【用途上不可分・可分】大学・事務所・工場等に併設する寄宿舎や寮の取り扱い
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不動産を売買する上で、その物件の情報を早い段階で調査しておく必要があります。
そのような日々の業務の中で使用される専門用語など理解するのは重要です。なんとなくの独自の理解で納得していませんか?



不動産で「用途上不可分・可分の考え方」について理解しておくことは重要です。ここでは、その内容と考え方についてわかりやすく記事にしています。
この記事では、大学や事務所、工場などに併設する寄宿舎や寮が用途不可分に該当するのかどうかを行っています。
不動産の調査において土地利用の内容を説明する際には正しい根拠を正確に売主・買主に伝える必要があります。
建築士試験、重要事項説明などにおいて必須の知識となりますので、こちらの記事が参考になれば嬉しいです。
- 1 原則として可分(=分割または分筆)
- 2 工場では休憩施設・研修施設を附属施設とみることが可能(用途上不可分)
- 3 工業専用地域では寄宿舎は建築禁止
- 4 工業地域では、旅館業法が適用される施設は建築不可
- 5 最後に
1 原則として可分(=分割または分筆)
用途上不可分に該当するかどうかは、それぞれの建物が独立した機能を有しないこと、加えて、それぞれ独立した機能のみでは建物用途として機能が充足していない場合です。
例えば、工場であれば、工場棟(生産施設部分)や管理棟(事務施設部分)、機械・電気室、守衛室、駐車場のような関係は用途上不可分の関係といいます。それぞれ単体のみでは「工場」として生産機能を有しませんが、建物群となることで工場として機能を発揮します。
また、大学の用途においても同様で、大学の用途には、図書館や講堂、食堂、それぞれの学部の棟など複数の建物に分けられていることが一般的ですが、これらはそれぞれ独立していても大学として用途が発揮できませんが、建築群となれば大学用途となります。
住宅でいえば、住宅と車庫、倉庫のような関係性となります。
そこで、「寄宿舎」や「寮」などの住宅は工場や大学に附属する施設として扱えるのかどうかですが、寄宿舎や寮がないと工場や大学として機能しないかという点で見ると、そのようなことはありません。
「用途上可分」といえます。
特定行政庁によって判断は異なりますが、基本的な考え方としては、寄宿舎や寮は大学や工場の附属施設として「用途上不可分」とみなすことはできないです。
よって、工場や大学に寄宿舎を併設する場合は可分となるため、敷地を別ける必要があります。
学校と学童の関係についても、それぞれ独立した機能を有しており、学校が無くても学童保育所はその機能を成立するため同様です。
2 工場では休憩施設・研修施設を附属施設とみることが可能(用途上不可分)
寄宿舎や寮に近い施設として、休憩施設や研修施設、仮眠施設などがありますが、物流施設や工場などの場合には、こうした附属施設を敷地内に併設することが多くあります。
これらの中には、法律に基づいて休憩・仮眠施設を設けなければならない場合もあり、そうした場合には附属施設とすることが可能です。
一方、研修施設の場合には特定多数(社員限定)のためのものであれば事務所(管理棟)としてみなせば工場の附属施設とできますが、不特定多数を受け入れるような研修施設や見学施設の場合には、機能が独立していると判断することもできるため工場の附属施設としてはみなせない可能性があります。
最終的な判断は各特定行政庁となります。
3 工業専用地域では寄宿舎は建築禁止
工業専用地域では、工業利便を確保するために住宅系の用途の建築が禁止されています。
用途地域上、寄宿舎や寮、共同住宅などは建築することができないため、用途上可分・不可分以前の問題として建築を行うことができません。
4 工業地域では、旅館業法が適用される施設は建築不可
寄宿舎や寮は住宅系用途の建築物ですが、一部で宿泊料を徴収して食事や宿泊を提供する場合には旅館業法が適用されます。
旅館業法が適用されることで、ホテルや旅館、簡易宿所として扱われることとなります。
工業地域では旅館業法が適用される施設は建築することができませんので、用途上不可分であっても建築することができません。
5 最後に
いかがでしたか?
不動産調査の「用途上不可分の考え方」についての説明でした。
物件の仲介を行うためには、用語の意味をきちんと理解し、売主・買主に適切に把握してもらう必要があります。
物件の売買を実施・仲介するにあたっては、宅地建物取引士として重要な要素となってきます。
調査した結果、売買の対象となるについては、十分に説明し理解のうえ、契約を行う必要があります。
少しでも疑問がある場合は、事前に十分に確認しチェックをしておきましょう。
不動産の取引・設計や投資の際には、買主や施主の要望を十分に理解して、リスクを回避するためにも理解をしておく必要がありますね
ということで以上となります。こちらの業務の記事が参考となりましたら幸いです。
