このブログは、まちづくりや都市計画、不動産の取引や投資に関して役立つ情報をつぶやくOSSAN(オッサン)のブログです。良かったらブックマークを活用いただき、業務や調べものの時に活用してくれると励みになります。
不動産を売買する上で、その物件の情報を早い段階で調査しておく必要があります。
そのような日々の業務の中で使用される専門用語など理解するのは重要です。なんとなくの独自の理解で納得していませんか?
不動産の契約で「管轄裁判所に関する合意」について理解しておくことは重要です。ここでは、その内容と考え方についてわかりやすく記事にしています。
不動産の売買において土地利用の内容を説明する際には正しい根拠を正確に売主・買主に伝える必要があります。
建築士試験、重要事項説明などにおいて必須の知識となりますので、こちらの記事が参考になれば嬉しいです。
それでは、わかりやすくポイントを絞って解説します。
1 不動産売買契約書における「管轄裁判所に関する合意」とは
管轄裁判所に関する合意とは、不動産売買に関して売主・買主間での争いになり、裁判が起きたとき、第一審の管轄裁判所はどこで行うかをあらかじめ合意しておく条項です。こちらの条項により、売主または買主が訴訟を起こす場合には、本物件の所在地を管轄する裁判所に訴訟を提起しなければなりません。
(管轄裁判所に関する合意)
第21条 売主、買主は、本契約に関する管轄裁判所を本物件所在地を管轄する裁判所とします。
(民事訴訟法第11条)
当事者は、第一審に限り、合意により管轄裁判所を定めることができる。
2 前項の合意は、一定の法律関係に基づく訴えに関し、かつ、書面でしなければ、その効力を生じない。
3 第一項の合意がその内容を記録した電磁的記録によってされたときは、その合意は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する。
他の裁判所で訴訟が起こされた場合でも、本物件の所在地を管轄する裁判所にその訴訟を移送するよう請求できます。
(民事訴訟法第19条)
第一審裁判所は、訴訟がその管轄に属する場合においても、当事者の申立て及び相手方の同意があるときは、訴訟の全部又は一部を申立てに係る地方裁判所又は簡易裁判所に移送しなければならない。ただし、移送により著しく訴訟手続を遅滞させることとなるとき、又はその申立てが、簡易裁判所からその所在地を管轄する地方裁判所への移送の申立て以外のものであって、被告が本案について弁論をし、若しくは弁論準備手続において申述をした後にされたものであるときは、この限りでない。
2 簡易裁判所は、その管轄に属する不動産に関する訴訟につき被告の申立てがあるときは、訴訟の全部又は一部をその所在地を管轄する地方裁判所に移送しなければならない。ただし、その申立ての前に被告が本案について弁論をした場合は、この限りでない。
2 民事訴訟法上での第一審の扱いについて
不動産に関する訴訟の第一審は、民事訴訟法によると次の観点から行うことができるとされています。
2-1 被告の所在地
(民事訴訟法第4条1項)
訴えは、被告の普通裁判籍の所在地を管轄する裁判所の管轄に属する。
「被告の普通裁判籍」とは、被告の住所で訴訟ができるという内容です。
2-2 義務履行地
(民事訴訟法第5条1号)
次の各号に掲げる訴えは、それぞれ当該各号に定める地を管轄する裁判所に提起することができる
1 財産権上の訴え:義務履行地
「義務履行地」とは、原告の住所で訴訟ができるという内容です。
2-3 不動産の所在地
(民事訴訟法第5条12号)
次の各号に掲げる訴えは、それぞれ当該各号に定める地を管轄する裁判所に提起することができる
12 不動産に関する訴え:不動産の所在地
つまり、2つの可能性を、こちらの条項で排除しているということになります。
■まとめ
いかがでしたか?
不動産契約の基礎となる「管轄裁判所に関する合意」についての説明でした。
物件の仲介を行うためには、用語の意味をきちんと理解し、売主・買主に適切に把握してもらう必要があります。
物件の売買を実施・仲介するにあたっては、宅地建物取引士として重要な要素となってきます。
調査した結果、売買の対象となるについては、十分に説明し理解のうえ、契約を行う必要があります。
少しでも疑問がある場合は、事前に十分に確認しチェックをしておきましょう。
不動産の取引・設計や投資の際には、買主や施主の要望を十分に理解して、リスクを回避するためにも理解をしておく必要がありますね。