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【重要事項説明】地域再生法第17条の18第1項(集落生活圏(地域再生土地利用計画))|制度の概要と課題!?重要事項との関係、対象の地域とその理由!しっかり理解してがっちり土地利用。宅建・土地取引・投資のノウハウ!!

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地域再生は、急速な少子高齢化と産業構造の変化など社会経済情勢の変化に対応して、地方公共団体が行う地域経済の活性化、地域における雇用機会の創出など地域の活力の再生(地域再生)を総合的・効果的に推進することを目的に2005(平成17)年に定められました。
売買の対象となる不動産が、集落生活圏の区域内に該当する場合には、重要事項説明が必要です。


なんとなくわかっているようで、詳しく説明しようとすると理解できていないものです。
これらを詳細に理解するには、経験と知識が必要です。
しかしながら、どのような規定があるのか概要を理解しておけば、そのような物件に巡り合ったときに気づきが生まれます。
これが重要なのです。
内容を理解しておかないと、買主からの「ここで家が建てれるの!用途や大きさの建築はできるの?」との質問に正確に答えることができません。
この記事では、不動産取引における重要事項説明のうち地域再生法」について解説しています。
不動産取引や建築設計において都市計画や建築基準法などの制限を説明する際には正しい根拠とその内容を正確に買主に伝える必要があります。
建築士試験、重要事項説明などにおいて必須の知識となりますので、こちらの記事が参考になれば嬉しいです。
それでは、わかりやすくポイントを絞って解説します。

 

 

1 その他法令に基づく重要事項説明事項とは?

 
法令としては、宅建業法第35条第1項第2号の部分となります。

宅建業法第35条(重要事項の説明等)第1項第二号(抜粋)]
宅地建物取引業者は、宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の相手方若しくは代理を依頼した者又は宅地建物取引業者が行う媒介に係る売買、交換若しくは貸借の各当事者に対して、その者が取得し、又は借りようとしている宅地又は建物に関し、その売買、交換又は貸借の契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面(第五号において図面を必要とするときは、図面)を交付して説明をさせなければならない。

二 都市計画法建築基準法その他の法令に基づく制限で契約内容の別(当該契約の目的物が宅地であるか又は建物であるかの別及び当該契約が売買若しくは交換の契約であるか又は貸借の契約であるかの別をいう。)に応じて政令で定めるものに関する事項の概要

次に政令ですが、宅建業法施行令第3条となります。次の項では、この第3条について詳しく説明します。

都市計画法建築基準法制限一覧は、こちらの記事で解説しています。

ossan358.hatenablog.com

 

■ 都市計画法建築基準法以外のその他の法令に基づく制限

施行令第3条ですが、第1項が「宅地又は建物の貸借の契約以外の契約(売買)」について、第2項が「宅地の貸借の契約」について、第3項が「建物の貸借の契約」について規定されています。
大半が対象外となりますが、この内容を覚えておくことで、少しは重要事項説明漏れを防ぐことができると考えられます。
それでは、この記事ではその他の法令に基づく制限のうち地域再生法』について解説していきます。

 

 

 

2 地域再生法とは

地域再生法は、急速な少子高齢化と産業構造の変化など社会経済情勢の変化に対応して、地方公共団体が行う地域経済の活性化、地域における雇用機会の創出など地域の活力の再生(地域再生)を総合的・効果的に推進することを目的に2005(平成17)年に定められました。
地域再生法は、人口減少問題や東京圏への人口集中問題を解決することを背景に、

①企業の地方拠点強化

②基幹となる集落に機能・サービスを集約し、周辺集落とのネットワークを持つ「小さな拠点」の形成

を促進し、地域の活力の再生を推進するといった内容に2015(平成27)年に改正されました。
地域再生を図るための計画(地域再生計画)を作成し、内閣総理大臣の認定を受けた地方公共団体認定地方公共団体といいます。

地方圏では、人口の減少にともない、生活に必要な医療・介護、福祉、教育、買物、公共交通などの各種サービスを十分に利用できないケースがあります。

このような事態を改善するために、認定地方公共団体である市町村は、地域再生拠点の形成並びに農用地等の保全及び農業上の効率的かつ総合的な利用を図るための土地利用に関する計画地域再生土地利用計画)を定め、複数の集落を含む生活圏(集落生活圏)の中に、次のような誘導施設を集約して地域再生拠点を形成します。


▶︎具体的な施設については、市町村が定める地域再生土地利用計画に規定

    生活サービス施設(診療所、保育所、公民館、商店、ガソリンスタンド等)
    就業機会を創出する施設(地場産品の加工・販売所、観光案内所等)
    その他の集落生活圏の住民の共同の福祉若しくは利便のため必要な施設又は地 域農林水産業振興施設その他の集落生活圏における就業の機会の創出に資する施設

