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【重要事項説明】土壌汚染対策法第9条、第12条第1項(要措置区域内、形質変更時要届出区域)|制度の概要と課題!?重要事項との関係、対象の地域とその理由!しっかり理解してがっちり土地利用。宅建・土地取引・投資のノウハウ!!

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土壌汚染対策法は、特定有害物質による土壌汚染の状況を把握し、土壌汚染による人への健康被害の防止するために土壌汚染対策を行うことを目的として2003(平成15)年に定められました。土対法とも略されます。
売買の対象となる不動産が、要措置区域内・形質変更時要届出区域内に該当する場合には、重要事項説明が必要です。

 
なんとなくわかっているようで、詳しく説明しようとすると理解できていないものです。
これらを詳細に理解するには、経験と知識が必要です。
しかしながら、どのような規定があるのか概要を理解しておけば、そのような物件に巡り合ったときに気づきが生まれます。
これが重要なのです。
内容を理解しておかないと、買主からの「ここで家が建てれるの!用途や大きさの建築はできるの?」との質問に正確に答えることができません。
この記事では、不動産取引における重要事項説明のうち「土壌汚染対策法」について解説しています。
不動産取引や建築設計において都市計画や建築基準法などの制限を説明する際には正しい根拠とその内容を正確に買主に伝える必要があります。
建築士試験、重要事項説明などにおいて必須の知識となりますので、こちらの記事が参考になれば嬉しいです。
それでは、わかりやすくポイントを絞って解説します。

 

 

 

1 その他法令に基づく重要事項説明事項とは?

法令としては、宅建業法第35条第1項第2号の部分となります。

宅建業法第35条(重要事項の説明等)第1項第二号(抜粋)]
宅地建物取引業者は、宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の相手方若しくは代理を依頼した者又は宅地建物取引業者が行う媒介に係る売買、交換若しくは貸借の各当事者に対して、その者が取得し、又は借りようとしている宅地又は建物に関し、その売買、交換又は貸借の契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面(第五号において図面を必要とするときは、図面)を交付して説明をさせなければならない。

二 都市計画法建築基準法その他の法令に基づく制限で契約内容の別(当該契約の目的物が宅地であるか又は建物であるかの別及び当該契約が売買若しくは交換の契約であるか又は貸借の契約であるかの別をいう。)に応じて政令で定めるものに関する事項の概要

次に政令ですが、宅建業法施行令第3条となります。次の項では、この第3条について詳しく説明します。

都市計画法建築基準法制限一覧は、こちらの記事で解説しています。

ossan358.hatenablog.com

 

■ 都市計画法建築基準法以外のその他の法令に基づく制限

施行令第3条ですが、第1項が「宅地又は建物の貸借の契約以外の契約(売買)」について、第2項が「宅地の貸借の契約」について、第3項が「建物の貸借の契約」について規定されています。
大半が対象外となりますが、この内容を覚えておくことで、少しは重要事項説明漏れを防ぐことができると考えられます。
それでは、この記事ではその他の法令に基づく制限のうち『土壌汚染対策法』について解説していきます。

 

 

 

2 土壌汚染対策法とは

土壌汚染対策法は、特定有害物質による土壌汚染の状況を把握し、土壌汚染による人への健康被害の防止するために土壌汚染対策を行うことを目的として2003(平成15)年に定められました。土対法とも略されます。
具体的には土壌汚染の可能性の高い土地の所有者らに対して土壌汚染状況調査を義務づけています。
土壌汚染とは、法律で規定する一定基準値以上の有害物質が地表または地中に存在するため、それを除去しなくては土地の利用が妨げられる状態をいいます。
特定有害物質を製造・使用・排出する工場が取り壊されるなど、廃止する場合には、環境大臣指定の調査機関による土壌汚染調査を行い、都道府県知事へ報告されます。
特定有害物質とは、鉛・砒素(ヒ素)・トリクロロエチレンその他の物質(放射性物質を除く)で政令で定めるものをいいます。
土壌汚染の調査は、すべての土地で必要なわけではなく、汚染の可能性が高い土地について行われます。
おおまかに調査が行われるパターンとして次の4つがあります。

 

