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こんかいは建築基準法第67条(特定防災街区整備地区)についてです。
特定防災街区整備地区とは、密集市街地における災害拡大を防止するための制限や避難道路・公園を設ける地区のことです。
なんとなくわかっているようで、詳しく説明しようとすると理解できていないものです。
これらを詳細に理解するには、経験と知識が必要です。
しかしながら、どのような規定があるのか概要を理解しておけば、そのような物件に巡り合ったときに気づきが生まれます。
これが重要なのです。
内容を理解しておかないと、買主からの「このような用途や大きさの建築はできるの?」との質問に正確に答えることができません。
不動産取引や建築設計において都市計画や建築基準法の制限を説明する際には正しい根拠とその内容を正確に買主に伝える必要があります。
建築士試験、重要事項説明などにおいて必須の知識となりますので、こちらの記事が参考になれば嬉しいです。
それでは、わかりやすくポイントを絞って解説します。
- 1 建築基準法における重要事項説明事項とは?
- 2 特定防災街区整備地区(とくていぼうさいがいくせいびちく)とは?
- 2 密集市街地とは?
- 3 特定防災街区整備地区の指定
- 4 特定防災街区整備地区と建築基準法との関係
- 5 まとめ
1 建築基準法における重要事項説明事項とは?
重要事項説明では、宅建業法施行令第3条第1項第2号に掲げる内容を説明する必要があります。
宅建業法施行令第3条第1項第2号(重要事項説明:建築基準法)
二 建築基準法第39条第2項、第43条、第43条の2、第44条第1項、第45条第1項、第47条、第48条第1項から第14項まで(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第49条(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第49条の2(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第50条(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第52条第1項から第14項まで、第53条第1項から第8項まで、第53条の2第1項から第3項まで、第54条、第55条第1項から第3項まで、第56条、第56条の2、第57条の2第3項、第57条の4第1項、第57条の5、第58条、第59条第1項及び第2項、第59条の2第1項、第60条第1項及び第2項、第60条の2第1項、第2項、第3項(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)及び第6項、第60条の2の2第1項から第3項まで及び第4項(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第60条の3第1項、第2項及び第3項(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第61条、第67条第1項及び第3項から第7項まで、第68条第1項から第4項まで、第68条の2第1項及び第5項(これらの規定を同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第68条の9、第75条、第75条の2第5項、第76条の3第5項、第86条第1項から第4項まで、第86条の2第1項から第3項まで並びに第86条の8第1項及び第3項
「エッ」と思うぐらい多いですが、このうち都市計画や建築基準法に基づく指定や認可状況、条例などを調査し、該当する事項を説明することになります。
調査方法としては、都市計画課(法)や建築指導課(法)などを担当する窓口にて確認することとなります。
くれぐれも「どれが対象ですか?」などの尋ね方はやめましょう!
対象となる窓口にて確認して内容を理解し、説明が必要な事項を洗い出して整理するのが資格者の責務です。「役所がいったから。」では役割を果たしていません。
2 特定防災街区整備地区(とくていぼうさいがいくせいびちく)とは?
特定防災街区整備地区とは、密集市街地での火災や地震などの災害に対して、防災機能の確保と健全な土地利用を図るために整備する地区で、密集市街地整備法に定められています。
都市の防災を確保する上では木造密集市街地の解消が重要ですので、都市計画においても地域地区として「特定防災街区整備地区」を指定することが可能となっています。
特定防災街区整備地区は、防火地域または準防火地域のうち防災街区として整備すべき区域について指定され、建築物には次の基準が規定されます。
- 建築物の種類
- 敷地面積の最低限度
- 壁面位置の制限
- 防災都市計画施設の間口率の最低限度
- 建築物の高さの最低限度
街区とは道路に囲まれた区域のことを指すため、防災街区とは、街が救急車や消防車の通れる防災上有効な道路に囲まれた区域になっていることを意味しています。
このように、特定防災街区整備地区は、延焼防止効果の高い建物の防災性能や敷地面積に関する制限を定め、避難路の機能を果たすセットバックした建物の建築を誘導します。同時に道路や公園などの防災公共施設を整備します。
地区内で、建築行為等(土地の区画形質の変更、建築物・工作物の建築)をする場合は、原則として工事着手の30日前までに各自治体へ届出が必要です。
特定防災街区整備地区は、各自治体の条例ごとに内容が異なるため、注意が必要です。
2 密集市街地とは?
