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不動産を売買する上で、その物件の情報を早い段階で調査しておく必要があります。
買主が物件を探している段階で、「この不動産にはどのような建物が建てられるのか?」と考えるからです。
そのような日々の業務の中で使用される専門用語など理解するのは重要です。なんとなくの独自の理解で納得していませんか?
不動産の内容を説明するには登記における「マンションの登記簿謄本」ついて理解しておくことは重要です。ここでは、その内容と考え方についてわかりやすく記事にしています。
不動産の売買において、内容を説明する際には正しい根拠を正確に売主・買主に伝える必要があります。
建築士試験、重要事項説明などにおいて必須の知識となりますので、こちらの記事が参考になれば嬉しいです。
それでは、わかりやすくポイントを絞って解説します。
マンションなど区分建物の場合、マンションの敷地(土地)との関係によって、敷地権と非敷地権の2種類に分けられます。
マンションの不動産を調査する際には、次の資料を法務局から取得する必要があります。
- 登記簿謄本(登記事項証明書)
- 公図
- 地積測量図
- 建物図面(各階平面図)
- (要約書)
ここでは、マンションの登記簿謄本(登記事項証明書)についての、見方についてわかりやすく説明します。
1 登記簿謄本・登記事項証明書とは
不動産登記とは「その不動産がどんなものなのか、どこの誰が所有しているかを記録しているもの」です。
この登記内容(登記事項)を記載した紙の書類を「登記簿謄本」といいます。コンピュータ化により「登記事項証明書」に呼び方が変わっていますが、内容は同じです。
2 マンション登記簿謄本の見方
マンションの登記簿謄本の見方や調査する見方は次の通りです。
①書面からわかること
その土地(筆)の登記上の所有者名・住所、権利関係、建物新築年月日
②調査のポイント
登記上の所有者が、真の所有者とは限らないため、必ず売主の権利証もしくは登記識別情報と登記簿謄本とを照らし合わせて確認します。
マンションなど区分建物の場合、マンションの敷地(土地)との関係によって、敷地権と非敷地権の2種類に分けられます。
敷地権とは、土地と建物が一体となって登記されている権利形態のことをいいます。土地と部屋(建物)がセットになっているため、マンションの部屋の部分(建物)を残して、土地だけ売却するということはできません。
マンションなど区分建物の登記簿の表題部は、一般的な戸建の登記簿の表題部と異なります。戸建住宅は、土地と建物の2つの登記簿からなりますが、マンションは一体化した敷地を取り込んだ建物登記簿1枚だけです。
全体については、建物全体(マンション全体)を表示した「一棟の建物の表示」とその敷地である「敷地権の目的となる土地の表示」、
個別については各専有部分(マンションの各部屋)を表示した「専有部分の建物の表示」とそれに対応する「敷地権の表示」の大きく2つで構成されています。
2-1 区分建物とは
マンションは、ひとつの建物の中に、独立し区分された部屋(専有部分)が複数ある建物になります。
このような建物を区分建物といい、各専有部分の所有権を区分所有権、所有者を区分所有者といいます。
区分建物は、マンションに限らず、オフィスビルやショッピングモールなどさまざまな形態があります。
2-2 表題部の読み方
表題部は、表示に関する登記を記録するもので、具体的には不動産の物的状況を示します。
前半:【一棟の建物の表示×敷地権の目的となる土地の表示】
登記簿(一棟の建物の表題部)
- (一棟の建物の中に存在するすべての)専有部分の家屋番号:この区分所有建物全体で何戸の専有部分があるか
- 建物の名称:マンション名やビル名。その上の所在の項目は、敷地の地番
- 構造・床面積・原因及びその日付・登記の日付:区分所有建物一棟全体の構造・階数・床面積
- 敷地権の目的たる土地の表示:区分所有建物の敷地の表示で、敷地権登記されているマンションにおいては建物の表題部に表示
後半:【専有部分の建物の表示×敷地権の表示】
登記簿(専有部分の建物の表示)
- 家屋番号:この番号により建物(専有部分)が特定。専有部分は独立した建物なので、それぞれに家屋番号。通常の建物とは違い、家屋番号は町名から。
