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【重要事項説明】都市計画法第53条(建築の許可)|都市計画事業の計画決定段階の制限!?建築基準法との関係、対象の地域とその理由!しっかり理解してがっちり土地利用。宅建・土地取引・投資のノウハウ!!

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こんかいは都市計画法第53条(建築の許可)についてです。

よく53条制限や都市計画制限といわれ、都市計画道となどの決定されている土地に関する建築の制限のことです。

なんとなくわかっているようで、詳しく説明しようとすると理解できていないものです。

これらを詳細に理解するには、経験と知識が必要です。

しかしながら、どのような規定があるのか概要を理解しておけば、そのような物件に巡り合ったときに気づきが生まれます。

これが重要なのです。

内容を理解しておかないと、買主からの「ここで家が建てれるの!用途や大きさの建築はできるの?」との質問に正確に答えることができません。

 

この記事では、不動産取引における重要事項説明のうち「都市計画法第53条(建築の許可)」について解説しています。

 

不動産取引や建築設計において都市計画や建築基準法の制限を説明する際には正しい根拠とその内容を正確に買主に伝える必要があります。

建築士試験、重要事項説明などにおいて必須の知識となりますので、こちらの記事が参考になれば嬉しいです。

それでは、わかりやすくポイントを絞って解説します。

 

 

 

1 都市計画法における重要事項説明事項とは?

重要事項説明では、都市計画法における規制として宅建業法施行令第3条第1項第1号に掲げる内容を説明する必要があります。

 

宅建業法施行令第3条第1項第1号(都市計画法:重要事項説明)

都市計画法第29条第1項及び第2項、第35条の2第1項、第41条第2項、第42条第1項、第43条第1項、第52条第1項、第52条の2第1項(同法第57条の3第1項において準用する場合を含む。)、第52条の3第2項及び第4項(これらの規定を同法第57条の4及び密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律第284条において準用する場合を含む。次項において同じ。)、第53条第1項、第57条第2項及び第4項、第58条第1項、第58条の2第1項及び第2項、第58条の3第1項、第65条第1項並びに第67条第1項及び第3項

 

建築基準法と比べると少ないですが、このうち都市計画や建築基準法に基づく指定や認可状況、条例などを調査し、該当する事項を説明することになります。

調査方法としては、都市計画課(法)や建築指導課(法)などを担当する窓口にて確認することとなります。

くれぐれも「どれが対象ですか?」などの尋ね方はやめましょう!

対象となる窓口にて確認して内容を理解し、説明が必要な事項を洗い出して整理するのが資格者の責務です。「役所がいったから。」では役割を果たしていません。

 

 

 

2 建築基準法との関係

建築基準法施行令第9条(抜粋)]

法第6条第1項(法第87条第1項、法第87条の4(法第88条第1項及び第2項において準用する場合を含む。)並びに法第88条第1項及び第2項において準用する場合を含む。)の政令で定める規定は、次に掲げる法律の規定並びにこれらの規定に基づく命令及び条例の規定で建築物の敷地、構造又は建築設備に係るものとする。

一〜十一 (略)

十二 都市計画法第29条第1項及び第2項、第35条の2第1項、第41条第2項(同法第35条の2第4項において準用する場合を含む。)、第42条、第43条第1項並びに第53条第1項並びに同条第2項において準用する同法第52条の2第2項

十三〜十六 (略)

 

都市計画法第53条許可ですが、建築確認申請に関する法令の条項である建築基準法第6条第1項ー建築基準法施行令第9条第十二号により、建築基準関係規定に該当します。

ついては、『建築確認申請』の前に必ず許可を受ける必要があります。

 

 

 

3 都市計画法第53条許可とは?

都市計画法第53条]

都市計画施設の区域又は市街地開発事業の施行区域内において建築物の建築をしようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、都道府県知事等の許可を受けなければならない。ただし、次に掲げる行為については、この限りでない。

一 政令で定める軽易な行為

二 非常災害のため必要な応急措置として行う行為

三 都市計画事業の施行として行う行為又はこれに準ずる行為として政令で定める行為

四 第11条第3項後段の規定により離隔距離の最小限度及び載荷重の最大限度が定められている都市計画施設の区域内において行う行為であつて、当該離隔距離の最小限度及び載荷重の最大限度に適合するもの

五 第12条の11に規定する道路(都市計画施設であるものに限る。)の区域のうち建築物等の敷地として併せて利用すべき区域内において行う行為であつて、当該道路を整備する上で著しい支障を及ぼすおそれがないものとして政令で定めるもの

