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こんかいは建築基準法第59条(高度利用地区)についてです。
高度利用地区とは、低層な建物が多く、土地が細分化されているような密集市街地において、土地をくっつけて一体的な再開発を行ない、高層ビルなどの高い建物を建てられるようにした地区です。高度地区とは、ここでの高度(こうど)とは、小さな建物ではなくより大きな建物を建ててハイレベル(高次元)に土地を利用するという意味であり、高度地区とは逆の意味になります。
これらを詳細に理解するには、経験と知識が必要です。
しかしながら、どのような規定があるのか概要を理解しておけば、そのような物件に巡り合ったときに気づきが生まれます。
これが重要なのです。
内容を理解しておかないと、買主からの「このような用途や大きさの建築はできるの?」との質問に正確に答えることができません。
不動産取引や建築設計において都市計画や建築基準法の制限を説明する際には正しい根拠とその内容を正確に買主に伝える必要があります。
建築士試験、重要事項説明などにおいて必須の知識となりますので、こちらの記事が参考になれば嬉しいです。
それでは、わかりやすくポイントを絞って解説します。
目次 [非表示]
1 建築基準法における重要事項説明事項とは?
重要事項説明では、宅建業法施行令第3条第1項第2号に掲げる内容を説明する必要があります。
宅建業法施行令第3条第1項第2号(重要事項説明:建築基準法)
二 建築基準法第39条第2項、第43条、第43条の2、第44条第1項、第45条第1項、第47条、第48条第1項から第14項まで(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第49条(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第49条の2(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第50条(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第52条第1項から第14項まで、第53条第1項から第8項まで、第53条の2第1項から第3項まで、第54条、第55条第1項から第3項まで、第56条、第56条の2、第57条の2第3項、第57条の4第1項、第57条の5、第58条、第59条第1項及び第2項、第59条の2第1項、第60条第1項及び第2項、第60条の2第1項、第2項、第3項(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)及び第6項、第60条の2の2第1項から第3項まで及び第4項(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第60条の3第1項、第2項及び第3項(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第61条、第67条第1項及び第3項から第7項まで、第68条第1項から第4項まで、第68条の2第1項及び第5項(これらの規定を同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第68条の9、第75条、第75条の2第5項、第76条の3第5項、第86条第1項から第4項まで、第86条の2第1項から第3項まで並びに第86条の8第1項及び第3項
「エッ」と思うぐらい多いですが、このうち都市計画や建築基準法に基づく指定や認可状況、条例などを調査し、該当する事項を説明することになります。
調査方法としては、都市計画課(法)や建築指導課(法)などを担当する窓口にて確認することとなります。
くれぐれも「どれが対象ですか?」などの尋ね方はやめましょう!
対象となる窓口にて確認して内容を理解し、説明が必要な事項を洗い出して整理するのが資格者の責務です。「役所がいったから。」では役割を果たしていません。
2 高度利用地区とは
[都市計画法第9条第19項]
高度利用地区は、用途地域内の市街地における土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新とを図るため、建築物の容積率の最高限度及び最低限度、建築物の建蔽率の最高限度、建築物の建築面積の最低限度並びに壁面の位置の制限を定める地区とする。
[都市計画運用指針 7.高度利用地区]の抜粋
高度利用地区は、建築物の敷地等の統合を促進し、小規模建築物の建築を抑制するとともに建築物の敷地内に有効な空地を確保することにより、用途地域内の土地の高度利用と都市機能の更新とを図ることを目指した地域地区である。
基本的には、「市街地再開発事業」にセットで指定されるものです。(都市再開発法第3条又は第3条の2)
定める内容は、
となっています。
高度利用地区とは、低層な建物が多く、土地が細分化されているような密集市街地において、土地をくっつけて一体的な再開発を行ない、高層ビルなどの高い建物を建てられるようにした地区です。
つまり、ここでの高度(こうど)とは、小さな建物ではなくより大きな建物を建ててハイレベル(高次元)に土地を利用するという意味があります。
3 高度利用地区が指定される地区は?
