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【OSSAN’s知恵袋】不動産業者や宅建士、投資家のみなさんにわかっておいて欲しい。地域地区の一つ『景観地区』をまとめてわかりやすく説明します!

OSSANNです。

今日は、「景観地区」についてわかりやすく説明をします。

似たような単語があるので、あわせて説明をしていきます。

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1 景観地区とは

景観地区とは、景観法に規定され、市街地の良好な景観の形成を図るため、都市計画に定められる地域地区のことです。

景観計画区域より強制力があります。

景観地区は、歴史的建物が立ち並んでいるなど、様々な理由により市街地の景観を保存・継承していきたい場合に指定されます。景観地区で定められる規定は全国共通ではなく、各地区ごとによって異なっています。

《景観地区で必ず定められる事項》

  ○建築物の形態意匠の制限

《景観地区で選択的に定められるもの》

  ○建築物の高さの最高限度または最低限度
  ○敷地面積の最低限度

  ○壁面の位置の制限

 

意匠とは、物品(物品の部分を含む)の形状、模様もしくは色彩などの結合であって、視覚を通じて美感を起こさせるものと定義されています。

単なる建築物のデザインだけでは、意匠とはなりえず、建築物と街並みが一体となったデザインでなければ、意匠として成り立ちません。

そのため、建築物の形態意匠の制限については、周囲の建築物や街並みや自然との調和など、数値化できない要素が多く、各地区ごとにそれぞれ定められます。

 

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鎌倉市の例

景観地区に定められた地区では、景観行政団体が強制力を持って、建築物の形態や規模を規制することができ、従わない場合は工事停止、是正命令、及び罰則が設けられています。

 

2 美観地区と景観地区の違い

2005(平成17)年の景観法施行に伴い、都市計画法の地域地区であった美観地区(びかんちく)は廃止され、景観地区に統合されました。

従来の美観地区が、これまでの良好な景観を維持する目的であったのに対し、景観地区では、これからの良好な景観の形成を図るため設定できることが大きな違いです。

条例で景観地区を美観地区と呼ぶことで、美観地区という呼び方が残っているケースもあります。

 

3 景観地区と景観計画区域と景観協定の違い

すべて景観法に規定されています。

景観法は、都市だけでなく農村漁村も対象にして、地域の個性を反映した柔軟な規制によって景観の形成を図るための制度を定めており、景観に関する基本法です。

このように景観法が対象とする景観は、自然景観より都市景観が主なものです。

景観行政団体は、現にある良好な景観を保全するすべき区域について景観計画を定めることができます。

景観計画の対象となる範囲を景観計画区域といいます。景観計画区域内で、建築物の建築等を行う際には、景観行政団体の長に届出なければなりません。

景観行政団体とは、政令指定都市および中核市、その他の区域では都道府県を指します。また景観行政を積極的に推進したい市町村は、都道府県知事と協議し同意を得て、景観行政団体になることができます。

そして、景観行政団体は、景観計画区域による景観形成とともに、より積極的に強制力を持つ地域地区として、景観地区を定めることができます。

景観計画区域内の土地所有者は、その住民全員の合意により、良好な景観形成を図るための自主的ルールとして景観協定を結ぶことができます。この効力は、その後、景観協定内の土地所有者となった者に対しても及びます。

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まとめると、

景観計画区域は、景観行政団体が「〇〇市全域」というような形で区域を定めています。景観重要建築物、景観重要樹木、屋外広告物の表示・設置の制限、景観重要公共施設など、景観に関するおおまかな規定を定めているものです。もし、◯◯市全域に厳しい規定を定めてしまうと、建築自体が厳しくなるため、あくまでも全体的・包括的な規定となっています。

それに対して景観地区は、この地区は景観を守るために必ずこのように建築しなければならないという厳しい建築物の形態意匠の制限の規定を設けています。そのため、景観地区はそれほど多くありません。