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【重要事項説明】土地収用法第28条(事業認可の告示区域)|制度の概要と課題!?重要事項との関係、対象の地域とその理由!しっかり理解してがっちり土地利用。宅建・土地取引・投資のノウハウ!!

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土地収用法は、公共の利益となる事業に必要な土地の収用または使用に関して、その要件や手続き、収用に伴う損失の補償などについて規定した法律で1951(昭和26)年に定められました。収用とは「(国家が公共の用にあてる目的などで)取り上げて使うこと」の意味です。売買の対象となる不動産が、事業認定後の起業地に該当する場合には、重要事項説明が必要です。


なんとなくわかっているようで、詳しく説明しようとすると理解できていないものです。
これらを詳細に理解するには、経験と知識が必要です。
しかしながら、どのような規定があるのか概要を理解しておけば、そのような物件に巡り合ったときに気づきが生まれます。
これが重要なのです。
内容を理解しておかないと、買主からの「ここで家が建てれるの!用途や大きさの建築はできるの?」との質問に正確に答えることができません。
この記事では、不動産取引における重要事項説明のうち土地収用法について解説しています。
不動産取引や建築設計において都市計画や建築基準法などの制限を説明する際には正しい根拠とその内容を正確に買主に伝える必要があります。
建築士試験、重要事項説明などにおいて必須の知識となりますので、こちらの記事が参考になれば嬉しいです。
それでは、わかりやすくポイントを絞って解説します。

 

 


1 その他法令に基づく重要事項説明事項とは?

 
法令としては、宅建業法第35条第1項第2号の部分となります。

宅建業法第35条(重要事項の説明等)第1項第二号(抜粋)]
宅地建物取引業者は、宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の相手方若しくは代理を依頼した者又は宅地建物取引業者が行う媒介に係る売買、交換若しくは貸借の各当事者に対して、その者が取得し、又は借りようとしている宅地又は建物に関し、その売買、交換又は貸借の契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面(第五号において図面を必要とするときは、図面)を交付して説明をさせなければならない。

二 都市計画法建築基準法その他の法令に基づく制限で契約内容の別(当該契約の目的物が宅地であるか又は建物であるかの別及び当該契約が売買若しくは交換の契約であるか又は貸借の契約であるかの別をいう。)に応じて政令で定めるものに関する事項の概要

 

次に政令ですが、宅建業法施行令第3条となります。次の項では、この第3条について詳しく説明します。

 

■ 都市計画法建築基準法以外のその他の法令に基づく制限

施行令第3条ですが、第1項が「宅地又は建物の貸借の契約以外の契約(売買)」について、第2項が「宅地の貸借の契約」について、第3項が「建物の貸借の契約」について規定されています。
大半が対象外となりますが、この内容を覚えておくことで、少しは重要事項説明漏れを防ぐことができると考えられます。
それでは、この記事ではその他の法令に基づく制限のうち『土地収用法』について解説していきます。

都市計画法建築基準法制限一覧は、こちらの記事で解説しています。

ossan358.hatenablog.com

 

 

 

2 土地収用法とは

土地収用法は、公共の利益となる事業に必要な土地の収用または使用に関して、その要件や手続き、収用に伴う損失の補償などについて規定した法律で1951(昭和26)年に定められました。
土地収用法は、公共事業などを行う際に必要となる土地を取得するための制度です。
道路や公園、そして河川・下水道・学校建設などの公共事業を行う場合には、広大な土地を取得して利用する必要があります。
しかし、その対象となる全ての土地をスムーズに取得できるわけではなく、先祖代々所有の土地などの理由で長引く場合も少なくありません。
また、補償金額などの金銭面で合意が得られない場合や、相続で土地の所有者が決まっておらず、所有権をめぐる争いをしている場合もあります。
このような事情があると土地取得の契約自体が結べなくなり、工事は行き詰まってしまいます。
土地収用制度は、契約を結ぶことが困難な場合に、事業者側が土地収用制度の手続きを取ることにより、その土地の所有者の了解がなくても強制的に土地の所有権を取得することができるというものです。

