このブログは、まちづくりや都市計画、不動産の取引や投資に関して役立つ情報をつぶやくOSSAN(オッサン)のブログです。良かったらブックマークを活用いただき、業務や調べものの時に活用してくれると励みになります。
不動産を売買する上で、その物件の情報を早い段階で調査しておく必要があります。
そのような日々の業務の中で使用される専門用語など理解するのは重要です。なんとなくの独自の理解で納得していませんか?
不動産の税金で「親から資金援助してもらうときのお得な制度」ついて理解しておくことは重要です。ここでは、その内容と考え方についてわかりやすく記事にしています。
不動産の税金において土地利用の内容を説明する際には正しい根拠を正確に売主・買主に伝える必要があります。
建築士試験、重要事項説明などにおいて必須の知識となりますので、こちらの記事が参考になれば嬉しいです。
それでは、わかりやすくポイントを絞って解説します。
あなたが親から資金援助を受けて不動産を購入する場合、贈与税の対象です。贈与税とは個人からお金を含む財産をもらったときにかかる税金で、年間110万円までの範囲であれば贈与税はかかりません。
ただし、親から住宅を取得するための資金をもらった場合は、最高1,200万円まで贈与税がかからない「住宅取得等資金の非課税制度」と生涯で2,500万円までは贈与税がかからない「相続時精算課税制度」の2つの贈与税の特例制度があります。
どちらにもメリット・デメリットがあります。
この2つの制度の内容は全く異なるため、もし、あなたが親から資金援助(贈与)を受けて不動産購入を考えている場合には、この2つの制度の内容と違いを必ず理解しておく必要があります。
ここでは「住宅取得等資金の非課税制度」についてわかりやすく解説します。
- 1 住宅取得等資金の非課税制度とは
- 2 住宅取得等資金の非課税制度の条件と計算方法
- 3 住宅取得等資金の非課税制度を利用するための手続き
- 4 「住宅取得等資金の非課税制度」と「相続時精算課税制度」のどちらを利用すべきか
- ■まとめ
1 住宅取得等資金の非課税制度とは
「住宅取得等資金の非課税制度」とは、直系尊属である両親・祖父母・曽祖父母から不動産を購入する資金として贈与を受けた場合、最高1,200万円まで贈与税が非課税となる制度のことです。
住宅取得等資金とは、自分が住むための家屋の新築、取得または自分が住んでいる家屋の一定の増改築等に充てるための金銭をいいます。家屋の新築、取得、増改築等には、その家屋の土地や借地権などの取得も含まれることから、自分で住むための「家」に使うためのお金といえます。
ただし、親族(一定の親族)が建設会社など特別の関係にある人と契約(請負契約など)して家に充てる場合は、住宅取得等資金に含まれません。
- 受贈者(贈与を受ける人)の配偶者および直系血族
- 受贈者の親族(①以外の者)で受贈者と生計を一にしているもの
- 受贈者と内縁関係にある者およびその者の親族でその者と生計を一にしているもの
- ①から③に掲げる者以外の者で受贈者から受ける金銭等によって生計を維持しているものおよびその者の親族でその者と生計を一にしているもの
2 住宅取得等資金の非課税制度の条件と計算方法
「住宅取得等資金の非課税制度」は単独で利用することも、相続時精算課税制度と組み合わせて利用することもできます。単独で利用する場合は、年110万円まで税金がかからない基礎控除も加えることができます。
住宅取得等資金の非課税制度
非課税となる金額 +(基礎控除額110万円 or 相続時精算課税2,500万円)
消費税率が10%以外の場合や、売主が個人の場合はそもそも消費税がかからないので、こちらの非課税限度額となります。
●非課税となる金額の一覧表
●利用する人の条件
次の条件を全て満たす人がこの制度の対象となります。
1.住宅の取得するためにお金の贈与を受け、実際にそのお金を住宅の取得資金にあてていること
2.直系尊属(父母・祖父母等)からの贈与であること
3.贈与を受ける者がその年の1月1日において20歳以上であること
4.贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅の引渡しを受け同日までに居住していること、または居住することが確実であると見込まれていること
5.次のいずれかに該当すること
- 贈与を受けたときに日本国内に住所を有する
