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【重要事項説明】新住宅市街地開発法第31・32条(建築義務・権利処分の制限)|制度の概要と課題!?重要事項との関係、対象の地域とその理由!しっかり理解してがっちり土地利用。宅建・土地取引・投資のノウハウ!!

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新住宅市街地開発法とは、人口集中の著しい市街地の周辺の地域において、健全な住宅市街地の開発及び住宅に困窮する国民のための居住環境の良好な住宅地を大量に供給することを目的としたもので、新住宅市街地開発事業について定めたものです。


売買の対象となる新住宅市街地開発法によって整備された箇所に該当する場合には、重要事項説明が必要です。

宅建業法施行令第3条に規定され、調査した結果、売買の対象なる不動産が、地方拠点法に関して指定のある区域等に該当する場合には、制限の内容を調査するとともに、不動産の重要事項説明書の項目にチェックをつけて、制限内容を説明する必要があります。

なんとなくわかっているようで、詳しく説明しようとすると理解できていないものです。

これらを詳細に理解するには、経験と知識が必要です。

しかしながら、どのような規定があるのか概要を理解しておけば、そのような物件に巡り合ったときに気づきが生まれます。

これが重要なのです。

内容を理解しておかないと、買主からの「ここで家が建てれるの!用途や大きさの建築はできるの?」との質問に正確に答えることができません。

この記事では、不動産取引における重要事項説明のうち「新住宅市街地開発法」について解説しています

不動産取引や建築設計において都市計画や建築基準法などの制限を説明する際には正しい根拠とその内容を正確に買主に伝える必要があります。

建築士試験、重要事項説明などにおいて必須の知識となりますので、こちらの記事が参考になれば嬉しいです。

それでは、わかりやすくポイントを絞って解説します。

 

 

 

1 その他法令に基づく重要事項説明事項とは?

法令としては、宅建業法第35条第1項第2号の部分となります。

宅建業法第35条(重要事項の説明等)第1項第二号(抜粋)]

宅地建物取引業者は、宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の相手方若しくは代理を依頼した者又は宅地建物取引業者が行う媒介に係る売買、交換若しくは貸借の各当事者に対して、その者が取得し、又は借りようとしている宅地又は建物に関し、その売買、交換又は貸借の契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面(第五号において図面を必要とするときは、図面)を交付して説明をさせなければならない。

 

二 都市計画法建築基準法その他の法令に基づく制限で契約内容の別(当該契約の目的物が宅地であるか又は建物であるかの別及び当該契約が売買若しくは交換の契約であるか又は貸借の契約であるかの別をいう。)に応じて政令で定めるものに関する事項の概要

 

次に政令ですが、宅建業法施行令第3条となります。次の項では、この第3条について詳しく説明します。

 

都市計画法建築基準法制限一覧は、こちらの記事で解説しています。

 

ossan358.hatenablog.com

 

1-2 都市計画法建築基準法以外のその他の法令に基づく制限

施行令第3条ですが、第1項が「宅地又は建物の貸借の契約以外の契約(売買)」について、第2項が「宅地の貸借の契約」について、第3項が「建物の貸借の契約」について規定されています。

大半が対象外となりますが、この内容を覚えておくことで、少しは重要事項説明漏れを防ぐことができると考えられます。

それでは、この記事ではその他の法令に基づく制限のうち『新住宅市街地開発法』について解説していきます。

 

 

 

2 新住宅市街地開発法とは

新住宅市街地開発法とは、人口集中の著しい市街地の周辺の地域において、健全な住宅市街地の開発及び住宅に困窮する国民のための居住環境の良好な住宅地を大量に供給することを目的としたもので、新住宅市街地開発事業について規定したものです。

特徴としては、地域全体の都市基盤整備を前提に、単なる住宅だけでなく、道路・公園・学校・病院・ショッピングセンター・事業所などを生活する上で全てそろった複合都市機能を持った、本格的なニュータウンづくりであることです。

開発にあたっては、事業区域の土地を全面的に買収し、マスタープラン(計画)に基づいて宅地や公園用地・道路などを造成、その後、公募を原則として住宅の需要者に売却するという方法をとります。大規模になるので、事業の施工者は都道府県・政令市・住宅供給公社・都市再生機構(UR都市機構)のどれかであることが一般的です。

令和4年3月31日現在で、全国42都市、50地区において新住宅市街地開発事業が行われています。東京都の多摩ニュータウン茨城県のつくば研究学園都市なども新住宅市街地開発事業によって建設された例です。

9割以上の事業が昭和の人口拡大の理由に整備されているため、重説対象はほぼありません。

そのため、新住宅市街地開発事業に該当する場合には、いつごろ完了した事業なのかをチェックすれば、説明するべき内容かどうかの判断ができます。

新住宅市街地開発法に基づく『新住宅市街地開発事業』は都市計画決定が必要となります。

 

 

 

