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【重要事項説明】建築基準法第52条第9項|こんな方法でも!意外と知らない容積率の緩和方法。宅建・土地取引・投資のノウハウ!!

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こんかいは建築基準法第52条第9項(特定道路と接続することによって決まる容積率の緩和)の概要についてです。

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容積率」については、いろんな規定があり詳細に理解するには、経験と知識が必要です。

しかしながら、どのような規定があるのか概要を理解しておけば、そのような物件に巡り合ったときに気づきが生まれます。

これが重要なのです。

内容を理解しておかないと、買主からの「このような用途や大きさの建築はできるの?」との質問に正確に答えることができません。

不動産取引において都市計画や建築基準法の制限を説明する際には正しい根拠とその内容を正確に買主に伝える必要があります。

建築士試験、重要事項説明などにおいて必須の知識となりますので、こちらの記事が参考になれば嬉しいです。

それでは、わかりやすくポイントを絞って解説します。

 

 

 

1 建築基準法における重要事項説明事項とは?

重要事項説明では、宅建業法施行令第3条第1項第2号に掲げる内容を説明する必要があります。

宅建業法施行令第3条第1項第2号(重要事項説明:建築基準法

二 建築基準法第39条第2項、第43条、第43条の2、第44条第1項、第45条第1項、第47条、第48条第1項から第14項まで(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第49条(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第49条の2(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第50条(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第52条第1項から第14項まで、第53条第1項から第8項まで、第53条の2第1項から第3項まで、第54条、第55条第1項から第3項まで、第56条、第56条の2、第57条の2第3項、第57条の4第1項、第57条の5、第58条、第59条第1項及び第2項、第59条の2第1項、第60条第1項及び第2項、第60条の2第1項、第2項、第3項(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)及び第6項、第60条の2の2第1項から第3項まで及び第4項(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第60条の3第1項、第2項及び第3項(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第61条、第67条第1項及び第3項から第7項まで、第68条第1項から第4項まで、第68条の2第1項及び第5項(これらの規定を同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第68条の9、第75条、第75条の2第5項、第76条の3第5項、第86条第1項から第4項まで、第86条の2第1項から第3項まで並びに第86条の8第1項及び第3項

「エッ」と思うぐらい多いですが、このうち都市計画や建築基準法に基づく指定や認可状況、条例などを調査し、該当する事項を説明することになります。

調査方法としては、都市計画課(法)や建築指導課(法)などを担当する窓口にて確認することとなります。

くれぐれも「どれが対象ですか?」などの尋ね方はやめましょう!

対象となる窓口にて確認して内容を理解し、説明が必要な事項を洗い出して整理するのが資格者の責務です。「役所がいったから。」では役割を果たしていません。

 

 

 

2 容積率とは

容積率とは、「敷地面積(土地の面積)に対する延べ床面積(各階の床面積の合計)の割合」のことです。

建ぺい率といっしょに、建物の大きさを制限するために設けられた制限です。

「防火対策」「風通し、日当たりの確保」「景観を守る」だけでなく、人口をコントロールすることで、快適な住環境を守る役割があります。

 容積率によって人口をコントロールすることで、快適な街づくりを行うことが目的です。

用途地域の指定がある場合は用途地域の種類(都市計画法)ごとに、無い場合は建築条例(建築基準法)などで指定容積率として定められている場合が多いです。

 

容積率とは=建築物の延べ面積※1の敷地面積に対する割合

※1:建築物の各階の床面積※2の合計

※2:建築物の各階又はその一部で壁その他の区画の中心で囲まれた部分の水平投影面積による。

 

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容積率の算定例)

