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【特集 不動産調査】「違反建築物と既存不適格建築物」とは?その考え方と調査方法について詳細解説。宅建・土地取引・投資のノウハウをわかりやすく解説!!

このブログは、まちづくりや都市計画、不動産の取引や投資に関して役立つ情報をつぶやくOSSAN(オッサン)のブログです。良かったらブックマークを活用いただき、業務や調べものの時に活用してくれると励みになります。

不動産を売買する上で、その物件の情報を早い段階で調査しておく必要があります。

買主が物件を探している段階で、「この不動産にはどのような建物が建てられるのか?」と考えるからです。

違反建築物は、法律に違反して建築されている建築物

既存不適格建築物は、建築当初は適法だったものが、建築基準法などの改正などにより、現時点で適法ではない建築物のことです。

この違いは、その後の物件の建築制限に大きな影響を与えます。

不動産の売買において土地利用の内容を説明する際には正しい根拠を正確に売主・買主に伝える必要があります。

建築士試験、重要事項説明などにおいて必須の知識となりますので、こちらの記事が参考になれば嬉しいです。

それでは、わかりやすくポイントを絞って解説します。

 

 

 


1 違反建築物とは

違反建築物は、法律に違反して建築されているものです。

建ぺい率や容積率の制限に違反したもの、敷地の接道義務に違反したもの、違法な増改築、用途変更を行ったものなど、建築基準法令などの法律に違反した建築物は、違反建築物となります。

 

違反建築物については、特定行政庁が、建築中であれば工事停止命令、完成後であれば建物の取り壊しや使用禁止などの是正措置を命令できます(建築基準法第9条)。

 

次のような事例が違反建築物になります。

 

建築基準法上の道路に接していない

 敷地の接道義務に違反したものは、建物を壊して再築することもできません。

 

②建ぺい率・容積率オーバー

 建築当初から、建ぺい率や容積率が規定値以上の数値。

 確認申請では規定値以内の数値だが、図面と異なる建物を建てた。

 検査済証取得後に敷地を売却したり、建築確認内容とは異なる建物に増築した。

 

③建築確認と異なる建物で、登記はあるが検査済証を取得していない

 3階建の木造戸建として建築確認許可がおり、建築計画概要書にもそのように記載されているが、登記簿謄本を見ると地下室の記載があり、実際に地下室がある。

 検査済証は取得していない。

 

④用途変更をおこない、所有権を移転している

 マンションの1階部分に、容積率不算入の駐車場を造るということで建築確認・検査済を取得したが、その後駐車場部分を居室に造り替え、その居室を分譲している。

 

■違反建築物には強制的な是正命令が下される

建築基準法第9条には、違反建築物に対する措置が明記されています。

特定行政庁は、工事途中でも工事を停止させることができます。すでに完成している場合でも、違反建築物の除去や移転・改築・使用禁止などの措置を命令することが可能です。

また、違法建築物の設計者や工事業者には、宅地建物取引業法による免許の取り消しや業務停止命令などの処分が与えられる場合もあります。

その他、工事施工停止命令違反による懲役刑が1年から3年に延びたり、建築確認や検査による罰金が30万円から100万円に引き上げられたりしています。

 

 

 

2 既存不適格建築物とは

既存不適格とは、当初は適法だったものが、その後、建築基準法などの法律改正などにより、現在では適法ではないことをいい、既存不適格の物件を既存不適格建築物(既存不適格物件)といいます。

 

既存不適格建築物は違反ではなく、原則そのままの状態で存在が認められます。ただし、一定規模を超える増・改築を行う場合には、不適格な状態を解消し、建築物全体が建築基準法の規定に適合するようにする必要があります(建築基準法第3条2・3項)。建て替えなど再建築の際は、現在と同じ用途や規模の建物が建たない可能性があります。

 

具体的な例としては、下記のものがあげられます。

 

①耐震基準

耐震基準が法律で定められたのは1924年です。そして耐震基準が大きく変わったのは1981年6月1日です。この改正以前を旧耐震基準、以降を新耐震基準と呼んでいます。

1981年6月1日よりも前に建築確認がおこなわれた建物は、既存不適格建築物である可能性が高いでしょう。

 

②建築物の高さ

低層住宅の住環境を保護するために、建築物の高さに制限が定められた「第一種低層住居専用地域」「第二種低層住居専用地域」があります。

用途地域は、都市計画の変更などによって変わる可能性があります。

用途地域の変更があっても、変更前から存在する建物は適用外なので、高さ制限を超えていても建て直す必要はありません。

 

③建ぺい率・容積率

建蔽率は敷地面積に対する建築面積の割合、容積率は敷地面積に対する延べ床面積の割合のことをいいます。

これらは、用途地域ごとに都市計画で定められます。都市計画の変更により、建ぺい率や容積率が適合しなくねる可能性あります。

オーバーした建築物については、建て替え時に現行の規定に合うよう改修するのが原則です。

改修工事をおこなう前には、役所に確認してみましょう。

 

 

 

3 違反建築と既存不適格の違い

既存不適格物件や違反建築物について、売買は禁止されていません。

しかし、法に適合しないため、買い手には大きなデメリットがあります。違反建築物については一般的に住宅ローンの審査は通らないとされており、融資のハードルは高いです。

一方で、既存不適格建築物の場合は、住宅ローンを借りられる可能性が残されています。

検査済証の代わりとして、役所で台帳記載事項証明書を発行してもらったり、建築基準法の法適合調査等の裏付書類を取得したりすることで、融資をしてもらえるケースがあるのです。

また、平成21年には制限緩和があり、増築をする場合でも小規模であれば、既存部分に対する改修工事をおこなわなくてもよいとされています。

 

 

 

■まとめ

いかがでしたか?

不動産調査の基礎となる『違反建築物と既存不適格建築物』についての説明でした。

 

物件の仲介を行うためには、土地利用の条件を的確に調査し、売主・買主に適切に把握してもらう必要があります。

物件の売買を実施・仲介するにあたっては、宅地建物取引士として重要な要素となってきます。

調査した結果、売買の対象となるについては、十分に説明し理解のうえ、契約を行う必要があります。

少しでも疑問がある場合は、事前に十分に確認しチェックをしておきましょう。

不動産の取引・設計や投資の際には、買主や施主の要望を十分に理解して、リスクを回避するためにも理解をしておく必要がありますね。

 

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