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不動産を売買する上で、その物件の情報を早い段階で調査しておく必要があります。
そのような日々の業務の中で使用される専門用語など理解するのは重要です。なんとなくの独自の理解で納得していませんか?
不動産の登記で「抵当権設定登記」について理解しておくことは重要です。ここでは、その内容と考え方についてわかりやすく記事にしています。
不動産の売買において土地利用の内容を説明する際には正しい根拠を正確に売主・買主に伝える必要があります。
建築士試験、重要事項説明などにおいて必須の知識となりますので、こちらの記事が参考になれば嬉しいです。
それでは、わかりやすくポイントを絞って解説します。
1 抵当権設定登記とは
抵当権設定登記は、不動産登記の1つです。
登記は次のようなときに必要です。
- 建物を新築・増築・取り壊し
- 不動産を購入・売却・相続・贈与
- 住宅ローンの利用・借換え・完済
登記簿の構成としては、大きく表題部と権利部の2種類に分かれます。最初に表題部があり、権利部が続きます。権利部は、さらに甲区)、乙区に分かれ、全体で3つの部分から構成されます。
表題部と権利部(甲区と乙区)
抵当権設定登記は、権利部の乙区に記載されます。
住宅ローンのように借金の金額が大きい場合、借金の担保として不動産を担保にします。住宅ローンを借りて返せないと、金融機関は裁判所に申し立て、その担保になっている不動産を競売にかけ、不動産を売ったお金から貸したお金を優先的に返してもらいます。
このように貸したお金が返ってこないときに、不動産を売って回収できる権利を「抵当権」といい、不動産を抵当権をつけることを「抵当権設定」といいます。この権利を明らかにするために行うのが「抵当権設定登記」です。
この場合、金融機関を抵当権者、住宅ローンの借入者を抵当権設定者といいます。
抵当権には順位があり、お金を借りた人の不動産を売却してお金を回収する場合、抵当権の番号の数字が若い方から優先的にお金を返してもらうことができます。
抵当権の設定を先にした方が優先的にお金の回収が可能でなのです。
(抵当権設定登記の例)
抵当権設定登記は、住宅ローンの借入実行日と同日に行なわれます。
登記簿の「原因」欄により、どのような経緯で抵当権が設定されたかがわかります。
原因には次のようなものがあります。
- 金銭消費貸借:金銭消費貸借契約のことで、お金を借りる契約、つまり住宅ローンの契約。お金を借りる担保として抵当権を設定したもの。
- 保証委託契約にもとづく求償債権:銀行から住宅ローンを借りる際、銀行に関連する保証会社に、万一のときは債務者に代わって銀行に弁済(代位弁済という)する保証人の役割を頼む(保証委託)契約。原因の記載は、「〇年〇月〇日保証委託契約にもとづく求償債権〇年〇月〇日設定」。求償債権とは、保証会社が銀行に代位弁済したときに、その弁済額を債務者に請求する(求償という)債権。
- 賃貸借契約にともなう敷金(保証金)返還請求権:商店などが出店するにあたり、借りる店舗の建設費を、敷金あるいは保証金の名目で差し入れる。この金銭を担保するために抵当権を設定。
「債権額」の欄の債権額は、融資当初の貸付額です。債権額の金額では、現時点の残債額は判断できません。
「利息(貸出金利)」と「遅延損害金(返済が期日より遅れたときに、賠償として支払うもの)」を登記するのは、競売で不動産を売却した配当金額と関係します。配当を受けられる範囲は、残っている元金は全額ですが、利息および遅延損害金は最後の2年分になります。
また、「共同担保目録」がある場合があります。建物と土地など複数の不動産を一緒の担保にして抵当権を設定することを共同抵当といい、共同して担保の対象となっていることを示すものとして、共同担保目録が作成されます。
2 抵当権設定登記を自分で行う方法
抵当権設定登記は、司法書士に依頼して行うのが一般的ですが、自分で行うことも可能です。ただし、金融機関は、自分で抵当権設定登記を行うことを相当嫌がります。
2-1 抵当権設定登記に必要な書類
抵当権設定登記に必要な書類は次の通りです。
①登記識別情報
不動産登記法の改正によって、権利書を交付する制度を順次廃止し、その代わりに「登記識別情報」を登記名義人に通知する制度になっています。
登記識別情報とは、無作為に決められた12桁の英数字で、その不動産の登記名義人の本人であることの資料とされています。
②登記原因証明情報
登記をする原因となった証明書です。住宅ローンを貸す代わりに抵当権を設定する抵当権設定契約書が登記原因証明情報になります。
③印鑑証明書(3ヶ月以内のものに限る)
④住宅用家屋証明書(要件を満たしている場合)
住宅用証明書がなくても所有権保存登記はできますが、あれば大きく減税されます。次の要件を満たしていることが条件ですが、一般的なマイホームであれば、これらの要件は満たしています。
《共通事項》
1.住宅用の家屋であること
2.床面積が50㎡以上であること
3.区分所有建物(マンション)については、建築基準法上の耐火または準耐火建築物であること
4.店舗など併用住宅については、その床面積の90%を超える部分が住宅であること
《注文住宅の場合》
5.新築後1年以内であること
《分譲住宅や建売住宅の場合》
6.取得後1年以内の家屋で、売買や競売によって手に入れたものであること
住宅用家屋証明書は役所で手に入れることができます。必要書類は市区町村によって異なりますが、通常は次のものです。(役所のHPで確認してください。)
- 住宅用家屋証明書の申請書(役所もしくは役所のHPで手に入れることができます。)
- 住民票の写し
- 建物表題登記の登記完了証または建物の登記事項証明書
- 特定認定長期優良住宅の場合は、認定申請書の副本及び認定通知書の写し
- 建築確認通知書の副本
これらは建物表題登記申請のときに原本還付請求した書類や登記完了時に手に入れることができます。
⑤抵当権設定登記の申請書
申請書は記載例通りに必要事項を記入していきます。
⑥代理権限証明書(委任状)
申請者本人が、法務局に行くことができない場合には、代理人に申請に行ってもらうことも可能です。
2-2 申請方法
法務局に登記相談窓口が設置されている場合もあります。
不安な場合は作成した書類を持っていき見てもらいましょう。
登記するには、その不動産の所在地を管轄している法務局に行きます。
申請書を郵送する場合は、申請書を入れた封筒の表面に「不動産登記申請書在中」と記載の上、書留郵便により送付します。
完了した際「登記完了証」と「登記識別情報」というのが登記所から発行され送られてきます。
ただし、提出書類に不備がある場合は、電話連絡があり補正が必要となりますので、直接法務局に行き書類を点検してもらう方が良いです。
■まとめ
いかがでしたか?
不動産登記の基礎となる「抵当権設定登記」についての説明でした。
物件の仲介を行うためには、用語の意味をきちんと理解し、売主・買主に適切に把握してもらう必要があります。
物件の売買を実施・仲介するにあたっては、宅地建物取引士として重要な要素となってきます。
調査した結果、売買の対象となるについては、十分に説明し理解のうえ、契約を行う必要があります。
少しでも疑問がある場合は、事前に十分に確認しチェックをしておきましょう。
不動産の取引・設計や投資の際には、買主や施主の要望を十分に理解して、リスクを回避するためにも理解をしておく必要がありますね。