2 第52条の2第2項の規定は、前項の規定による許可について準用する。

3 第1項の規定は、第65条第1項に規定する告示があつた後は、当該告示に係る土地の区域内においては、適用しない。

 

第1項は、都市計画道路などを含む都市計画施設の区域内等において建築物の建築をする場合には、都道府県知事等の許可を受けなければならないとする規定です。

都市計画施設とは、次のようなものをいいます。

  • 道路、都市高速鉄道、駐車場、自動車ターミナルその他の交通施設
  • 公園、緑地、広場、墓園その他の公共空地
  • 水道、電気供給施設、ガス供給施設、下水道、汚物処理場、ごみ焼却場その他の供給施設又は処理施設
  • 河川、運河その他の水路
  • 学校、図書館、研究施設その他の教育文化施設
  • 病院、保育所その他の医療施設又は社会福祉施設
  • 市場、と畜場又は火葬場など

注)53条許可が必要となるには、都市計画決定された都市施設である必要があります

よくあるのが住宅を建築しようとした場所が、計画決定から何年も整備されないままの都市計画道路(事業認可を受けたものを除く)となっているケースです。

このような場合、「建築できない?」とおもわず、都市計画法ではこうした都市計画道路の中における建築についても建築するための一定の許可要件を定めています。

将来、都市計画事業がはじまったら移転しなければならないのが前提ではありますが・・・。

そうならないためにも、事業の予定については、自治体の窓口に、整備予定時期などを確認するようにしましょう。

都市計画法でも都市計画の実現のためには、地権者の協力はとても重要であるとの認識から、住民の責務について規定されている都市計画法第3条第2項にも次のように書かれています。

都市計画法第3条第2項(国、地方公共団体及び住民の責務)]

都市の住民は、国及び地方公共団体がこの法律の目的を達成するため行なう措置に協力し、良好な都市環境の形成に努めなければならない。

 

 

 

4 法53条の許可不要な場合

次の場合は許可が不要に該当します。

都市計画法第53条許可不要な行為(抜粋)

  1. 政令で定める軽易な行為(例:木造の建築物(2階以下、地階なし)の改築・移転)
  2. 非常災害のための必要な応急措置として行う行為(例:応急的な建築物など)
  3. 都市計画事業の施行として行う行為又はこのれに準ずる行為として政令で定める行為 都市計画に適合して行う行為(例:国、都道府県、市町村、都市計画施設管理者に限る。)

 

 

 

5 門や塀の許可は?

都市計画法第53条では、『建築物の建築』をしようとする者はとあります。

これは、建築物と建築の定義を確認すること判断ができます。

 

《建築物と建築の定義》

建築物とは、土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。)、これに附属する門若しくは塀、観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設(鉄道及び軌道の線路敷地内の運転保安に関する施設並びに跨(こ)線橋、プラットホームの上家、貯蔵槽その他これらに類する施設を除く。)をいい、建築設備を含むものとする。

建築とは、建築物を新築し、増築し、改築し、又は移転することをいう。

 

つまり、建築物の敷地内において、門又は塀を新築・増築・改築・移転する場合には、都市計画法第53条許可が必要となります。

なお、附属する門又は塀や工作物(看板など)については、軽微であるなどの理由から許可を求めていない自治体ももります。

事前に窓口に確認する必要があります。

 

 

 

6 法第53条許可の基準・必ず許可されるもの

ここでは、都市計画法第53条許可基準についての解説をします。

53条は、都市計画施設等の区域内において建築物を建築する際には許可を受けなければならないとする規定です。

許可に当たっては基準が定められており、一定の要件に該当する建築物は許可しなければならないとなっています。

つまり、都市計画法第54条の各号に該当している場合は、必ず許可されることになります。

 

都市計画法第54条]

都道府県知事等は、前条第一項の規定による許可の申請があつた場合において、当該申請が次の各号のいずれかに該当するときは、その許可をしなければならない

一 当該建築が、都市計画施設又は市街地開発事業に関する都市計画のうち建築物について定めるものに適合するものであること。

二 当該建築が、第11条第3項の規定により都市計画施設の区域について都市施設を整備する立体的な範囲が定められている場合において、当該立体的な範囲外において行われ、かつ、当該都市計画施設を整備する上で著しい支障を及ぼすおそれがないと認められること。ただし、当該立体的な範囲が道路である都市施設を整備するものとして空間について定められているときは、安全上、防火上及び衛生上支障がないものとして政令で定める場合に限る。