土地収用は、強制的に行うもののため、どんな事業でも許されるわけではなく、公共目的の事業(収用適格事業)に限られています。

 

こちらが土地収用法における制度の概要です。
 

 

事業者は、任意の契約が交渉によってまとまらないとき、都道府県に設置されている収用委員会に裁決の申請をしますが、その前段階として事業認定を受けます(事業認定手続)。
事業認定は、その事業について土地収用の必要があるかどうかを判断し、事業者に収用する権限を与える手続きです。
裁決の申請後、収用委員会は、審理を経て補償金額等を決定する裁決(収用裁決手続)を行い、事業者は裁決にもとづき土地を取得します。

 

 


3 重要事項説明:土地収用法

土地収用法に関する重要事項説明については、宅建業法施行令第3条第1項第27号に規定されています。

宅建業法施行令第3条第1項第27号
土地収用法第28条の3第1項(同法第138条第1項において準用する場合を含む。)

 

土地収用法第28条の3第1項とは、次のような規定です。

【起業地の制限行為】
土地収用法第28条の3第1項(土地の保全
第28条の3 第26条第1項(※1)の規定による事業の認定の告示があつた後においては、何人も、都道府県知事の許可を受けなければ、起業地について明らかに事業に支障を及ぼすような形質の変更をしてはならない。

事業の認定の告示があった後においては、都道府県知事の許可を受けなければ、起業地について明らかに事業に支障を及ぼすような形質の変更をしてはならないというものです。

※1:法第26条第1項とは、国土交通大臣又は都道府県知事が、第20条(※2)の規定により、(道路や河川といった公共工事に伴う土地の買収の)事業の認定をしたときに遅滞なく、その旨を起業者に文書で通知するとともに、起業者の名称、事業の種類、起業地、事業の認定をした理由や図面の縦覧場所を官報等で告示しなければならないとするものです。

※2:第20条とは、「土地を収用し、又は使用することができる公共の利益となる事業」に関する認可のことです。

公共事業として必要な土地を収用に関しては、土地収用法第3条各号(道路や河川、砂防、運河、鉄道、教育・社会施設など35号まで定められている)に掲げられています。

そもそも土地収用法とは、「公共の利益となる事業に必要な土地等の収用又は使用に関し、その要件、手続及び効果並びにこれに伴う損失の補償等について規定し、公共の利益の増進と私有財産との調整を図り、もつて国土の適正且つ合理的な利用に寄与することを目的」としています。

つまり、公共事業において必要となる土地について私人の財産権を公が円滑に取得するためにつくられた法律です。
憲法の下、公共性・公益性がある事業であれば一定の手続きのもと、強制的な土地の取得(収用)が可能となっています。

起業地(きぎょうち)とは、起業者(事業を行う者)が事業を施行する土地、つまり収用する土地のことを指します。

最後に、「明らかに事業に支障を及ぼすような形質の変更」についてですが、許可権者が異なるため、都道府県知事によって最終的な判断は若干異なりますが、建築物や工作物などの設置などは当然認められません。

 

 


■まとめ

いかがでしたか?
重要事項説明の一つである『土地収用法』についての説明でした。
土地収用法第20条の規定に基づく事業の認可があった後においては、都道府県知事の許可を受けなければ、起業地(事業施行地)内において、明らかに事業に支障を及ぼすような形質の変更を行うことができないとする規定です。都市計画道路に位置付けられている場合や河川整備などのケースが考えられますので、都市計画課などで計画決定されている場合には注意してみるようにしてみてください。
調査した結果、売買の対象となる不動産が、事業認定後の起業地に該当する場合には、制限の内容を調査するとともに、不動産の重要事項説明書の「土地収用法」の項目にチェックをつけて、制限内容を説明する必要があります。

このような物件に関しては、物件の仲介業者は購入希望者に対して、その物件がどの「用途地域」に属するかとあわせて、制限についても必ず伝える義務があります。
少しでも疑問がある場合は、事前に担当の部署に確認し法チェックをしておきましょう。
不動産の取引・設計や投資の際には、買主や施主の要望を十分に理解して、リスクを回避するためにも理解をしておく必要がありますね。