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不動産を売買する上で、その物件の情報を早い段階で調査しておく必要があります。
そのような日々の業務の中で使用される専門用語など理解するのは重要です。なんとなくの独自の理解で納得していませんか?
不動産の税金で「10年超所有軽減税率の特例」ついて理解しておくことは重要です。ここでは、その内容と考え方についてわかりやすく記事にしています。
不動産の税金において土地利用の内容を説明する際には正しい根拠を正確に売主・買主に伝える必要があります。
建築士試験、重要事項説明などにおいて必須の知識となりますので、こちらの記事が参考になれば嬉しいです。
それでは、わかりやすくポイントを絞って解説します。
不動産を売却して利益が出た場合は、譲渡所得に対してかかる税金(所得税・住民税)、いわゆる譲渡所得税を納める必要があります。
譲渡所得税を簡単にいうと次のような税金になります。
売却して利益が出たかどうかは、売却価格から購入価格を差し引いて計算します。このとき、税金が安くなる「マイホームを売ったときの5つの特例」という制度があります。
マイホームを売ったときの5つの特例とは、簡単にいうと居住用の不動産を売却したときに税金の優遇を受けることができる次の制度のことです。
- 3000万円特別控除
- 10年超所有軽減税率の特例
- 特定居住用財産の買換え特例
- 居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除
- 特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除
ここでは、その中の「10年超所有軽減税率の特例」とはなにかわかりやすく説明します。
1 10年超所有軽減税率の特例とは
10年超所有軽減税率の特例とは、居住用の不動産を譲渡(売却)した場合、その不動産を10年超所有していたのであれば譲渡所得の税金(所得税・住民税)の税率が低くなる特例です。
■譲渡所得の金額が6,000万円以下の部分
所得税 10.21%
住民税 4%
合計 14.21%
■6,000万円超の部分
所得税 15.315%
住民税 5%
合計 20.315%
※上記税率には、復興特別所得税(2013~2037年)として所得税の2.1%相当が上乗せされています。
譲渡所得税を支払わなければならない人にとっては大きなメリットとなる制度です。
譲渡所得税がかかる金額(課税譲渡所得)の計算方法は次の通りです。
■課税譲渡所得の計算方法
課税譲渡所得 = 譲渡所得 − 特別控除
「10年超所有軽減税率の特例」を理解するためには「譲渡所得」についてしっかりと理解する必要があります。
この特例を受けるためには、税務署に確定申告が必要です。その際に、「譲渡所得の内訳書」と「売却した自宅の所在地の住民票(除票)の写し(売却した日から2ヶ月経過後に交付を受けたもの)」を準備します。
条件として、まず居住用の不動産でなければなりません。
そして、売却した年の1月1日において、所有期間10年を超える自宅の売却が条件です。その不動産に住まなくなった場合でも、その日から3年目の年末(12月31日)までに売れば特例の適用が認められます。
住んでいたもしくは住まなくなった家屋(建物)を取り壊した土地については、次の条件にあてはまる必要があります。
- 家屋が取り壊された日の年の1月1日おいて所有期間が10年を超えていること
- 売買契約が、家屋を取り壊した日から1年以内に締結され、かつ、住まなくなった日から3年を経過する年の12月31日までに売却すること
- 家屋を取り壊してから売買契約を締結した日まで、貸駐車場などその他の用に供していないこと
10年超所有軽減税率の特例は前年、前々年にこの特例を受けていないことが条件です。他のマイホームを売ったときの特例も受けていないことが条件です。
ただし、3000万円特別控除とは併せて適用することができます。
その他、親子間や夫婦間など特別な関係にある人と不動産を売買した場合には適用することはできません。また、この特例を受けることだけを目的として入居することや、別荘や一時的な目的のために仮住まいしたとしても、居住用としては認められないため適用できません。
また、次のような特例と重複して適用することも不可能です。
・固定資産の交換の特例
・収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例
・交換処分に伴い資産を取得した場合の特例
・換地処分等に伴い資産を取得した場合の特例
・特定事業用資産の買換え及び交換の特例
・大規模住宅地造成事業の施工区域内にある土地等の造成のための交換特例
・認定事業用地適正化計画の事業用地の区域内の土地等交換の特例
・承継業務の事業計画の施行区域内にある土地等の交換の特例
・特定普通財産とその隣接する土地等の交換の特例
・優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例
・特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例
・特定の居住用財産を交換した場合の長期譲渡所得の課税の特例
・既成市街地内等にある土地等の中高層耐火建築物等の建築のための買換え・交換の特例
その他、特殊な要件などについては国税庁のHPを参照してください。
■まとめ
10年超所有軽減税率の特例をまとめると次のようになります。
【適用条件】
- 現在主として住んでいる自宅を売却した時
- 居住の用に供さなくなった日から3年を経過する日の属する年の年末までに売却したとき
- 家屋を取壊した場合は、上記②の範囲内で、家屋を取壊した日から1年以内にその敷地の売却に関する契約が締結されているとき(取壊し後、敷地を賃貸その他の用に供した場合には不可)
- 転勤等で単身赴任の場合、配偶者等が居住している家屋を売却したとき(ただし、2つの家屋を所有する場合は、主たる居住用家屋)
- 共有の居住用財産を譲渡した場合、共有者の持分の範囲内において各人毎に適用
- 住宅ローン控除との重複適用は不可
- 譲渡する相手が、譲渡者の配偶者や親・子など直系血族、生計を一にする親族、同族会社等でないこと
【その他】
所有期間が10年を超えるものについては税率が軽減される。この特例は3,000万円特別控除の特例と併せて適用ができる。特定居住用財産の買換え特例との重複適用はできない
【所有期間】
譲渡した年の1月1日で、家屋と土地の所有期間がともに10年超
【居住期間】
制限なし
【適用の制限】
前年、前々年にこの特例を受けていないこと
いかがでしたか?
不動産の税金の基礎となる「10年超所有軽減税率の特例」についての説明でした。
不動産を共有名義にして共有持分を持つことのメリットは、税制上の恩恵しかありません。それも共有者、例えば夫婦それぞれが今後も安定して収入があり仕事も続けるという前提でのメリットです。逆にあなたが共有名義にしなければならない場合、デメリットの部分を共有名義のリスクとしてよく理解しておきましょう。
物件の仲介を行うためには、用語の意味をきちんと理解し、売主・買主に適切に把握してもらう必要があります。
物件の売買を実施・仲介するにあたっては、宅地建物取引士として重要な要素となってきます。
調査した結果、売買の対象となるについては、十分に説明し理解のうえ、契約を行う必要があります。
少しでも疑問がある場合は、事前に十分に確認しチェックをしておきましょう。
不動産の取引・設計や投資の際には、買主や施主の要望を十分に理解して、リスクを回避するためにも理解をしておく必要がありますね。