今日は、都市計画関係に携わる場合によく聞く「都市施設」について解説していきます。
こんにちは、OSSANです。
で都市施設って何?と聞くと意外と説明できない人が多いんです。
ここでは、都市施設について説明していきます。
■都市施設とは
都市施設は円滑な都市活動を支え、市民の利便性の向上や良好な都市環境を確保する上で必要な施設のことです。
都市施設には交通施設(都市計画道路、都市高速鉄道)、供給処理施設(上下水道、ガスなど)、水路、教育文化施設、官公庁施設などがあります。
都市施設が都市計画で決定されたものを都市計画施設といいます。
また、都市計画施設予定地内に建築物を建築する場合には建築制限がかかります。
(都市計画法53条)
その中でも特に注意の必要な都市計画道路については、別途説明しています。
1.都市施設の種類
都市計画法では、都市施設として、次の11種類の施設を定めている(都市計画法第11条1項)。
1)道路、都市高速鉄道、駐車場、自動車ターミナルその他の交通施設
2)公園、緑地、広場、墓園その他の公共空地
3)水道、電気供給施設、ガス供給施設、下水道、汚物処理場、ごみ焼却場その他の供給施設または処理施設
4)河川、運河その他の水路
5)学校、図書館、研究施設その他の教育文化施設
7)市場、と畜場または火葬場
8)一団地(50戸以上)の住宅施設
9)一団地の官公庁施設
10)流通業務団地
11)電気通信事業用の施設その他(施行令第5条)
2.都市施設を定める基準
都市施設を都市計画で決定する際には、次の基準が設けられている。
- 市街化区域、区域区分が定められていない都市計画区域(いわゆる非線引き区域)では、必ず、道路、公園、下水道を定めなければならない(都市計画法第13条第1項第11号)。
- 住居系の用途地域内では、必ず義務教育施設を定めなければならない(都市計画法第13条第1項第11号)。
- 都市施設は原則として都市計画区域内で定めるが、特に必要があるときは、都市計画区域の外で定めることもできる(都市計画法第11条第1項)。
3.都市施設を定める主体
都市施設を都市計画として決定する主体は、原則として「市町村」である。ただし、広域的見地から決定すべき都市施設、根幹的都市施設については「都道府県」が決定主体となる。
具体的には、国道、都道府県道、4車線以上の道路、流域下水道、産業廃棄物処理施設等は「都道府県」が決定する(都市計画法第15条第1項第5号、同施行令第9条第2項)。
4.建築の制限
都市計画として決定された都市施設(これを「都市計画施設」という)の区域では、都市施設を実際に整備する事業が進行するので、その整備の事業の妨げになるような建物の建築は厳しく制限される。
5.施行予定者を定めるとき
「一団地の住宅施設(ただし面積が20ha以上のものに限る)」、「一団地の官公庁施設」、「流通業務団地」については、都市施設に関する都市計画で「施行予定者」を定めることが可能である(都市計画法第11条第5項)。
都市施設に「施行予定者」を定めた場合には、原則として2年以内に都市計画事業の認可を申請しなければならない(都市計画法第60条の2)。
また、いったん施行予定者を定めた以上は、施行予定者を定めないものへと計画を変更することは許されない(都市計画法第11条第6項)。
■都市施設を都市計画に定める意義
都市計画には,その基本的性格ともいえるいくつかの特徴があります。
第1に,都市計画には,都市のプランを実現するための技術体系と社会的な合意を得るための民主性の両者が求められています。
第2に,都市計画は,計画の基本的考え方として,都市としての一体性,全体性が求められています。
第3に,都市計画は,公共の福祉を向上するものであることから,私権との間の優先性について何らかの形での整合性が求められます。
第4に,都市に関わる様々な主体が,お互いに協力し合うこと(パートナーシップ)で,都市計画の水準を上昇させていくことが必要です。
この中で,特に都市施設は,安全で快適な都市生活や円滑な都市活動を支え,良好な都市環境を保持するとともに,都市の骨格を形成し市街地を性格付ける役割を持っています。
■都市施設の概要
都市施設は都市整備を進める上で最も重要な基盤施設であって,その主要なものは都市計画に定めます。このとき,都市施設を都市計画に定める意義としては,都市計画の基本的性格に照らせば以下のとおりです。
(ア) 必要な施設整備の区域や内容を示す
都市計画の理念に基づいて,都市の将来像を実現するのに必要な施設整備の区域や内容を示すことにあります。道路,鉄道,公園,下水道などの都市施設を整備する区域や内容(配置・規模・構造など)を明示することにより,長期的視点に立って計画的かつ着実に都市整備目標の実現を図ります。
(イ) 都市計画としての総合性・一体性を確保する
土地利用や他の都市施設の計画と整合し,都市計画としての総合性・一体性を確保することにあります。都市計画は目標の実現に向けて必要と考えられるすべての事項に配慮して策定します
都市施設も土地利用規制・誘導や他の都市施設の計画と整合させることにより,バランスのとれた計画内容として都市全体で一体的かつ総合的効果が発揮できるよう計画します。
(ウ) 都市計画区域内で行われる建築行為などを制限する
長期的視点に立って都市施設を整備するため,都市計画区域内で行われる建築行為などを制限することにあります(都市計画制限)。都市計画区域内で建築行為などが行われると将来の事業に大きな障害となるおそれがあり,このため計画が実施されるまでの間,事業の遂行に支障をきたす各種の行為を制限します。区域内での建築行為などは許可制とし,制限に対する救済措置として土地の買い取り請求が認められています。
(エ) 住民との合意形成を図る
住民との合意形成を図ることにあります。都市にとって必要な施設の配置・規模などの計画内容に関する情報を広く住民に提示するとともに,行政手続きの透明化を通して住民の理解と協力を得て円滑な合意形成を図ります。
■まとめ
都市施設は、市民の利便性の向上や良好な都市環境を確保する上で必要な道路や公園などの施設を都市計画で決定するもの。
決定には、範囲や区域をなどを示し、合意形成のための必要な手続きをとります。
決定後には、建築の制限などが課されます。
不動産や設計に携わる人は、調査の段階で確認しておく必要がありますね。
そうしないとクライアントに迷惑をかけることになります。