  1. 有害物質使用特定施設(以前に有害物質を扱っていた施設)の敷地として使用されていた土地:土地所有者等に、汚染の有無を調査し、その結果を都道府県知事に報告することを義務づけます。
  2. 3,000㎡以上の土地の形質変更で、土壌汚染のおそれがある土地:30日前までに届出が必要で、都道府県知事は、形質変更により土壌汚染のおそれがあると判断した場合は、汚染の有無の調査を命じることができます。
  3. 土壌汚染により健康被害が生ずる可能性が高い土地:都道府県知事は、土地所有者等に対して、汚染の有無の調査を命じることができます。
  4.  自主的調査:法律が定める調査対象に該当しなくても、自主的に調査を行うことがあります。自主的調査により土壌汚染が判明したとき、後述する規制対象区域の指定を申請できますが、申請はあくまでも任意であり、義務ではありません。

 

特に危険物取扱工場やガソリンスタンド跡の土地を取引する場合、この法律に関わってくる可能性があるため、十分な調査が必要になります。
この記事で解説する『土壌汚染対策法』は、不動産取引における重要事項説明事項(その他の法令上の制限)の対象となっており、調査した上で、当該該当する場合は買主に対し説明する法令となっています。宅建業法施行令第3条第1項第32号に規定されています。

 

ポイントは次の2つの用語です。これの区域に該当する場合は重要事項説明が必要となります。

■要措置区域
■形質変更時要届出区域

なお、説明しなければならないとする土壌汚染対策法の条項としては、次の3つです。

■土壌汚染対策法第9条:要措置区域内における土地の形質の変更の原則禁止
■土壌汚染対策法第12条第1項:形質変更時要届出区域内における土地の形質の変更の届出(14日前)
■土壌汚染対策法第12条第3項:非常災害のために必要な応急措置として土地の形質の変更に係る届出(14日以内)

 

 

 

3 要措置区域とは

【土壌汚染対策法第9条(要措置区域内における土地の形質の変更の禁止)】
要措置区域内においては、何人も、土地の形質の変更をしてはならない。ただし、次に掲げる行為については、この限りでない。
一 第7条第1項の規定により都道府県知事から指示を受けた者が汚染除去等計画に基づく実施措置として行う行為
二 通常の管理行為、軽易な行為その他の行為であって、環境省令※で定めるもの
三 非常災害のために必要な応急措置として行う行為
※土壌汚染対策法施行規則第43条

汚染の摂取経路(有害物質が人の体内に取り込まれるまでの経路)があり、健康被害が生ずるおそれがあるため、汚染の除去等の措置が必要な区域です。

具体的には、省令と政令で定められておりますが、環境省のホームページにより指定されているかどうか確認することが可能です。

▶️要措置区域一覧表(環境省)*外部リンク

 

この要措置区域として都道府県知事から指定を受けた土地の所有者等は、都道府県知事の指示に係る汚染除去等計画を作成し、確認を受けた汚染除去等計画に従った汚染の除去等の措置を実施し、報告を行うこととされています。また、重要事項説明の規定として、『土地の形質の変更が原則禁止(法第9条)』となります。
なお、例外規定として土壌汚染対策法施行規則第43条に掲げる行為に該当することがなければ、土地の形質の変更を行うことができます。

例外規定が設けられていますので、詳しくは施行規則の第43条を確認する必要があります。
要措置区域については、重要な区域となりますので、事前に役所に例外規定を確認しておく方が望ましいと思います。窓内連絡先一覧表は環境省が公表しています。
▶️土壌汚染対策法に関する問合せ窓口(環境省)*外部リンク

 

 

 

4 形質変更時要届出区域とは

【土壌汚染対策法第12条(抜粋)】
形質変更時要届出区域内において土地の形質の変更をしようとする者は、当該土地の形質の変更に着手する日の14日前までに、環境省令で定めるところにより、当該土地の形質の変更の種類、場所、施行方法及び着手予定日その他環境省令で定める事項を都道府県知事に届け出なければならない。ただし、次に掲げる行為については、この限りでない。
一 土地の形質の変更の施行及び管理に関する方針(環境省令で定めるところにより、環境省令で定める基準に適合する旨の都道府県知事の確認を受けたものに限る。)に基づく次のいずれにも該当する土地の形質の変更
イ 土地の土壌の特定有害物質による汚染が専ら自然又は専ら土地の造成に係る水面埋立てに用いられた土砂に由来するものとして環境省令で定める要件に該当する土地における土地の形質の変更
ロ 人の健康に係る被害が生ずるおそれがないものとして環境省令で定める要件に該当する土地の形質の変更
二 通常の管理行為、軽易な行為その他の行為であって、環境省令で定めるもの
三 形質変更時要届出区域が指定された際既に着手していた行為
四 非常災害のために必要な応急措置として行う行為
2 (略)
3 形質変更時要届出区域内において非常災害のために必要な応急措置として土地の形質の変更をした者は、当該土地の形質の変更をした日から起算して14日以内に、環境省令で定めるところにより、都道府県知事にその旨を届け出なければならない。

