国土交通省は2023年度、土地や建物に共通の17桁の識別番号を付ける「不動産ID」の活用を促進するため、民間事業者を対象とした実証事業を始めます。
地形や建築物などを表現した3D都市モデル「プラトー」のほか、物流や保険といった民間データを組み合わせることで、さまざまな使い道が考えられています。事業を通じて具体的な活用策を示し、普及を促す狙いがあるようです。
国交省は3月下旬に、実証に参加する事業者を募集するらしく、不動産・建設や物流、防犯、保険の4業種を主に想定していますが、これら以外も受け付けるようです。10プロジェクト程度の実施を見込んでいるようです。
不動産IDの具体的な活用例として、リスクに応じた損害保険料の精緻な算出が挙げられています。
プラトーにある建物の構造に関するデータや、ハザードマップの浸水想定域の情報を組み合わせると、物件ごとのリスクを詳細に評価が可能になります。
さらに物流面でも、IDとプラトーの情報を使えば、マンションやオフィスビルなどの個別の部屋、フロアをより識別しやすくなり、配送の効率化につながると想定されています。
国交省は、不動産IDの利用促進に向け官民連携協議会を夏までに立ち上げる予定で、実証の結果は協議会などを活用して横展開を目指す方針のようです。
不動産IDは、登記簿に表示される13桁の不動産番号に、部屋番号や階数などを示す4桁の特定コードを加えた17桁の識別番号で構成され、付番のルールは昨年3月にすでに定めています。
不動産番号を知るためには、登記簿を取得する必要があり、この負担をなくすため、国交省は法務省やデジタル庁と連携して、事業者らが住所や地番を入力すれば不動産IDが表示されるシステムの試作版も併せてつくるようです。試作版には440自治体の地域の不動産番号を取り込み、その使い勝手を実証事業で検証します。
さて、マイナンバーの不動産バージョンの浸透はいかほどでしょうか?