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【重要事項説明】住宅地改良法第9条第1項(住宅地区改良事業の改良地区内での制限)|制度の概要と課題!?重要事項との関係、対象の地域とその理由!しっかり理解してがっちり土地利用。宅建・土地取引・投資のノウハウ!!

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住宅地区改良法は、住宅が密集して住環境が劣る地区の改良整備を行うための法律で、1960(昭和35)年に定められた法律です。


売買の対象となる不動産が住宅地区改良事業の改良地区内に該当する場合には、重要事項説明が必要です。

宅建業法施行令第3条に規定され、調査した結果、売買の対象なる不動産が、住宅地改良法に関して指定のある区域等に該当する場合には、制限の内容を調査するとともに、不動産の重要事項説明書の項目にチェックをつけて、制限内容を説明する必要があります。

なんとなくわかっているようで、詳しく説明しようとすると理解できていないものです。

これらを詳細に理解するには、経験と知識が必要です。

しかしながら、どのような規定があるのか概要を理解しておけば、そのような物件に巡り合ったときに気づきが生まれます。

これが重要なのです。

内容を理解しておかないと、買主からの「ここで家が建てれるの!用途や大きさの建築はできるの?」との質問に正確に答えることができません。

この記事では、不動産取引における重要事項説明のうち「住宅地改良法」について解説しています

不動産取引や建築設計において都市計画や建築基準法などの制限を説明する際には正しい根拠とその内容を正確に買主に伝える必要があります。

建築士試験、重要事項説明などにおいて必須の知識となりますので、こちらの記事が参考になれば嬉しいです。

それでは、わかりやすくポイントを絞って解説します。

 

 

 

1 その他法令に基づく重要事項説明事項とは?

法令としては、宅建業法第35条第1項第2号の部分となります。

宅建業法第35条(重要事項の説明等)第1項第二号(抜粋)]

宅地建物取引業者は、宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の相手方若しくは代理を依頼した者又は宅地建物取引業者が行う媒介に係る売買、交換若しくは貸借の各当事者に対して、その者が取得し、又は借りようとしている宅地又は建物に関し、その売買、交換又は貸借の契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面(第五号において図面を必要とするときは、図面)を交付して説明をさせなければならない。

 

二 都市計画法建築基準法その他の法令に基づく制限で契約内容の別(当該契約の目的物が宅地であるか又は建物であるかの別及び当該契約が売買若しくは交換の契約であるか又は貸借の契約であるかの別をいう。)に応じて政令で定めるものに関する事項の概要

 

次に政令ですが、宅建業法施行令第3条となります。次の項では、この第3条について詳しく説明します。

 

都市計画法建築基準法制限一覧は、こちらの記事で解説しています。

ossan358.hatenablog.com

 

都市計画法建築基準法以外のその他の法令に基づく制限

施行令第3条ですが、第1項が「宅地又は建物の貸借の契約以外の契約(売買)」について、第2項が「宅地の貸借の契約」について、第3項が「建物の貸借の契約」について規定されています。

大半が対象外となりますが、この内容を覚えておくことで、少しは重要事項説明漏れを防ぐことができると考えられます。

それでは、この記事ではその他の法令に基づく制限のうち『密集市街地整備法』について解説していきます。

 

 

 

2 住宅地区改良法とは

住宅地区改良法は、「不良住宅が密集する地区の改良事業に関し、事業計画、改良地区の整備、改良住宅の建設その他必要な事項について規定することにより、当該地区の環境の整備改善を図り、健康で文化的な生活を営むに足りる住宅の集団的建設を促進し、もつて公共の福祉に寄与することを目的とする。」とされています。

古くからの市街地には、老朽化した木造住宅が密集して日照や通風などの住環境が悪く、また災害の危険性が高い地域があります。

このような地域については自主的な建て替えを促していますが、特に老朽化した住宅(不良住宅)が密集し、細い道が多く狭小な敷地や未接道の敷地が多いなど、自主建替が見込めない地域において居住者のために新たな住宅(改良住宅)を建設し、あわせて道路や公園などの公共施設を整備する住宅地区改良事業を行います。

このように、限定的に住宅地区改良事業を活用することにより、効率的・効果的に老朽住宅密集市街地の整備を進め、防災性及び住環境の向上を図るものです。

国土交通大臣は、不良住宅が密集して住環境の劣る地区を改良地区として指定することができます。木造密集市街地など、道路が狭く、建蔽率が著しく高く、日照や通風などの問題を抱えている密集した住宅地で行われる良好な住宅地区を整備するための市町村の事業(公共事業)です。改良地区に該当する基準はこちらです。

 

改良地区指定の基準

・一団地の面積が0.15ha以上であること。

・一団地内の不良住宅の戸数が50戸以上であること。

・一団地内の住宅の戸数に対する不良住宅の戸数の割合が8割以上であること。

・一団地(公共施設の用に供している部分を除く。)の面積に対する一団地内の住宅の戸数の割合が1ha当り80戸以上であること。

※不良住宅:主として居住の用に供される建築物又は建築物の部分でその構造又は設備が著しく不良であるため居住の用に供することが著しく不適当なものをいう。

 

 

 

3 重要事項説明の内容

(建築行為等の制限)

第9条 前条第1項の告示(注:改良事業計画の公告)があつた日後、改良地区内において、住宅地区改良事業の施行の障害となるおそれがある土地の形質の変更若しくは建築物その他の工作物の新築、改築若しくは増築を行い、又は政令で定める移動の容易でない物件の設置(重量5トン超)若しくは堆積を行おうとする者は、都道府県知事(市が施行する住宅地区改良事業の区域内にあつては、当該市の長。以下「都道府県知事等」という。)の許可を受けなければならない。

 

重要事項説明の対象となっている条項は、「法第9条第1項」となります。

法第9条第1項は、住宅地区改良事業計画の公告があった後は、施行区域内で施行の障害となる恐れがある土地の形質の変更やその他の工作物の新築・改築・増築、重量が5トンを超える物件の設置・堆積などの行為を行う場合には、都道府県知事(市の区域内については市長)の許可を受けなければならないとするものです。

 

重要事項説明においては、

①市町村の窓口(住宅系部署)において、「住宅地区改良事業計画」が策定されているかどうか確認

②事業計画が策定されている場合には、事業計画の内容を確認し、事業が完了しているのか施行中なのかを確認

③施行中の土地である場合には、住宅地区改良法第9条第1項の内容を説明

となります。

 

 

 

■まとめ

いかがでしたか?

重要事項説明の一つである『住宅地改良法』についての説明でした。

自治体のホームページなどで指定の状況は確認できますが、変更や廃止の可能性もありますので、具体には窓口での確認が必要です。

調査した結果、売買の対象となる住宅地区改良事業の改良地区内の区域内に該当する場合には、制限の内容を調査するとともに、不動産の重要事項説明書の「住宅地改良法」の項目にチェックをつけて、制限内容を説明する必要があります。

このような土地に関しては、土地の仲介業者は購入希望者に対して、その土地がどの「用途地域」に属するかとあわせて、制限についても必ず伝える義務があります。

少しでも疑問がある場合は、事前に担当の部署に確認し法チェックをしておきましょう。

不動産の取引・設計や投資の際には、買主や施主の要望を十分に理解して、リスクを回避するためにも理解をしておく必要がありますね。