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【重要事項説明】建築基準法で指定。壁面線の建築制限は、外壁後退制限(都市計画法)とは違います!|「外壁後退」と「壁面線」、「壁面の位置の制限」の違いを理解して失敗しない重要事項説明をわかりやすく解説!!

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こんかいはコチラ!!

よくある事例で、

自治体の窓口に「壁面線の指定は?」と尋ねても、「壁面線の指定はありません」と回答があったからと安心していたら「外壁後退が指定されていた!?」とのトラブルもあります。これは、行政側に責任はなく、あなたの理解と聞き方に責任があるのです。

不動産取引において都市計画や建築基準法の制限を説明する際には正しい根拠とその内容を正確に買主に伝える必要があるからです。

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役所は不動産の仲介や講義のためにあるのではありません。

よく不動産の取引や建築設計の打ち合わせの中で、「外壁後退」と「壁面線」、「壁面の位置の制限」を混同して使用している方がいます。

これらの3つは敷地境界線から外壁までの距離についての定義ですが、法による規定が違うのです。

 

この記事では、「外壁後退」「壁面線」「壁面の位置の制限」の違いについてわかりやすく解説していきます。

 

 

 

1 建築基準法における重要事項説明事項とは?

重要事項説明では、宅建業法施行令第3条第1項第2号に掲げる内容を説明する必要があります。

宅建業法施行令第3条第1項第2号(重要事項説明:建築基準法

二 建築基準法第39条第2項、第43条、第43条の2、第44条第1項第45条第1項第47条、第48条第1項から第14項まで(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第49条(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第49条の2(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第50条(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第52条第1項から第14項まで、第53条第1項から第8項まで、第53条の2第1項から第3項まで、第54条、第55条第1項から第3項まで、第56条、第56条の2、第57条の2第3項、第57条の4第1項、第57条の5、第58条、第59条第1項及び第2項、第59条の2第1項、第60条第1項及び第2項、第60条の2第1項、第2項、第3項(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)及び第6項、第60条の2の2第1項から第3項まで及び第4項(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第60条の3第1項、第2項及び第3項(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第61条、第67条第1項及び第3項から第7項まで、第68条第1項から第4項まで、第68条の2第1項及び第5項(これらの規定を同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第68条の9、第75条、第75条の2第5項、第76条の3第5項、第86条第1項から第4項まで、第86条の2第1項から第3項まで並びに第86条の8第1項及び第3項

「エッ」と思うぐらい多いですが、このうち都市計画や建築基準法に基づく指定や認可状況、条例などを調査し、該当する事項を説明することになります。

調査方法としては、都市計画課(法)や建築指導課(法)などを担当する窓口にて確認することとなります。

くれぐれも「どれが対象ですか?」などの尋ね方はやめましょう!

対象となる窓口にて確認して内容を理解し、説明が必要な事項を洗い出して整理するのが資格者の責務です。「役所がいったから。」では役割を果たしていません。

 

それでは建築基準法第47条「壁面線の建築制限」についての説明にいきましょう!

 

 

 

2 「外壁後退」とは?

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「外壁後退」は建築基準法第54条の規定になります。

法第54条では、指定される都市計画の地域地区(用途地域)が規定されています。

  • 第一種低層住居専用地域
  • 第二種低層住居専用地域
  • 田園住居地域

の3つの用途地域では、都市計画法により原則として「外壁後退」を定めることとされています。

都市計画で定める「地区計画」や建築基準法に基づく住民同士のルールとなる「建築協定」の区域内でも「外壁後退」と定めている場合は多いです。

制限されるのは「外壁」のみで、低層住居地域内の日照や通風等を確保し、良好な住宅街を形成することが目的となっています。

全ての敷地境界線(道路境界線も含む)から後退する必要があり、後退距離は1m又は1.5mのいずれかとすることが法律で規定されています。

 

 

 

3 「壁面線」とは?

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「壁面線」とは建築基準法第46条に規定されています。

建築基準法第46条第1項抜粋〕

特定行政庁は、街区内における建築物の位置を整えその環境の向上を図るために必要があると認める場合においては、建築審査会の同意を得て、壁面線を指定することができる。この場合においては、あらかじめ、その指定に利害関係を有する者の出頭を求めて公開による意見の聴取を行わなければならない。

 

街区単位で指定され、一つの建築物のみに規定が及ぶものではありません。

道路に面する建築物の壁面の位置を指定するものです。

この「壁面線」ですが、第3章第2節(建築物又はその敷地と道路又は壁面線との関係等)に規定されています。

壁面線が指定されると、次条である法第47条により、「建築物の壁若しくはこれに代わる柱又は高さ2mをこえる門若しくは塀」は壁面線を越えて建築できません

「外壁後退」は建築審査会の同意を得て特定行政庁が指定します。

都市計画ではないということですね。

 

 

 

4 「壁面の位置の制限」

 

壁面の位置の制限については、都市計画で定める「高度利用地区」と「地区計画」で規定されることが多いです。

「高度利用地区」は、都市計画で定める地域地区の一つですが、都市計画法第9条第19項において次のように規定されています。

都市計画法第9条第19項)

高度利用地区は、用途地域内の市街地における土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新とを図るため、建築物の容積率の最高限度及び最低限度、建築物の建蔽率の最高限度、建築物の建築面積の最低限度並びに壁面の位置の制限を定める地区とする。

 

高度利用地区計画が指定されると、建築基準法第59条第2項(高度利用地区)により、「建築物の壁又はこれに代わる柱は、建築物の地盤面下の部分及び国土交通大臣が指定する歩廊の柱その他これに類するもの」は壁面の位置の制限に反して建築することはできません

市街地再開発事業などにおいて「壁面の位置の制限」が指定され、制限された部分が歩行空間と一体的に利用されています。

また、道路境界線から後退する部分の高さが設けられている場合もあります。

 

 

5 調査方法

ここまでを整理すると、

都市計画で定められるものが「外壁後退」と「壁面の位置の制限」

特定行政庁(建築基準法)が指定するのが「壁面線」です。

外壁後退と壁面の位置の制限は、都市計画を担当している窓口で確認しましょう。

壁面線は建築基準法で定められるので、建築行政を担当する窓口で確認しましょう。

 

 

 

6 まとめ

いかがでしたか?

不動産売買などにおいて物件調査を行う場合は、自治体の担当窓口に確認すると思いますが、あやふやな確認はやめて、この3つの用語を正しく使い分けましょう!

自分自身のリスク回避のためにも重要なことですね!!