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不動産を売買する上で、その物件の情報を早い段階で調査しておく必要があります。
日々の業務の中で使用される専門用語など理解するのは重要です。なんとなくの独自の理解で納得していませんか?
不動産の投資における「信託登記・信託受益権」について理解しておくことは重要です。ここでは、その内容と考え方についてわかりやすく記事にしています。
不動産の売買において土地利用の内容を説明する際には正しい根拠を正確に売主・買主に伝える必要があります。
建築士試験、重要事項説明などにおいて必須の知識となりますので、こちらの記事が参考になれば嬉しいです。
それでは、わかりやすくポイントを絞って解説します。
1 信託とは
信託とは、委託者が受託者に財産を預け、所有権も受託者に移して、財産を一定の目的のために管理・処分してもらうことです。
受託者は、所有権があるとはいえ自由にできず、自己の利益でなく、信託目的に従って、信託不動産の管理・処分を実施します。
信託には、委託者・受託者のほかに、信託による利益を受ける権利(受益権)を持つ受益者が出てくる場合もあります。
受益者の指定がない場合は、委託者が受益者となります。
投資信託の場合、委託者である運用会社が、受託者である信託銀行に運用指図をします。投資信託を購入して保有する投資家は、受益者として受益権を持つため配当を受け取るわけです。
不動産信託の場合も、委託者である不動産所有者が、受託者である信託銀行などに、物件の購入や売却、保有不動産のテナントの募集や契約、賃料収入の回収や管理などを指示します。信託銀行自体が不動産の管理運用を行うことはほとんどなく、通常不動産管理会社を選定して任せます。
この収益から、信託銀行などの受託者に信託報酬を渡し、そこから税金や管理費などの必要経費を差し引いたお金を受益者に分配します。この「資産から発生する経済的利益を受け取る権利」を「信託受益権」といいます。
不動産に関して、信託に関する登記は、「所有権移転登記」と「信託登記」の2つから構成され、信託を原因とする所有権移転登記をしたあとで、信託登記を行います。
(信託登記の例)
所有権は、受託者に移ります。
信託の具体的内容は、信託目録という書面を別に作成します。登記は、目録の番号だけになります。
(信託目録の例)
信託目録の登記に、委託者と受託者、受益者が誰なのか記載されます。
2 信託受益権売買とは
信託受益権売買として次の4つがあります。
- 既に設定されている信託受益権を売却し、買主も信託を継続
- 既に設定されている信託受益権を売却し、信託受益権の移転と同時に買主は信託契約を解除
- 実物の不動産を売却(決済)前に売主が信託し、その信託受益権を買主に売却
- 信託契約を解除し、受益者もしくは受託者が売主となって実物の不動産を売却(普通の不動産売買契約)
信託受益権は金融商品として扱われるため、その売買にあたっては、実物の不動産売買と異なり「金融商品の販売等に関する法律」に基づく重要事項の説明、「金融商品取引法」に基づく信託受益権の内容の説明および書面の交付が必要になります。
信託受益権売買と実物の不動産売買の違いは次のとおりです。
■信託受益権売買の場合
商品の特性 :金融商品(みなし有価証券)
関係する法律:金融商品取引法
免許:第2種金融商品取引業
不動産取得税:かからない
登録免許税:かかる
印紙税:かかる
■実物の不動産売買の場合
商品の特性:不動産
関係する法律:金融商品の販売等に関する法律など他 宅地建物取引業法など他
免許:宅地建物取引業
不動産取得税:かかる
登録免許税:かかる
印紙税:かかる
信託受益権売買するメリットして大きくあげられるのは、税金です。
信託受益権売買であれば、不動産取得税かからず、登録免許税や印紙税も相当安くなります。
逆にデメリットは、受託者に信託報酬を払わなければなければらりません。
また、信託受益権の売買は受託者の事前承諾が必要です。さらに、信託契約には期間が設けられており、その期間中、受益者からの解除は原則としてできません。
3 信託受益権の解除
信託受益権を現物に戻す(信託を解除する)場合には、通常通りの不動産取得税、登録免許税、印紙税がかかります。つまり税金は、免除されているわけではなく繰り延べなのです。
そのため、信託受益権売買は、中長期で売却することを前提に、税金などの取得費用を抑えることによってインカムゲイン(利回り)を重視する売買で選択されることが多くなっています。
■まとめ
いかがでしたか?
不動産の登記や登記で基礎となる「信託登記・信託受益権」についての説明でした。
物件の仲介を行うためには、用語の意味をきちんと理解し、売主・買主に適切に把握してもらう必要があります。
物件の売買を実施・仲介するにあたっては、宅地建物取引士として重要な要素となってきます。
調査した結果、売買の対象となるについては、十分に説明し理解のうえ、契約を行う必要があります。
少しでも疑問がある場合は、事前に十分に確認しチェックをしておきましょう。
不動産の取引・設計や投資の際には、買主や施主の要望を十分に理解して、リスクを回避するためにも理解をしておく必要がありますね。