- 贈与を受けたときに日本国内に住所を有しないものの日本国籍を有し、かつ受贈者(贈与を受ける人)または贈与者(贈与する人)がその贈与前5年以内に日本国内に住所を有したことがある
- 贈与をうけたときに、日本国内に住所も日本国籍も有しないが、贈与者が日本国内に住所を有している
6.贈与を受ける者は贈与を受けた年の所得金額が2,000万円以下であること
7.2009年〜2014年において、住宅取得等資金の非課税制度(旧非課税制度)の適用を受けたことがないこと
●利用する住宅の条件
1.日本にあって、贈与を受ける人の居住用のための住宅であること
2.建物の登記簿上の床面積が50㎡以上240㎡以下であること
3.建物の登記簿上の床面積の1/2以上部分が居住用であること
4.中古住宅の場合は建物の築年数(その家屋の取得の日以前)が、マンションなどの耐火建築物なら25年、木造など耐火建築物以外なら20年以内であること
ただし、この年数を超える場合でも次の条件を満たす住宅であれば適用を受けれます。
- 新耐震基準に適合していることについて証明されたもの
- 既存住宅売買瑕疵保険に加入している一定のもの
- 新耐震基準に適合しない物件であっても、取得の日までに耐震改修工事の申請等をし、かつ、居住の日までに耐震工事を完了しているもので、贈与を受けた年の翌年3月15日までに耐震基準に適合していることについて証明されたもの
◇増改築する場合の条件
- 受贈者が日本国内に所有し、かつ自己の用に供している家屋について行われる増改築等であること
- 増改築後の家屋の登記簿上の床面積(区分所有の場合にはその専有部分の床面積)が50㎡以上240㎡以下であること
- 増改築後の家屋の床面積の1/2以上に相当する部分が専ら居住の用に供されること
- 増改築等に係る契約を平成33年12月31日までに締結していること
- 増改築等工事に要したが100万円以上であること
- 居住用部分の工事費が全体の工事費の1/2以上であること
- 増改築等に係る工事が、一定の工事に該当することにつき証明がなされたものであること
3 住宅取得等資金の非課税制度を利用するための手続き
住宅取得等資金の非課税制度の適用を受けるためには、贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日までの間に、住宅取得等資金の非課税制度の適用を受ける旨を記載した贈与税の申告書を提出する必要があります。贈与税がかからない場合でも、申告期限内に贈与税の申告をする必要があります。
次の書類を添付して申告します。
- 住宅取得等資金の非課税の計算明細書
- 受贈者の戸籍謄本(受贈者の氏名、生年月日、贈与者が受贈者の直系尊属に該当することがわかるもの)
- 受贈者の住民票の写し
- 新築等した住宅用家屋の登記事項証明書
- 新築や取得等の契約書など一定の書類
詳しくは国税庁HPをご参照ください。
4 「住宅取得等資金の非課税制度」と「相続時精算課税制度」のどちらを利用すべきか
住宅購入資金として贈与を検討する際には、まずは「住宅取得等資金の非課税」を検討します。
住宅取得等資金の非課税枠は、取得した時期や良質な住宅用家屋であるかによって大きく変わります。
それでも足りなくて贈与を受けたい場合には、「基礎控除110万円」か「相続時精算課税2,500万円」を利用します。あくまでも「相続時精算課税」は将来の貰える相続分の前借りです。
マンションなど不動産自体の贈与については相続時精算課税制度を利用する必要があります。
■まとめ
いかがでしたか?
不動産の税金の基礎となる「親から資金援助してもらうときのお得な制度」についての説明でした。
不動産を共有名義にして共有持分を持つことのメリットは、税制上の恩恵しかありません。それも共有者、例えば夫婦それぞれが今後も安定して収入があり仕事も続けるという前提でのメリットです。逆にあなたが共有名義にしなければならない場合、デメリットの部分を共有名義のリスクとしてよく理解しておきましょう。
物件の仲介を行うためには、用語の意味をきちんと理解し、売主・買主に適切に把握してもらう必要があります。
物件の売買を実施・仲介するにあたっては、宅地建物取引士として重要な要素となってきます。
調査した結果、売買の対象となるについては、十分に説明し理解のうえ、契約を行う必要があります。
少しでも疑問がある場合は、事前に十分に確認しチェックをしておきましょう。
不動産の取引・設計や投資の際には、買主や施主の要望を十分に理解して、リスクを回避するためにも理解をしておく必要がありますね。