OSSANです。
これまでに引き続き、不動産のための土地利用の規制について説明していきます。
土地利用における補完ルールになります。
補完的ルールのイメージはこちらです↓
今回は、「高度地区・高度利用地区・高層住居誘導地区・特定街区」です。
文字のイメージは大事ですが、あまりにも似ているのでまとめて説明した方がよいでしょう。
わかりやすく説明をしていきます。
1 高度地区
高度地区は、用途地域内において今の環境を維持したり、逆に、街を発展させたりするために建築物の最高限度または最低限度を定める地区のことです。
例えば、住宅地としての環境を確保したい地区などでは建物の高さの最高限度を定めたり、駅周辺などで建物の上の空間利用を図るために、建物の最低限度の高さを定めたりします。
つまり、高度地区内においては、建築物の高さを制限する地区です。
高度地区では、最高限度もしくは最低限度を定めればよく、どちらも定めなければならないわけではないので注意が必要です!
2 高度利用地区
高度利用地区は、現状、道路整備等が進んでおらず、用途地域の指定によって高層の建物が建てられない地域であるが、これから発展させていこうという場合に道路を整備し、巨大で高層なビル群を建てて、街を活性化させていくための地区です。
なので、一定以下の敷地面積や、一定以下の高さの建物の建築は認められません。
高度利用地区は容積率の最高限度及び最低限度を定める地区で高さは定めません。
3 高層住居誘導地区
職住近接で利便性が高く良好な都市環境の実現などを目的として、都心部に高層住宅の建設を誘導すべき地区を定めるものです。
バブル崩壊により、都心の居住者が郊外へ移ってしまった人達を都心への呼び戻すイメージです。
イメージからして、低層住居専用地域は高層住居誘導地区を定められないのは分かりますが、中高層住居専用地域も高層住居誘導地区を定めることができませんので注意してください。
4 特定街区
特定街区とは新宿のような超高層ビルやマンションをイメージしてください。
それゆえ、「最高限度」が定められているのはイメージできます。
また、「壁面の位置の制限」についてはそもそも、隣地境界線(道路など)と壁面の距離を制限することで、ゆとりある空間をつくり出すことを目的としています。
超高層マンション が、近距離にあるということはないですよね。
また、特定街区においては一般的な都市計画法や建築基準法の適用はありません。
5 理解度確認
■問1
高度利用地区は、用途地域内において市街地の環境を維持し、又は土地利用の増進を図るため、建築物の高さの最高限度又は最低限度を定める地区である。 (2016-問16-3)
答え:誤り
本肢は「高度地区」の記述です。 高度利用地区は、用途地域内の市街地における土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新とを図るため、建築物の容積率の最高限度及び最低限度、建築物の建ぺい率の最高限度、建築物の建築面積の最低限度並びに壁面の位置の制限を定める地区です。
■問2
高層住居誘導地区は、住居と住居以外の用途とを適正に配分し、利便性の高い高層住宅の建設を誘導するために定められる地区であり、近隣商業地域及び準工業地域においても定めることができる。 (2014-問15-4)
答え:正しい
高層住居誘導地区は、住居と住居以外の用途とを適正に配分し、 利便性の高い高層住宅の建設を誘導するために定められる地区であり、 ・第一種住居地域 ・第二種住居地域 ・準住居地域 ・近隣商業地域 ・準工業地域 で定めることができます! でも、これを読んでも意味も分かりづらいし、定められる区域も覚えにくいですよね!? この点については、 高層住居誘導地区とはどんな地区なのか? イメージできれば非常に分かりやすいです! また、結果としてどこで定めることができるかも導けるようになります! つまり、あまり覚える必要なない部分ということです!
■問3
高度利用地区は、市街地における土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新とを図るため定められる地区であり、用途地域内において定めることができる。(2014-問15-2)
答え:正しい
高度利用地区とは、市街地における土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新とを図るため定められる地区です。 簡単にいえば、空中部分(2階以上の部分)を有効に利用するために小さな建築物をできるだけ建てず、 比較的高い建物を建てていく区域です! そして、高度利用地区は用途地域内に定めることができます!
■問4
高度地区は、用途地域内において市街地の環境を維持し、又は土地利用の増進を図るため、建築物の高さの最高限度又は最低限度を定める地区である。 (2007-問18-1)
答え:正しい
高度地区は、建築物の高さの最高限度又は最低限度(準都市計画区域内では、建築物の高さの最高限度。)を定めます。 覚えるポイントは、高度地区は「高さを定め」、高度利用地区は「高さを定めない」ということです。
■問5
高層住居誘導地区は、住居と住居以外の用途を適正に配分し、利便性の高い高層住宅の建設を誘導するため、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域等において定められる地区をいう。 (2005-問19-4)
答え:誤り
高層住居誘導地区は、住居と住居以外の用途とを適正に配分し、利便性の高い高層住宅の建設を誘導するための地区です。(第一種・第二種)低層住居専用地域および(第一種・第二種)中高層住居専用地域では高層住居誘導地区を定めることができません。 高層住居誘導地区を定めることができる用途地域は考え方を理解するとイメージしやすいです!
■問6
高度利用地区は、用途地域内において市街地の環境を維持し、又は土地利用の増進を図るため、建築物の高さの最高限度又は最低限度を定める地区である。 (2003-問17-3)
答え:誤り
高度利用地区は容積率の最高限度又は最低限度等を定める地区で「高さ」は定めません。 一方、高度地区内においては建築物の高さ(最高限度・最低限度)を制限する地区です。 つまり、本問は高度地区の記述です。
■問7
高層住居誘導地区は、住居と住居以外の用途とを適正に配分し、利便性の高い高層住宅の建設を誘導するため定める地区である。 (2003-問17-1)
答え:正しい
高層住居誘導地区は住居と住居以外の用途とを適正に配分し、利便性の高い高層住宅の建設を誘導するための地区で、高層住居誘導地区は「第1・2種住居地域」「準住居地域」「近隣商業地域」「準工業地域」で定めることができます。
■問8
高度地区は、用途地域内の市街地における土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新を図るため、少なくとも建築物の容積率の最高限度及び最低限度、建ぺい率の最高限度、建築面積の最低限度を定めなければならない。 (2002-問18-2)
答え:誤り
高度地区は、建築物の高さの最高限度又は最低限度(準都市計画区域内では、建築物の高さの最高限度。)を定めます。 本問は「高度利用地区」の記述です。 覚えるポイントは、高度地区は「高さを定め」、高度利用地区は「高さを定めない」という部分です。
■問9
特定街区に関する都市計画には、建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合並びに建築物の高さの最高限度及び壁面の位置の制限を定めることとされている。 (2001-問17-4)
答え:正しい
特定街区は市街地の整備改善を図るため1つの街区(ブロック)について、その街区内における建築物の容積率の最高限度、高さの最高限度、壁面の位置の制限を定めます。 イメージとしては、新宿やみなとみらいなどの超高層オフィスビルです。超高層ビルの高さの制限がなければ、どれだけでも高くしてしまう可能性があり危ないです。