- 建物の名称:一般的には部屋番号が記載。通常は、家屋番号の最後の枝番と一致。
- 構造:構造の階数表示:専有部分が何階建てかを表示するものであるため、大半のマンションは「1階建」と表示。
- 床面積:マンションの専有部分の床面積は戸建の建物登記簿と異なり、内法面積で表示。
- 敷地権の割合:敷地権の種類には「所有権」「地上権」「賃借権」の3種類。専有部分が有する敷地権の割合(土地の持分)。
- 所有者:この建物の表題登記の申請人が記載。一般的には、マンション分譲業者。
■建物の面積を表示する方法
建物の面積を表示する方法として、壁芯と内法の2種類があります。
壁芯は、壁の中心からの寸法で測量したもので、戸建の建物の登記簿で表示されるほか、マンションの販売図面などで表示されます。
内法は、壁の内側からの寸法で測量したもので、区分建物の登記簿において専有部分の床面積を表示される場合に使われます。
2-3 権利部の読み方
権利部は、権利に関する登記を記録し、不動産の権利関係を示します。
①【甲区】
甲区は、所有者の住所・氏名・登記の目的・取得年月日と取得原因を記録します。
- 順位番号:登記の順位番号
- 登記の目的:登記の目的が記載。一般的に所有権保存登記は、表題部所有者のみ。マンションの場合、特例として買主による所有権保存登記が可能。
- 受付年月日・受付番号:法務局が登記申請を受け付けた日とその受付番号。
- 権利者その他の事項:所有者が移転した原因(売買・相続・贈与など)とその日付、所有者の住所・氏名が記載。共有の場合は、各人の持分が表示。
登記の甲区には、次の登記の記載があるケースもあります。
2-4 差押登記
不動産に対する差押が行われたこと、つまり、競売または公売の手続きが、正式に開始されたことを公示する登記のことです。このような物件を取引するにあたっては、登記簿記載の債権者または申立人に対し、差押登記の抹消に応じてもらえるかどうかを確認する必要があります。
2-5 仮登記
手続法上の要件が完備していない場合に仮の登記をし、本登記のためにあらかじめ重要な順位を確保するものになります。本登記の要件が備わり、仮登記の余白がうめられると、仮登記の後に登記された権利は抹消されます。
②【乙区】
乙区は、登記の目的・原因・権利者などを記録します。
- 登記の順位番号:債権回収においては抵当権の順位が重要。
- 登記の目的:登記の目的が記載。
- 受付年月日・受付番号:法務局が登記申請を受け付けた日とその受付番号。
- 権利者その他の事項:抵当権の内容(抵当権を設定することになった原因とその日付)などが記載。
2-6 地役権や地上権の場合
敷地権の場合、乙区の地役権や地上権については建物謄本に記載されないため、敷地権のマンションであっても土地謄本を取得しましょう。
2-7 別登記の建物がある場合
駐車場棟・管理人室・集会室・機械室などがある場合、お部屋の部分である専有部分の他に、共有でその建物の持分を所有している可能性があります。
この部分も売買対象部分となるため、登記簿の取得が必要になります。この場合、固定資産税納付書や共同担保目録に共有持分の記載があることが多く、これらを取得して調査します。
3 非敷地権の場合
敷地権登記とは異なり、建物の謄本に土地についての記載がありません。複数の筆の敷地がある場合、持分のある登記簿謄本の取り漏れがないように注意が必要なり、調査は次の行うます。
- 建物の登記簿謄本の所在欄に記載された地番を確認。ただし、建物が建っている地番は記載されるが、建物が建っていない地番は記載されていない。
- 所有者名から、土地持分のある地番を法務局で探す。
- 売主の権利証や固定資産税納付書を見て、地番を特定する上での参考にする。
■まとめ
いかがでしたか?
不動産調査の基礎となる土地利用における「マンションの登記簿謄本」についての説明でした。
物件の仲介を行うためには、用語の意味をきちんと理解し、売主・買主に適切に把握してもらう必要があります。
物件の売買を実施・仲介するにあたっては、宅地建物取引士として重要な要素となってきます。
調査した結果、売買の対象となるについては、十分に説明し理解のうえ、契約を行う必要があります。
少しでも疑問がある場合は、事前に十分に確認しチェックをしておきましょう。
不動産の取引・設計や投資の際には、買主や施主の要望を十分に理解して、リスクを回避するためにも理解をしておく必要がありますね。