敷地面積:300㎡

1階床面積:100㎡

2階床面積: 50㎡

容積率(%)=(100㎡+50㎡)÷300㎡*100

=50%

実際の設計では、容積率の算定に含める・含めない部分の規定があるため、設計士による計算が必要ですが、イメージとしてはこのような形で計算することができます。

この容積率は、都市計画や建築条例(用途地域の指定がない場合)にて定めてあります。

用途地域以外にも、高度利用地区や地区計画などによって、別途制限が設けられるケースなどもあります。

不動産取引で示す指定容積率については、基本的に都市計画や建築条例で定められた内容を記載します。

ほとんどの自治体では、都市計画情報を窓口やホームページに掲載しています。

それでは、今回の主題になります特定道路と接続することによって決まる容積率の緩和について説明していきます。

 

 

 

3 建築基準法第52条第9項の概要

建築基準法第52条第9 項]

建築物の敷地が、幅員15m以上の道路(以下この項において「特定道路」という。)に接続する幅員6m以上12m未満の前面道路のうち当該特定道路からの延長が70m以内の部分において接する場合における当該建築物に対する第2項から第7項までの規定の適用については、第2項中「幅員」とあるのは、「幅員(第九項の特定道路に接続する同項の前面道路のうち当該特定道路からの延長が70m以内の部分にあつては、その幅員に、当該特定道路から当該建築物の敷地が接する当該前面道路の部分までの延長に応じて政令で定める数値を加えたもの)」とする。

 

建築基準法施行令第135条の18:政令

第135条の18 法第52条第9項の政令で定める数値は、次の式によつて計算したものとする。

Wa=(12-Wr)(70-L)/70

(この式において、Wa、Wr及びLは、それぞれ次の数値を表すものとする。)

Wa:法第52条第9項の政令で定める数値(単位m)

Wr:前面道路の幅員(単位m)

L:法第52条第9項の特定道路からその建築物の敷地が接する前面道路の部分の直近の端までの延長(単位m)

前面道路の幅員が6m以上12m未満であり、敷地が70m以内で特定道路に接続している場合、容積率が加算(緩和)されるという規定です。

特定道路とは幅員15m以上の道路をいいます。

この規定では、容積率の計算上、前面道路の幅員が加算されることにより、本来使える容積率よりも大きな容積率を使えるようになります。

広幅員道路に接する敷地の容積率と、それに隣接する狭い幅員の道路に接する敷地の容積率との間に急激な変化が生じるのを防ぐためです。

容積率の加算は、特定道路までの距離に応じることとなっており、次の計算により求められます。

 

 

 

4 容積率緩和の計算例

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用途地域:商業地域 / Wr(前面道路):6m / L(特定道路からの距離):35 m

Wa(前面道路幅員に加える値)

(12-6)×(70-35)/70 = 3m

前面道路とみなされる幅員

Wr + Wa = 6m+3m = 9m

容積率

9m × 60% = 540%

本来は、360%しか使用できない地域です(6m×60%:前面道路による容積率の計算)。

しかし、特定道路からの距離が70m以内であるため、容積率の緩和により、540%まで使用できます。

(参考)前面道路の幅員による容積率の考え方についてはコチラ>>

ossan358.hatenablog.com

 

 

 

5 まとめ

いかがでしたか?

建築基準法第52条第9項の緩和については、特例道路に接する敷地のみ高い容積率を有するものの、その敷地から奥に離れると使用可能な容積率が急激に低くなってしまう変化を緩和するために設けられています。

特定道路としての緩和ができるかどうかは、整備中の都市計画道路などでも可能な場合がありますので各自治体などの窓口で確認してみましょう。

建築設計には、容積率・建ぺい率のほかにも敷地の条件に合わせて守るべき、下記のように規模を制限する法律があります。

少しでも疑問がある場合は、事前に建築確認の部署(機関)に確認をしておきましょう。

一概にホームページのパンフレットだけでは読み解けない部分もあるため、きちんと窓口などで内容を確認し理解しておきましょう。

不動産の取引や投資の際には、買主や施主の要望を十分に理解して、リスクを回避するためにも理解をしておく必要がありますね。