※地域における住民の生活及び産業の振興の拠点「小さな拠点」と呼ばれるもの。
 

※出典:「地域再生制度(内閣府地方創生推進事務局)」

集落生活圏とは、市街化区域又は区域区分に関する都市計画が定められていない都市計画区域内の用途地域以外の地域に定められます(出典:地域再生土地利用計画の作成等に関するガイドライン)。

つまり、次の地域に定められます。いわゆる中山間地域です。

    市街化調整区域
    区域区分が定められていない白地地域
    都市計画区域
 

 

 

 

3 重要事項説明の内容

地域再生土地利用計画に記載された集落生活圏の区域内の制限行為】

地域再生法第17条の18)
地域再生土地利用計画に記載された集落生活圏の区域内において、次に掲げる行為を行おうとする者は、これらの行為に着手する日の30日前までに、国土交通省令で定めるところにより、行為の種類、場所、設計または施行方法、着手予定日その他国土交通省令で定める事項を認定市町村の長に届け出なければならない。

一  当該地域再生土地利用計画に記載された前条第3項第2号の誘導施設を有する建築物の建築の用に供する目的で行う開発行為または当該誘導施設を有する建築物を新築し、もしくは建築物を改築し、もしくはその用途を変更して当該誘導施設を有する建築物とする行為(当該誘導施設の立地を誘導するものとして当該地域再生土地利用計画に記載された地域再生拠点区域内において行われるものを除く。)
二  当該地域再生土地利用計画(前条第4項第2号に掲げる事項が定められているものに限る。)に記載された地域再生拠点区域内における土地の区画形質の変更、建築物の建築その他政令で定める行為(当該地域再生土地利用計画に記載された同項第1号に規定する事業に係るものを除く。)

2 次に掲げる行為については、前項の規定は、適用しない。
一  軽易な行為その他の行為で政令で定めるもの
二  非常災害のため必要な応急措置として行う行為
三  都市計画法第4条第15項に規定する都市計画事業の施行として行う行為またはこれに準ずる行為として政令で定める行為
四  その他認定市町村の条例で定める行為

3 第1項の規定による届出をした者は、当該届出に係る事項のうち国土交通省令で定める事項を変更しようとするときは、当該事項の変更に係る行為に着手する日の30日前までに、国土交通省令で定めるところにより、その旨を認定市町村の長に届け出なければならない。

4 認定市町村の長は、第1項または前項の規定による届出があった場合において、当該届出に係る行為が地域再生土地利用計画に適合せず、地域再生拠点の形成を図る上で支障があると認めるときは、当該届出をした者に対し、その届出に係る行為に関し場所または設計の変更その他の必要な措置をとることを勧告することができる。

5 認定市町村の長は、前項の規定による勧告をした場合において、必要があると認めるときは、その勧告を受けた者に対し、当該誘導施設に係る地域再生拠点区域内の土地の取得または当該届出に係る土地に関する権利の処分についてのあっせんその他の必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

集落生活圏の区域内において誘導施設の建築や誘導施設の建築を目的とした開発行為を行う場合には、建築や開発行為の行為に着手する30日前までに市町村に届出を行う必要があります。
また、認定市町村の長は、その届出行為が地域再生土地利用計画に適合せず、地域再生拠点の形成に支障があると認めるときは、場所または設計の変更を勧告することができます。

その時に、次の3点について留意します。

    国から地域再生計画の認定を受けているか
    地域再生土地利用計画が定められており、取引する土地が集落生活圏内かどうか
    地域再生土地利用計画に”誘導施設”が定められているかどうか

 

 

 

■まとめ

いかがでしたか?
重要事項説明の一つである『地域再生法』についての説明でした。
調査には、『〇〇市町村 地域再生土地利用計画』と検索し、調査します。地域再生土地利用計画の前提となる地域再生計画が定められているかどうは、内閣府のホームページにて確認することができます。
調査した結果、売買の対象となる不動産が、集落生活圏の区域内に該当する場合には、制限の内容を調査するとともに、不動産の重要事項説明書の「地域再生法」の項目にチェックをつけて、制限内容を説明する必要があります。
このような物件に関しては、物件の仲介業者は購入希望者に対して、その物件がどの「用途地域」に属するかとあわせて、制限についても必ず伝える義務があります。
少しでも疑問がある場合は、事前に担当の部署に確認し法チェックをしておきましょう。
不動産の取引・設計や投資の際には、買主や施主の要望を十分に理解して、リスクを回避するためにも理解をしておく必要がありますね。