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【重要事項説明】公拡法に関する手続きの解説|これって重説必要?公拡法による届出と申出とは?

不動産取引の際に、公拡法の届出さえすれば重要事項の説明は必要ないと勘違いされている方がいます。そうではありません。その効力は届出の要件から対象外にならない限り続くのです。

ここでは、公拡法(公有地の拡大の推進に関する法律または公有地拡大推進法)に基づく届出義務と買い取り申出について、どういった場合にどのような手続きが必要になるのかを解説します。

要件を欠いた場合の変更届と廃業届

公拡法はあまり馴染みがなく、見落とされます。

手続きをわすれてしますと『売主』が罰則の対象となる重要な事項です。

 

 

 

1 公拡法とは

公拡法は、公共の目的(公共事業等)により必要な土地を少しでも取得しやすくために設けられている制度です。

対象の土地が売買される機会に、都度、自治体による土地の先買いを優先的に行わせるためのものです。

 

【公拡法第1条(目的)】

この法律は、都市の健全な発展と秩序ある整備を促進するため必要な土地の先買いに関する制度の整備、地方公共団体に代わつて土地の先行取得を行なうこと等を目的とする土地開発公社の創設その他の措置を講ずることにより、公有地の拡大の計画的な推進を図り、もつて地域の秩序ある整備と公共の福祉の増進に資することを目的とする。

 

 

 

2 届出義務

届出制度は、公拡法第4条に規定されており一定規模等以上の土地を有償譲渡する場合に、土地の所有者が都道府県知事または市長に届出るものです。

一般的に届出対象となるのは、

などです。

 

【公拡法第4条第1項(土地を譲渡しようとする場合の届出義務)の抜粋】

次に掲げる土地を所有する者は、当該土地を有償で譲り渡そうとするときは、当該土地の所在及び面積、当該土地の譲渡予定価額、当該土地を譲り渡そうとする相手方その他主務省令で定める事項を、主務省令で定めるところにより、当該土地が町村の区域内に所在する場合にあつては当該町村の長を経由して都道府県知事に、当該土地が市の区域内に所在する場合にあつては当該市の長に届け出なければならない。

 

 

 

2-1 届出の必要な土地取引

下記の要件に該当する場合は届出が必要です。

◆土地の売買面積200㎡以上の場合

 ①都市計画施設内の土地(都市計画道路や公園など)※都市計画施設とは都市計画法に規定されるもの

 都市計画区域の土地で次に掲げるものとは、

  • 道路法の規定により道路の区域として決定された区域内に所在する土地
  • 都市公園法の規定により都市公園を設置すべき区域として決定された区域内に所在する土地
  • 河川法の規定により河川予定地として指定された土地
  • 文化財保護法の規定により指定された史跡、名勝又は天然記念物に係る地域内に所在する土地
  • 港湾法の規定により公示された港湾計画に定める港湾施設の区域内に所在する土地
  • 航空法の規定により空港の用に供する土地の区域として告示された区域内に所在する土地
  • 高速自動車国道法の規定により高速自動車国道の区域として決定された区域内に所在する土地
  • 全国新幹線鉄道整備法の規定により行為制限区域として指定された区域内に所在する土地

 ②土地区画整理促進区域内の土地についての土地区画整理事業で、都府県知事が指定し、主務省令で定めるところにより公告したものを施行する土地の区域内に所在する土地

 ③住宅街区整備事業の施行区域として定められた土地の区域内に所在する土地

 

◆土地の面積5,000㎡以上の場合

 ①市街化区域内の土地

 ②「大都市地域における宅地開発及び鉄道整備の一体的推進に関する特別措置法(→つくばエクスプレス沿線)」に定める重点地域内の土地

 

◆土地の面積10,000㎡以上の場合

 ①都市計画区域内(市街化調整区域を除く)※非線引き都市

 

なお、届出対象外の場合など、詳細は法第4条第2項に規定されていますので、土地取引時においては、チェックや自治体に尋ねるなどする必要があります。

 

 

 

2-2 届出方法・届出先

届出内容としては、『土地有償譲渡届出書(公拡法施行規則別記様式第一)』に次の内容を記載し、正本1部、写し1部を有償で譲り渡そうとする前に都道府県知事(町・村は当該長を経由)、または市長に届出を行います。

 

【届出に記載が必要な事項】

  • 土地の地目
  • 土地に所有権以外の権利があるときは、当該権利の種類及び内容並びに当該権利を有する者の氏名及び住所
  • 土地に建築物その他の工作物があるときは、当該工作物並びに当該工作物につき所有権を有する者の氏名及び住所
  • 工作物に所有権以外の権利があるときは、当該権利の種類及び内容並びに当該権利を有する者の氏名及び住所

※土地有償届には、添付書類を定めている場合がありますので自治体HPや窓口での確認をしましょう。

 

 

 