三 当該建築物が次に掲げる要件に該当し、かつ、容易に移転し、又は除却することができるものであると認められること。

イ 階数が2以下で、かつ、地階を有しないこと。

ロ 主要構造部(建築基準法第2条第五号に定める主要構造部をいう。)が木造、鉄骨造、コンクリートブロック造その他これらに類する構造であること。

 

 

整理すると、

都道府県知事等(市の区域内は市長)が、許可しなければならない建築物】      

①2階以下(地階なし)

②主要構造部(壁、柱、床、はり、屋根、階段)が木造、鉄骨造、CB造等上記①+②、及び容易に移転、又は除却できること  

 

【許可するかは都道府県知事等(市の区域内は市長)の判断によるもの】

都市計画法第54条第一号、第二号、第三号(左記)以外

(例)

3階建て以上の建築物

地階がある建築物

RC造の建築物・・・etc

自治体によっては基準を定めている場合あり

この法第54条の許可基準に該当しない行為(例えば3階建て)は、許可権者である都道府県知事等が判断することになります。自治体によっては、3階以上の建築物についての取り扱いを定めている例がありますので、ご自身が建築する若しくは建築設計する自治体に確認してみてください。

 

 

 

7 事業予定地内の特例

一般的制限の特則として、事業予定地内の特例と施行予定者が定められている場合の特例があります。

事業予定地とは、都市計画施設の区域内で知事が指定した区域と市街地開発事業の施行区域(土地区画整理事業と新都市基盤整備事業を除く)です。

事業予定地とは、都市計画事業が近々行われる予定の土地であり、計画決定の段階とはいえ、事業が行われることが確実なので、一般の計画決定よりは強い制限があります。

 

①行為制限

事業予定地内での建築物の建築は、一般的な制限の許可条件に該当しても、許可しないことができます(都市計画法第55条)。

②土地の先買い

土地を売却しようとするときは、予定対価の額や相手方について都道府県知事に届出なければなりません。都道府県知事は、その土地を優先的に先買いできますが、先買いするかどうかは任意で、買わないこともできます(都市計画法第57条)。

③土地の買取請求

許可に該当するのに不許可とされる場合は、土地所有者は都道府県知事に対して土地の買い取りを請求でき、都道府県知事は、特別の事情がない限り買取しなければなりません(都市計画法第56条)。

 

 

 

8 事業の施行予定者が定められている場合の特例

都市計画の決定にあたり施行予定者を定めたとき、施行予定者は都市計画の告示から2年以内に事業認可・承認の申請をしなければなりません。

施行予定者を定めた場合は、近いうちに事業決定段階へと移るため、事業決定(認可)段階に近い厳しい制限を加えます。

 

①行為制限

建築物の建築・工作物の建設に加えて、土地の形質の変更についても許可が必要になります(都市計画法第57条の3)。

②土地・建物の先買い

計画決定段階では、土地の売却だけでしたが、土地と一緒に建物を売る場合も先買いの対象となります。都道府県知事は、その土地・建物を優先的に先買いできますが、先買いするかどうかは任意で、買わないこともできます(都市計画法第57条の4)。

③土地の買取請求

①の建築物の建築・工作物の建設、土地の形質の変更の許可・不許可に関係なく、いつでも買取請求ができます(都市計画法第57条の5)。

 

 

 

9 まとめ

いかがでしたか?

53条制限や都市計画制限については、

  • 都市計画法第53条許可自体が不要な行為
  • 許可しなければならない行為
  • 許可するかどうかは都道府県知事等の判断
  • その他特例

の大きく4つ分かれています。

このことを踏まえ施主と建築するかどうかについては、将来の整備見通しを踏まえて、十分に説明することが重要で総合的に判断することをオススメします。

そのためにも都市計画法第53条の許可に該当することになった場合には、自身が暮らす都市がどのように進もうとしているのが、都市計画マスタープランや立地適正化計画を確認するようにしましょう。

なお、自治体によって許可の手続きが異なるので、思い込みはやめてきちんと窓口などで内容を確認しましょう。

土地の仲介業者は購入希望者に対して、その土地がどの「用途地域」に属するかとあわせて、建築物への制限についても必ず伝える義務があります。

少しでも疑問がある場合は、事前に都市計画の部署に確認し法チェックをしておきましょう。

不動産の取引・設計や投資の際には、買主や施主の要望を十分に理解して、リスクを回避するためにも理解をしておく必要がありますね。