OSSAN358’s ブログ

OSSANの日々の雑記ブログです

【重要事項説明】集落地域整備法第6条(集落地区計画内の制限)|制度の概要と課題!?重要事項との関係、対象の地域とその理由!しっかり理解してがっちり土地利用。宅建・土地取引・投資のノウハウ!!

このブログは、まちづくりや都市計画、不動産の取引や投資に関して役立つ情報をつぶやくOSSAN(オッサン)のブログです。良かったらブックマークを活用いただき、業務や調べごとの時に活用してくれると励みになります。

集落地域整備法は、都市化の波が押し寄せて、農家と一般住宅が混在する都市近郊の農村集落について、調和のとれた地域整備を行うための法律として、1987(昭和62)年に制定されました。

街全体 風景 無料イラスト・PowerPointテンプレート配布サイト【素材工場】

集落地域整備法にもとづき、都市計画法上の地区計画として、集落地区計画を定めます。売買の対象となる箇所が集落地区計画の区域内に該当する場合には、重要事項説明が必要です。

宅建業法施行令第3条に規定され、調査した結果、売買の対象なる不動産が、集落地域整備法に関して指定のある区域等に該当する場合には、制限の内容を調査するとともに、不動産の重要事項説明書の項目にチェックをつけて、制限内容を説明する必要があります。

なんとなくわかっているようで、詳しく説明しようとすると理解できていないものです。

これらを詳細に理解するには、経験と知識が必要です。

しかしながら、どのような規定があるのか概要を理解しておけば、そのような物件に巡り合ったときに気づきが生まれます。

これが重要なのです。

内容を理解しておかないと、買主からの「ここで家が建てれるの!用途や大きさの建築はできるの?」との質問に正確に答えることができません。

この記事では、不動産取引における重要事項説明のうち「集落地域整備法」について解説しています

不動産取引や建築設計において都市計画や建築基準法などの制限を説明する際には正しい根拠とその内容を正確に買主に伝える必要があります。

建築士試験、重要事項説明などにおいて必須の知識となりますので、こちらの記事が参考になれば嬉しいです。

それでは、わかりやすくポイントを絞って解説します。

 

 

 

1 その他法令に基づく重要事項説明事項とは?

法令としては、宅建業法第35条第1項第2号の部分となります。

宅建業法第35条(重要事項の説明等)第1項第二号(抜粋)]

宅地建物取引業者は、宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の相手方若しくは代理を依頼した者又は宅地建物取引業者が行う媒介に係る売買、交換若しくは貸借の各当事者に対して、その者が取得し、又は借りようとしている宅地又は建物に関し、その売買、交換又は貸借の契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面(第五号において図面を必要とするときは、図面)を交付して説明をさせなければならない。

 

二 都市計画法建築基準法その他の法令に基づく制限で契約内容の別(当該契約の目的物が宅地であるか又は建物であるかの別及び当該契約が売買若しくは交換の契約であるか又は貸借の契約であるかの別をいう。)に応じて政令で定めるものに関する事項の概要

 

次に政令ですが、宅建業法施行令第3条となります。次の項では、この第3条について詳しく説明します。

都市計画法建築基準法制限一覧は、こちらの記事で解説しています。

ossan358.hatenablog.com

 

1-2 都市計画法建築基準法以外のその他の法令に基づく制限

施行令第3条ですが、第1項が「宅地又は建物の貸借の契約以外の契約(売買)」について、第2項が「宅地の貸借の契約」について、第3項が「建物の貸借の契約」について規定されています。

大半が対象外となりますが、この内容を覚えておくことで、少しは重要事項説明漏れを防ぐことができると考えられます。

それでは、この記事ではその他の法令に基づく制限のうち集落地域整備法について解説していきます。

 

 

 

2 集落地域整備法とは

集落地域整備法は、都市化の波が押し寄せて、農家と一般住宅が混在する都市近郊の農村集落について、調和のとれた地域整備を行うための法律として、1987(昭和62)年に制定されました。

集落地域整備法にもとづき、都市計画法上の地区計画として、集落地区計画を定めることが可能です。

集落地区計画は、集落地域内で、農業と調和した居住環境と土地利用を図るための計画です。

集落地域は、市街化区域以外の都市計画区域で、かつ農業振興地域内とされています。

集落地区計画により、農業の兼業(副業)化や農家と非農家の混在化に伴う、虫食い的な農地転用(農地を農地以外のものにすること)による営農(農業を経営すること)条件の悪化や建築物のバラ建ちを防ぐことを目的としています。

 

集落地区整備計画では、次の内容を定めます。

 