2-3 届出後の手続き・手続き中の譲渡制限

届出を受理した都道府県知事または市長から、届出があった日から3週間以内に土地の買い取りを希望する地方公共団体等のうちから買取りの協議を行う地方公共団体等を定め、買い取りの目的を示して、届出者に対し、地方公共団体等が買い取りの協議を行う旨を通知されます。

土地の買い取りを希望する地方公共団体等がないときは、その旨が通知されます。

通知を受け取り、買い取り希望の協議となった場合には買い取りを希望する地方公共団体等と協議を行います。

ということは、届出を行った日から原則として3週間は他者への譲渡制限がかかるのです。

届出の対象の土地は、この通知がでるまでは契約行為が出来ないということです。

事前の法チェックをして、余裕のある契約日を設定しましょう。

 

 

 

2-4 買い取りの場合の土地の価格・税制優遇

買い取り希望がある場合は、地価公示法第6条第1項の規定に基づく地価公示を規準として算定した価額が提示されます。事業認可や土地収用法による認定がされている状態ではありませんので、必ず契約をする必要はありません。(事業の時に土地の評価が下がっていれば、提示額よりも低い価格で収用されることになります。将来の事はわかりませんけど・・・・。)

地方公共団体等と買い取り契約が成立した場合、譲渡者は、土地の譲渡所得に係る特別控除(1,500万円)を受けることができます。買い取り証明書を発行してもらい、確定申告を行います。

 

 

 

3 買い取り希望の申出に係る届出

公拡法には、届出義務(公拡法第4条第1項)が生じる都市計画施設等または都市計画区域内の土地で面積が200㎡以上の場合は、買い取り希望の申出を都道府県知事または市長に行うことができる制度もあります。(ほとんど活用されることはありません。)

届出としては、様式が違い、公拡法施行規則別記様式第二『土地買取希望申出書』を提出します。

提出した後の手続きについては、届出義務と同じです。

あくまでも『申出』であり義務ではなく、良かったら都市計画事業や公共施設用地として活用しませんか?というものです。

【公拡法第5条(地方公共団体等に対する土地の買取り希望の申出)】

前条第1項に規定する土地※1その他都市計画区域内に所在する土地(その面積が政令※2で定める規模以上のものに限る。)を所有する者は、当該土地の地方公共団体等による買取りを希望するときは、同項の規定に準じ主務省令で定めるところにより、当該土地が町村の区域内に所在する場合にあつては当該町村の長を経由して都道府県知事に対し、当該土地が市の区域内に所在する場合にあつては当該市の長に対し、その旨を申し出ることができる。

※1:届出義務がある土地

※2:200㎡以上(自治体の条例により下限している場合あり)

 

 

 

4 届出一覧(用途ごと)

個別施設ごとの詳細は、法第4条・第5条及び政令第2条・第3条・4条を確認する必要がありますのでご注意ください。

 

①都市計画施設

 市街化区域:200㎡以上*1

 市街化調整区域:200㎡以上*1   

 非線引き都市計画区域:200㎡以上*1

 その他:200㎡以上*1

都市計画区域内(道路区域、都市公園区域、河川予定地)

 市街化区域:200㎡以上*1

 市街化調整区域:200㎡以上*1   

 非線引き都市計画区域:200㎡以上*1

 その他:―

③促進区域(土地区画整理事業)    

 市街化区域:200㎡以上*1

 市街化調整区域:―

 非線引き都市計画区域:―

 その他:―

④住宅街区整備事業施行区域

 市街化区域:200㎡以上*1

 市街化調整区域:―

 非線引き都市計画区域:―

 その他:―

生産緑地地区

 市街化区域:200㎡以上*1

 市街化調整区域:―

 非線引き都市計画区域:―

 その他:―

⑥市街化区域(①〜⑤を除く土地)

 市街化区域:5,000㎡以上  

 市街化調整区域:―

 非線引き都市計画区域:―

 その他:―

都市計画区域内(①から⑥を除く土地)

 市街化区域:5,000㎡以上  

 市街化調整区域:―

 非線引き都市計画区域:10,000㎡以上

 その他:―

  *1:都道府県・市の条例で100㎡以上(防災再開発促進区域は50㎡以上)まで引き下げ可

 

 

 

5 罰則規定

届出義務については、『売主』に対して罰則規定(過料)が設けられています。

【公拡法第32条抜粋】

次の各号のいずれかに該当する者は、50万以下の過料に処する。

一 第4条第1項の規定に違反して、届出をしないで土地を有償で譲り渡した者

二 第4条第1項に規定する届出について、虚偽の届出をした者

三 第8条の規定に違反して、同条に規定する期間内に土地を譲り渡した者

 

 

 

6 まとめ

いかがでしたか?

意外と届出の対象となる可能性があることがわかります。

対象となる場合は、土地取引の度に届出が必要になります。

ということは、この土地はそのような土地であるということを説明することが必要になりますよね!

せっかくの土地取引が、確認不足で信用を失いことにもなりえませんので注意しましょう。