積率が指定されている場合の考え方(計算)についてです。
4 異なる容積率が指定されている場合の考え方(計算)
建築基準法第52条第7項
建築物の敷地が第1項及び第2項の規定による建築物の容積率に関する制限を受ける地域、地区又は区域の2以上にわたる場合においては、当該建築物の容積率は、第1項及び第2項の規定による当該各地域、地区又は区域内の建築物の容積率の限度にその敷地の当該地域、地区又は区域内にある各部分の面積の敷地面積に対する割合を乗じて得たものの合計以下でなければならない。
条文にある『各部分の面積の敷地面積に対する割合を乗じて得たものの』という部分にあるようで、つまり『加重平均』ということです。
計算は下の例を参考にしてください。
敷地面積:100㎡
指定容積率100%部分:70㎡
指定容積率200%部分:30㎡
容積率の限度=70㎡×100%+30㎡×200%=130%
この計算は、またがる場合のパターンとして基本的な例を示したものです。
計算した数値よりも指定容積率が低い位場合は、数値が小さいほうが採用されます。
また、
4 前面道路が12m未満の場合の注意点など
前面道路が12m未満の場合の容積率の計算方法は建築基準法第52条第2項に規定されており、容積率は前面道路幅員*0.4or0.6を乗じた数値となります。
詳しくはこちらの記事を参考にしてください。
に書いてますので、より内容を理解したい方は是非、ご覧ください。
ここまでのケースは、用途地域がまたがる場合の容積率の計算として基本的な例を示したものです。
また、指定容積率が異なるケースでも、前面道路が12m未満(特に6m未満には注意)の場合には、指定された容積率よりも低くなることが考えられますので、建築設計時や重要事項説明時は注意が必要となります。
5 まとめ
いかがでしたか?
用途地域が複数にまたがる場合の、容積率の計算については理解できたでしょうか?
容積率については、これ以外にも前面道路(同条第2項)・緩和手法(同条第8項)・特定道路(同条第9項)の規定などが複合的に算出され最終的に活用できる容積率が決定します。
少しでも疑問がある場合は、事前に建築確認の部署(機関)に確認をしておきましょう。
今回の記事をご覧になってお分かりかと思いますが、都市計画法と建築基準法は密接な関係にあります。
一概にホームページのパンフレットだけでは読み解けない部分もあるため、きちんと窓口などで内容を確認し理解解しましょう。
不動産の取引や投資の際には、買主や施主の要望を十分に理解して、リスクを回避するためにも理解をしておく必要がありますね。