  • 集落地区施設の配置・規模
  • 建築物等の用途制限、建ぺい率の最高限度、建築物の高さの最高限度、建築物の形態や意匠の制限
  • 居住環境を確保するための樹林地、草地等の保全に関する事項

 

 

 

3 重要事項説明で説明する内容

集落地域整備法(行為の届出等)】

集落地区計画の区域(集落地区整備計画が定められている区域に限る。)内において、土地の区画形質の変更、建築物等の新築、改築又は増築その他政令で定める行為を行おうとする者は、当該行為に着手する日の30日前までに、国土交通省令で定めるところにより、行為の種類、場所、設計又は施行方法、着手予定日その他国土交通省令で定める事項を市町村長に届け出なければならない。ただし、次に掲げる行為については、この限りでない。

一 通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で政令で定めるもの

二 非常災害のため必要な応急措置として行う行為

三 国又は地方公共団体が行う行為

四 都市計画事業の施行として行う行為又はこれに準ずる行為として政令で定める行為

五 都市計画法第29条第1項の許可を要する行為その他政令で定める行為

2 前項の規定による届出をした者は、その届出に係る事項のうち設計又は施行方法その他の国土交通省令で定める事項を変更しようとするときは、当該事項の変更に係る行為に着手する日の30日前までに、国土交通省令で定めるところにより、その旨を市町村長に届け出なければならない。

 

宅建業法第35条において説明しなければならない規定は次のとおりです。

 

重要事項説明対象の法令

□集落地区計画区域内での建築物の建築等の事前届出(法第6条第1項)

 行為に着手する30日前までに市町村長へ届出

□集落地区計画区域内での建築物の建築等の事前届出(変更)(法第6条第2項)

 設計等の変更に係る行為に着手する30日前までに市町村長へ届出

 

一般的な地区計画の届出と同じで集落地区計画区域内で土地の区画形質の変更や建築物等の新築・改築・増築・用途の変更を行う前には行為に着手する30日前までに市町村長に対して届出を行わなければなりません。

ただし、軽易な行為や非常災害のため必要な応急措置として行う行為などは届出の対象外となります。

集落地区計画は都市計画で定める『地区計画』のため、地区計画の情報を入手(特に地区整備計画)し、その内容を説明します。

また、集落地区計画は、市街化調整区域または非線引き都市の白地で指定されているため、取引する物件が市街化調整区域である場合には、土地購入後に建築を行う際には、建築確認申請の前に開発許可を受ける旨も説明が必要です。

ちなみに集落地区計画区域内の地区整備計画に適合した建築物の新築等であれば許可を受けることが可能です(都市計画法第33条第1項第5号ホ、同法第34条第10号)

 

 

 

4 集落地区計画とは

集落地域整備法第5条(集落地区計画)】

集落地域※の土地の区域で、営農条件と調和のとれた良好な居住環境の確保と適正な土地利用を図るため、当該集落地域の特性にふさわしい整備及び保全を行うことが必要と認められるものについては、都市計画に集落地区計画を定めることができる。

 

集落地区計画は都市計画法及び集落地域整備法に基づく都市計画です。令和3年3月末現在で、全国15都市16地区で指定されています。

www.mlit.go.jp

集落地区計画は、市街化調整区域内において営農と居住をあわせもった都市計画であるという点がポイントです。

集落地域と都市計画との関係性については、都市計画区域内のうち市街化調整区域及び非線引き区域(白地)かつ農業振興地域で定めることができるとされています。なお、農業振興地域とは、農水省が定める「農用地等の確保等に関する基本指針」に基づき都道府県が定める「農業振興地域整備基本方針」により指定されるものです。

都市計画運用指針では、農業振興地域には、農地以外農用地区域とそれ以外(白地地域)が指定されますが、集落地区計画については農用地区域には定めてはならないとされています。

 

 

 

■まとめ

いかがでしたか?

重要事項説明の一つである『集落地域整備法』についての説明でした。

集落地区計画の指定が多くはないので、該当する取引を行うこと自体が少ないですが、該当する取引の場合には、丁寧に説明しましょう。

今後、調査した結果、もし売買の対象となる不動産が集落地区計画に該当する場合には、制限の内容を調査するとともに、不動産の重要事項説明書の「集落地域整備法」の項目にチェックをつけて、制限内容を説明する必要しなければなりません。

このような土地に関しては、土地の仲介業者は購入希望者に対して、その土地がどの「用途地域」に属するかとあわせて、制限についても必ず伝える義務があります。

少しでも疑問がある場合は、事前に担当の部署に確認し法チェックをしておきましょう。

不動産の取引・設計や投資の際には、買主や施主の要望を十分に理解して、リスクを回避するためにも理解をしておく必要がありますね。