密集市街地とは、「老朽化した木造の建築物が密集しており、かつ、十分な公共施設が整備されていないことその他当該区域内の土地利用の状況から、その特定防災機能が確保されていない市街地」をいいます。
なお、特定防災機能とは、火災・地震が発生した場合に延焼防止上及び避難上確保されるべき機能のことをいい、高密度に木造建築物(耐火・準耐火以外)が建築されている市街地のうち、その改善を効率的に図るためにつくられた法律です。
また、「防災街区整備事業」といって両地区内において市街地再開発的な事業を実施することが可能です。
3 特定防災街区整備地区の指定
令和2年3月末時点の国土交通省が公表している「都市計画施行状況調査」では、全国で11地区指定されています。
東京都:新宿区、墨田区、品川区、目黒区、世田谷区、豊島区、北区、板橋区
4 特定防災街区整備地区と建築基準法との関係
建築基準法においては、都市計画で定められた内容についての制限が規定されます。
(特定防災街区整備地区)*重要事項説明対象部分のみ抜粋
第六十七条 特定防災街区整備地区内にある建築物は、耐火建築物等又は準耐火建築物等としなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する建築物については、この限りでない。
一 延べ面積が五十平方メートル以内の平家建ての附属建築物で、外壁及び軒裏が防火構造のもの
二 卸売市場の上家、機械製作工場その他これらと同等以上に火災の発生のおそれが少ない用途に供する建築物で、主要構造部が不燃材料で造られたものその他これに類する構造のもの
三 高さ二メートルを超える門又は塀で、不燃材料で造られ、又は覆われたもの
四 高さ二メートル以下の門又は塀
2 建築物が特定防災街区整備地区と特定防災街区整備地区として指定されていない区域にわたる場合においては、その全部について、前項の規定を適用する。ただし、その建築物が特定防災街区整備地区外において防火壁で区画されている場合においては、その防火壁外の部分については、この限りでない。
3 特定防災街区整備地区内においては、建築物の敷地面積は、特定防災街区整備地区に関する都市計画において定められた建築物の敷地面積の最低限度以上でなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する建築物の敷地については、この限りでない。
一 公衆便所、巡査派出所その他これらに類する建築物で公益上必要なもの
二 特定行政庁が用途上又は構造上やむを得ないと認めて許可したもの
4 第五十三条の二第三項の規定は、前項の都市計画において建築物の敷地面積の最低限度が定められ、又は変更された場合に準用する。この場合において、同条第三項中「第一項」とあるのは、「第六十七条第三項」と読み替えるものとする。
5 特定防災街区整備地区内においては、建築物の壁又はこれに代わる柱は、特定防災街区整備地区に関する都市計画において壁面の位置の制限が定められたときは、建築物の地盤面下の部分を除き、当該壁面の位置の制限に反して建築してはならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する建築物については、この限りでない。
一 第三項第一号に掲げる建築物
二 学校、駅舎、卸売市場その他これらに類する公益上必要な建築物で、特定行政庁が用途上又は構造上やむを得ないと認めて許可したもの
6 特定防災街区整備地区内においては、その敷地が防災都市計画施設(密集市街地整備法第三十一条第二項に規定する防災都市計画施設をいう。以下この条において同じ。)に接する建築物の防災都市計画施設に係る間口率(防災都市計画施設に面する部分の長さの敷地の当該防災都市計画施設に接する部分の長さに対する割合をいう。以下この条において同じ。)及び高さは、特定防災街区整備地区に関する都市計画において建築物の防災都市計画施設に係る間口率の最低限度及び建築物の高さの最低限度が定められたときは、それぞれ、これらの最低限度以上でなければならない。
7 前項の場合においては、同項に規定する建築物の高さの最低限度より低い高さの建築物の部分(同項に規定する建築物の防災都市計画施設に係る間口率の最低限度を超える部分を除く。)は、空隙のない壁が設けられる等防火上有効な構造としなければならない。
8 前二項の建築物の防災都市計画施設に係る間口率及び高さの算定に関し必要な事項は、政令で定める。
9 前三項の規定は、次の各号のいずれかに該当する建築物については、適用しない。
一 第三項第一号に掲げる建築物
二 学校、駅舎、卸売市場その他これらに類する公益上必要な建築物で、特定行政庁が用途上又は構造上やむを得ないと認めて許可したもの
10 第四十四条第二項の規定は、第三項第二号、第五項第二号又は前項第二号の規定による許可をする場合に準用する。
ポイントをまとめると
- 地区内にある建築物は、耐火建築物等又は準耐火建築物等としなければならない。(除外規定あり)
- 建築物が指定されていない区域に跨る場合は、地区内とみなす。(除外規定あり)
- 建築物の敷地面積は、都市計画において定められた建築物の敷地面積の最低限度以上でなければならない。ただし、公益上必要なもの特定行政庁が認めて許可したものはよい
- 建築物の壁又はこれに代わる柱は、都市計画において壁面の位置の制限が定められたときは、壁面の位置の制限を守ること。ただし、次の各号のいずれかに該当する建築物については、この限りでない。公益上必要な建築物で、特定行政庁がやむを得ないと認めて許可したものはよい。
- 敷地が防災都市計画施設に接する建築物の防災都市計画施設に係る間口率の最低限度及び建築物の高さの最低限度が定められたときは、それ以上であること。
- 建築物の高さの最低限度より低い高さの建築物の部分は、空隙のない壁が設けられる等防火上有効な構造としなければならない
という感じです。
5 まとめ
いかがでしたか?
特定防災街区整備地区は、密集市街地における災害拡大を防止するための制限や避難道路・公園を設ける地区です。
現在は、全国で11地区しかなく地区内の物件に携わる可能性はほとんどないでしょう。
社会情勢の変化により、どの自治体でも指定の可能性があるものですが、場合によっては、都市計画図をインターネットや電話で確認するだけではわかりにくい場合も多いようです。
思い込みはやめてきちんと窓口などで内容を確認することも必要です。
土地の仲介業者は購入希望者に対して、その土地がどの「用途地域」に属するかとあわせて、建築物への制限についても必ず伝える義務があります。
少しでも疑問がある場合は、事前に建築確認の部署(機関)に確認し法チェックをしておきましょう。
不動産の取引・設計や投資の際には、買主や施主の要望を十分に理解して、リスクを回避するためにも理解をしておく必要がありますね。