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不動産を取り扱う上で、土地利用に関する国の方針を知っておく必要があります。都市計画コンサルや将来の国土利用はどうなるのか気になる方、不動産投資に興味がある方はぜひ一読してみてください。
そのような日々の業務の中で使用される専門用語など理解するのは重要です。なんとなくの独自の理解で納得していませんか?

そのような中で、国土形成計画と国土利用計画の違いについて理解しておくことは重要です。ここでは、その内容と考え方についてわかりやすく記事にしています。
この計画の両者の違いは、”利用”と”形成”で、一見して中身も同じようですが、成立過程等が異なり担う役割も違います。
1 違いを簡潔にまとめると
国土形成計画は総合的な国土の利用、整備、保全を目的とするのに対し、国土利用計画は土地利用に特化した計画です。
また、国土形成計画は広範な分野(防災、産業配置、インフラなど)を含むのに対し、国土利用計画は土地利用の規模・地域別の目標設定に焦点があてられています。
結論として、
●国土形成計画は広範な視点からの国土の利用・整備等の考えを示し、
●国土利用計画は特に国土の土地利用(規制等を含む)に関する具体的な計画に焦点
を当てている。
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法律 |
国土利用計画法 |
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法の目的 |
・国土の利用、整備及び保全の推進 |
・土地利用基本計画の作成 |
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制定経緯 |
・戦後の荒廃した国土の資源利用 |
・日本列島改造ブーム等による土地投機抑制 |
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策定計画 |
・全国計画(義務) |
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役割 |
【国土づくりの理念・将来ビジョン】 |
【国土利用の長期的な基本構想・行政計画の指針】 |
国土利用計画は、当時の急激な地価高騰による土地取引を抑えるための緊急措置的な方法として、政治と行政の妥協の結果で誕生したと言われています。
一方、国土形成計画(旧全国総合開発計画)は、より広範な国土の開発と保全を目的としており、それ自体が大規模な枠組みを有しています。
理念に関する部分は国土形成計画も国土利用計画も意味合いとしてはほぼ同じです。
違う部分は、制定経緯として当時の過熱する土地投機抑制という名目があったことで、国土利用計画法により具体的な土地規制措置(届出制度や許可制度)が設けられているといった具体的な措置くらいです。
また、国土利用計画法のもう一つの役割は都道府県が作成する「土地利用基本計画」にあり、都市計画法や農振法、自然公園法といった個別法の土地利用についての措置も設けられています。
国土利用計画法第10条(土地利用の規制に関する措置等)
土地利用基本計画に即して適正かつ合理的な土地利用が図られるよう、関係行政機関の長及び関係地方公共団体は、この法律に定めるものを除くほか、別に法律で定めるところにより、公害の防止、自然環境及び農林地の保全、歴史的風土の保存、治山、治水等に配意しつつ、土地利用の規制に関する措置その他の措置を講ずるものとする。
現行計画は2023年7月に閣議決定された「第三次国土形成計画」と「第六次国土利用計画」となります。
いずれの計画も同一時期に策定されています。
理由は、国土形成計画法第6条第7項にて「全国計画は、国土利用計画法第4条の全国の区域について定める国土の利用に関する計画と一体のものとして定めなければならない。」と定められているからです。

こちらの資料は、国土形成計画法と国土利用計画法との関係図です。
2 国土形成計画法(旧国総法)

国土形成計画法は2007年に改題される前には「国土総合開発法」と呼ばれていました。
大東亜戦争後の荒廃していたい日本国土を総合的、計画的に保全、開発し、国土資源の積極的利用(開発)を行うための計画体系などをまとめている法律で、戦後の昭和25年に制定された法律です。
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全総計画 |
背景 |
目標 |
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1全総 |
1962 |
・高度成長経済への移行 |
地域間の均衡ある発展 |
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2全総 |
1969 |
・高度成長経済 |
豊かな環境の創造 |
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3全総 |
1977 |
・安定成長経済 |
人間居住の総合的環境の整備 |
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4全総 |
1987 |
・人口、諸機能の東京一極集中 |
多極分散型国土の構築 |
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5全総 |
1987 |
・地球環境問題、国際競走、アジア諸国 |
多軸型国土構造形成の基礎づくり |
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1形成 |
2008 |
・人口減少・ 高齢化 |
多様な広域ブロックが自立的に発展する国土の構築/ |
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2形成 |
2015 |
・急激な人口減少・少子化、異次元の高齢化 |
対流促進型国土の形成 |
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3形成 |
2023 |
・地域の持続性、安全・安心を脅かすリスクの高まり |
新時代に地域力をつなぐ国土 |
現行計画での目標は 目指す国土の姿 「新時代に地域力をつなぐ国土 ~列島を支える新たな地域マネジメントの構築~」 としており、国土の刷新に向けた重点テーマとして、次の5つを掲げているのが特徴です。
- デジタルとリアルが融合した地域生活圏の形成
- 持続可能な産業への構造転換
- グリーン国土の創造
- 人口減少下の国土利用・管理
- 国土基盤の高質化
- 地域を支える人材の確保・育成
3 国土利用計画法

国土利用計画法は、国土形成計画法の約20年後に制定されました。
時代背景として、1970年代初頭の日本における地価高騰や投機的な土地取引の増加があります。
また、環境問題や公害問題の深刻化(四日市公害など)もあり、計画的な土地利用と環境保全の必要性が高まっていたという社会背景があります。
さらに、田中角栄首相の「日本列島改造論」による全国的な開発計画が進められたことも影響し、土地投機に拍車がかかっており、具体的な措置を含む法規制により過熱する土地取引をコントロールしたい行政側の意図がありました。
昭和40年代といえば、都市計画法に基づく開発行為制度が制定された前後の時期であり、安全・技術基準に基づかない郊外の住宅団地が大量に造成されていた時期でもあります。
また、国土利用計画法には具体的な措置として、大規模な土地の土地引きについての規制措置(届出制度)を設けている点は、国土形成計画法とは異なる点です。
4 最後に
いかがでしたか?ということで以上となります。
物件の仲介を行うためには、用語の意味をきちんと理解し、売主・買主に適切に把握してもらう必要があります。
物件の売買を実施・仲介するにあたっては、宅地建物取引士として重要な要素となってきます。
調査した結果、売買の対象となるについては、十分に説明し理解のうえ、契約を行う必要があります。
少しでも疑問がある場合は、事前に十分に確認しチェックをしておきましょう。
不動産の取引・設計や投資の際には、買主や施主の要望を十分に理解して、リスクを回避するためにも理解をしておく必要がありますね
ということで以上となります。こちらの業務の記事が参考となりましたら幸いです。