[都市計画運用指針 7.高度利用地区]の抜粋
○枢要(最も重要なという意味)な商業用地、業務用地又は住宅用地として土地の高度利用を図るべき区域で あって、現存する建築物の相当部分の容積率が都市計画で指定されている容積率より著しく低い区域
○土地利用が細分化されていること、公共施設の整備が不十分なこと等により土地の利用状況が著しく不健全な地区であって、都市環境の改善上又は災害の防止上土地の高度利用を図るべき区域
○都市基盤施設が高い水準で整備されており、かつ、高次の都市機能が集積しているものの、建築物の老朽化又は陳腐化が進行しつつある区域であって、建築物の建替えを通じて都市機能の更新を誘導する区域
○大部分が第一種中高層住居専用地域及び第二種中高層住居専用地域内に存し、かつ、大部分が建築物その他の工作物の敷地として利用されていない区域で、その全部又は一部を中高層の住宅用地として整備する区域
○高齢社会の進展等に対応して、高齢者を初めとする不特定多数の者が円滑に利用できるような病院、老人福祉センター等の建築物を整備すべき区域であって、建築物の建替え等を通じた土地の高度利用により都市機能の更新・充実を誘導する区域
高度利用を図る必然性があり、土地利用の確実性があるような場合(市街地再開発事業など)に指定することができるというものです。
指定は、市町村が都市計画決定します。
《指定状況》
令和2年3月31日現在で全国で283都市が指定しています。
4 高度地区と高度利用地区の違い
繰り返しの部分もありますが、高度地区との比較をすると次のとおりになります。
《高度利用地区》
①趣旨
建築物の敷地等の統合を促進し、小規模建築物の建築を抑制するとともに建築物の敷地内に有効な空地を確保することにより、用途地域内の土地の高度利用と都市機能の更新とを図ることを目指
②定める制限の内容
③特徴
低容積率で土地が細分化された市街地の土地の統合を促進して、都市機能更新(市街地再開発)などの場合
《高度地区》
①趣旨
都市の合理的土地利用計画に基づき、将来の適正な人口密度、交通量その他都市機能に適応した土地の高度利用及び居住環境の整備を図ることを目的
②定める制限の内容
建築物の高さの最高限度又は最低限度
③特徴
建築密度が過大になる恐れがある市街地で指定されるもので、居住環境保護を図る場合や、景観・眺望に配慮して建築物の高さを揃える必要がある場合
要は、高度利用地区が高い建物を建てて利用する(高度利用)を図るために制限する地区なのに対して、高度地区は、単純に高さ(高度)に制限を加える地区です
5 高度利用地区と建築基準法の関係
[建築基準法第59条第1項]
高度利用地区内においては、建築物の容積率及び建蔽率並びに建築物の建築面積(同一敷地内に二以上の建築物がある場合においては、それぞれの建築面積)は、高度利用地区に関する都市計画において定められた内容に適合するものでなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する建築物については、この限りでない。
一 主要構造部が木造、鉄骨造、コンクリートブロック造その他これらに類する構造であつて、階数が2以下で、かつ、地階を有しない建築物で、容易に移転し、又は除却することができるもの
二 公衆便所、巡査派出所その他これらに類する建築物で、公益上必要なもの
三 学校、駅舎、卸売市場その他これらに類する公益上必要な建築物で、特定行政庁が用途上又は構造上やむを得ないと認めて許可したもの
[建築基準法第59条第2項]
高度利用地区内においては、建築物の壁又はこれに代わる柱は、建築物の地盤面下の部分及び国土交通大臣が指定する歩廊の柱その他これに類するものを除き、高度利用地区に関する都市計画において定められた壁面の位置の制限に反して建築してはならない。ただし、前項各号の一に該当する建築物については、この限りでない。
高度利用地区が指定されると建築基準法第59条の規定により、都市計画において定められた制限の内容に適合させる必要があります。
高度利用地区内では、建築面積の最低限度を制限されるため、土地を統合して高度利用による再開発を促進します。
また、容積率の最高限度を定めることで、用途地域による容積率を緩和して高い建物を建築し、逆に容積率の最低限度も定めることで低層建物が建てられないようにしています。
更に、建ぺい率や壁面線を制限することで、敷地内にオープンスペースを確保し環境を整えます。
高度利用地区に指定されると、木造・鉄骨造等で2階建以下で移転や除去が容易な建物以外は、高度利用地区の指定内容に適合する建物しか建てられません。
6 まとめ
いかがでしたか?
高度地区というイメージとは少し違ったと思います。
高度利用地区は、市街地再開発事業とセットで指定されていることが多いため、事業中の地区だけでなく事業が完了している箇所にも指定が残っています。
つまり、市街地再開発事業の行われた物件を取り扱う場合は、注意が必要ということですね。
また、高度利用地区は、いわゆる高層マンションや高層ビルなどを建てるための都市計画なので、近隣に再開発の終わっていない高度利用地区があれば、高い建物が建つと考えたほうがよいでしょう。そのため将来、眺望が遮られる可能性があることも考えておくべきです。
都市計画図をインターネットや電話で確認するだけではわかりにくい場合も多いようです。
思い込みはやめてきちんと窓口などで内容を確認することも必要です。
土地の仲介業者は購入希望者に対して、その土地がどの「用途地域」に属するかとあわせて、建築物への制限についても必ず伝える義務があります。
少しでも疑問がある場合は、事前に建築確認の部署(機関)に確認し法チェックをしておきましょう。
不動産の取引・設計や投資の際には、買主や施主の要望を十分に理解して、リスクを回避するためにも理解をしておく必要がありますね。