人口が減少する中で、各都市が策定している立地適正化計画。
一定の都市機能を維持すため、人口や都市機能を維持集約するための実行計画として取り組みを進められている。
この記事では、立地適正化計画において定めることとなっている「居住誘導区域」について、区域から外れたら”見捨てられるのか”、”土地の価額が下がるのか”という質問が多いため解説していきます。
1 居住誘導区域とは?
居住誘導区域は、一定の人口密度を保つ区域として市街化区域の中に設定され、さらにその中に都市機能誘導区域が設定されます。
行政区域 > 都市計画区域 > 市街化区域 > 居住誘導区域 > 都市機能誘導区域
というイメージです。
注)市街化調整区域には、居住誘導区域は設定できません。
2 都市計画区域外は?
都市計画区域外は、立地適正化計画の計画対象区域外となります。
なぜなら、そもそも都市機能や都市構造に影響がない地域だからです。
ですので、立地適正化計画の影響は殆ど受けません。
3 市街化調整区域は?
計画自体が都市計画区域内を対象としていますが、居住誘導区域は市街化区域の中に設定できません。
市街化調整区域は、開発を抑制する区域であり、基本、一次産業従事者のための建築物以外、建築することはできないとされている地域です。ある特定の方々しか、土地を求めない区域ですので、需要が少ない地域です。
4 市街化区域内の居住誘導区域外は?
▶️工業系用途地域
工業系用途地域ですが、工業系用途地域(特に工業地域や工業専用地域)は、そもそも工場系用途の立地を誘導し、それ以外の建築物を制限する地域です。
居住誘導区域の設定はできないことになっています。
▶️住居系用途地域
住居系用途地域で、居住誘導区域外となった地域については、長期的にみると、この計画による人口や都市機能の移動により、多少影響があるかもしれません。
行政側が居住誘導区域を中心に社会基盤の整備や維持等の施策展開(都市施設や公共施設の配置、公共交通など)を行うと考えられるからです。
しかし、この区域が維持されることで、あなたが住んでいる地域も、そこまで行けば利便性が享受できる可能性があり、一定の生活サービスが保たれる可能性がります。
人口減少と世帯数の減少に影響を受けない地方都市は、今や皆無です。
と急速に人口減少が進めば、そちらの方が影響が大きいのは当然です。
5 居住誘導区域設定後に地価はどうなる?
現時点では、立地適正化計画を策定している各都市の動向をみても、あまり変わらないようです。
まだ、計画による都市構造への効果がでていないのが本当のところだと思います。
人口密度や企業の立地に差が大きく出るような動向を見られないと、地価には影響がないと思います。
地方は、車で日常生活も郊外に買い物に出かけた方が経済的なケースが多いため、郊外部の地価下落が始まるのは、世帯数の減少と、立地適正化計画の具体化が目に見えるまではないでしょう。
6 居住誘導区域外を見捨てるの?
ここが勘違いが多い箇所かもしれません。
何を持って見捨てるのかがですよね!
少なくとも、誘導区域外となっても市街化調整区域や都市計画区域外よりは、十分なサービスが受けられるはずです。
今よりも不便にはなるかもしれないけど、拠点を形成することで、一定のサービスを確保して生活をできるようにしよう、という取組なのですから。
この計画がなければ近くにスーパーや駅がなくなってしまう可能性あります。
見捨てるのレベルが違ってくるのではないでしょうか?
まとめ
今回は、かなり私個人の意見も多いですが解説をしてみました。
あまりにもこの計画に対する批判的な意見が多いのは少し残念です。
でも、意見をしている人たちは、不動産の価値や商品として個別の土地がどうなるかとの視点しかないように感じます。
都市やまちの全体のことはどうでもいいのです。
でも都市全体が成り立たなくなれば個別の土地の価値はもっとなくなってしまうのですが・・・。