土壌汚染はあるものの、汚染の摂取経路(有害物質が人の体内に取り込まれるまでの経路)がなく、健康被害が生ずる恐れがないため、汚染の除去等の措置が不要な区域(摂取経路の遮断が行われた区域を含む)である場合に、都道府県知事が指定するものです。
土地の形質の変更をしようとする者は、 行為に着手する14日前までに都道府県知事に届出を行うこととされています(法第12条第1項)。

なお、例外規定が法第12条第1項各号に定められており、その中では非常災害に関して規定されていますが、法第12条第3項では、非常災害のために必要な応急措置として土地の形質の変更をした者は、当該土地の形質の変更をした日から起算して14日以内に届ける必要があるので注意が必要となります。

形質変更時要届出区域かどうは、環境省のホームページから確認することが可能です。
▶️形質変更時要届出区域一覧表(環境省)*外部リンク


 窓内連絡先一覧表は環境省が公表しています。
▶️土壌汚染対策法に関する問合せ窓口(環境省)*外部リンク

 

 

 

5 具体的な調査方法

実際、土壌汚染が発覚し、土壌改良工事が必要となると、莫大な費用がかかる可能性があります。
役所の環境部局に調査に行きましょう。

尋ねる項目の例は次の内容です。

 

■形質変更時要届出区域指定の有無について
この土地の周辺に土壌汚染のあったところはありませんでしたか?もし、周辺に区域指定された場所があれば届出簿を見せてください。

 

■形質変更時要届出区域に指定されていた場合

物件が形質変更時要届出区域に指定されていますが、将来的な土地の形質変更時の届出手続きについて教えてください。

 

■要措置区域に指定されていた場合

物件が要措置区域に指定されていますが、区域指定を解除するために必要な措置を具体的に教えてください。

 

土壌汚染に関して、規制対象区域(要措置区域・形質変更時要届出区域)かどうかを調査するのは最低限のことであり、区域外であっても、土壌汚染の可能性を調査する必要があります。特に建物がない更地も注意が必要です
規制対象区域外の土地でも、実際に建築しようとしたら土壌汚染が判明することがあります。

しかし、土壌汚染があるかどうかは、実際に調査してみなければわかりません。
とはいえ、土壌汚染の可能性があるかどうかぐらいは調査することができ、これを「土地の履歴調査」といいます。

土地の履歴調査は、過去の土地・建物登記簿(閉鎖事項証明書)や過去の住宅地図などにより、その土地が土壌汚染の可能性のある用途に利用されていたかどうかを過去にさかのぼって調査します。
調査対象となる物件が工場や作業所、クリーニング店などであった場合には調査する必要があり、土壌汚染の調査費用や除去費用は汚染原因の状況にもよりますが、原則土地所有者の負担となります。履歴調査で汚染が疑われる場合は、さらに詳細な調査を行います。
土壌汚染は与える影響が大きいため、土壌汚染法の規制対象外の土地についても、地方公共団体の条例で同様の規制を行うことがあるので、条例レベルの調査を行う必要があります。

 

 

■まとめ

いかがでしたか?
重要事項説明の一つである『土壌汚染対策法』についての説明でした。
土壌汚染に係る重要事項説明については、今回説明した両区域の有無に関わらず、過去に化学工場や危険物を扱っていた工場、薬品をつくった製造所、クリーニング工場などの場合には土壌が汚染されている可能性が高いため、売主からの情報を鵜呑みにせず、過去にどういった用途地域や使われ方をしていたのかなど詳細に調べて、可能な限りリスクを説明することが買主の安心と信頼に繋がります。
調査した結果、売買の対象となる不動産が、指定区域内に該当する場合には、制限の内容を調査するとともに、不動産の重要事項説明書の「土壌汚染対策法」の項目にチェックをつけて、制限内容を説明する必要があります。
このような物件に関しては、物件の仲介業者は購入希望者に対して、その物件がどの「用途地域」に属するかとあわせて、制限についても必ず伝える義務があります。
少しでも疑問がある場合は、事前に担当の部署に確認し法チェックをしておきましょう。
不動産の取引・設計や投資の際には、買主や施主の要望を十分に理解して、リスクを回避するためにも理解をしておく必要がありますね。