3 売買・賃貸の重要事項説明対象条項

新住宅市街地開発法第31条(建築物の建築義務)】

施行者又は第23条第2項の規定により処分計画に定められた信託を引き受けた信託会社等から建築物を建築すべき宅地を譲り受けた者(その承継人を含むものとし、国、地方公共団体地方住宅供給公社、特定信託会社等その他政令*1で定める者を除く。)は、その譲受けの日の翌日から起算して5年以内に、処分計画で定める規模及び用途の建築物を建築しなければならない。

 

新住宅市街地開発法第32条第2項(造成宅地等に関する権利の処分の制限)】

第27条第2項(=事業完了公告)の公告の日の翌日から起算して10年間は、造成宅地等又は造成宅地等である宅地の上に建築された建築物に関する所有権、地上権、質権、使用貸借による権利又は賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利の設定又は移転については、国土交通省令で定めるところにより、当事者が都道府県知事の承認を受けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに掲げる場合は、この限りでない。

一 当事者の一方又は双方が国、地方公共団体地方住宅供給公社その他政令で定める者である場合

二 相続その他の一般承継により当該権利が移転する場合

三 滞納処分、強制執行、担保権の実行としての競売(その例による競売を含む。)又は企業担保権の実行により当該権利が移転する場合

四 土地収用法その他の法律により収用され、又は使用される場合

五 その他政令で定める場合

 

重要事項説明の対象となるのは、新住宅市街地開発法第31条及び第32条第1項になります。

 

新住宅市街地開発法   概要》

第31条(建築物の建築義務)*売買のみ対象

建築物を建築すべき宅地を譲り受けた者(国等を除く。)は、その譲受けの日の翌日から起算して5年以内に、処分計画で定める規模及び用途の建築物を建築しなければならない。

 

第32条第1項(造成宅地等に関する権利の処分の制限) *売買・賃借対象  

工事完了公告の日の翌日から起算して10年間は、造成宅地等又は造成宅地等である宅地の上に建築された建築物に関する所有権や使用貸借権、賃借権等の設定・移転等については、省令で定めるところにより、当事者が都道府県知事の承認を受けなければならない。

 

第31条(建築物の建築義務)については、新住宅市街地開発事業により譲り受けた宅地については、譲り受けた日の翌日から起算して5年以内に建築(計画に定められた規模・用途)しなければならないとするものです。

また、第32条第1項については、新住宅市街地開発事業工事完了公告後10年間は、建築物に関する所有権や賃借権等の移転等に関して都道府県知事の承認を受けなければならないとするものです。

 

 

 

4 重要事項の説明方法

①各市町村の都市計画情報の確認し、取引する土地・建物がニュータウンなどの住宅団地内かどうか確認

②住宅団地内であれば市町村の都市計画情報を確認し、新住宅市街地開発事業の区域かどうか確認

③事業区域内である場合には、事業の完了年月日を確認

*事業完了が取引する年月日の10年以内であれば法第32条第1項の内容を記載し、説明します。

 

通常は、土地・建物取引にあわせて承認申請を行うことになるため、重要事項説明の前に取引双方から書類に必要事項を記載してもらうことなるかと思いますが、取引により取得した者がさらに第三者に転借する可能性もあるため説明します。

 

 

5 土地区画整理事業とどう違う?

新住宅市街地開発事業は、都市計画決定された区域内の土地を全面買収し、道路や公園などの公共施設を整備し、造成した宅地に実際に住宅を建設するか土地のままで販売し、用地費や工事費に充てる事業です。

 

一方、土地区画整理事業は、地権者が公平な負担に基づいて土地を出し合い、その土地を道路や公園などの公共施設用地として活用するとともに、一部を保留地として確保しそれを売却して工事費に充てるといった違いがあります。

 

 

 

■まとめ

いかがでしたか?

重要事項説明の一つである『新住宅市街地開発法第31・32条(建築義務・権利処分の制限)』についての説明でした。

この法律の目的、住宅に困窮する者への住宅地の供給が目的であるため、特別な事情がない限り、他へ譲渡(売却)することはできないことを定めており、転売阻止のための法律ともいえます。

現在は人口が減少していることもあり、大規模なニュータウン開発はあまり行われていません。

新住宅市街地開発事業は良好な住宅街を形成することを目的に都市計画決定され整備が行われており、そのため詳細に土地利用計画が決まっているので、事業者(都道府県)が公表している事業概要や土地利用計画を取引前の事前に確認し、どのような建物用途の制限が行われているか確認する必要があります。

調査した結果、売買の対象となる不動産が新住宅市街地開発法の事業地に該当する場合には、制限の内容を調査するとともに、不動産の重要事項説明書の「新住宅市街地開発法」の項目にチェックをつけて、制限内容を説明する必要しなければなりません。

このような土地に関しては、土地の仲介業者は購入希望者に対して、その土地がどの「用途地域」に属するかとあわせて、制限についても必ず伝える義務があります。

少しでも疑問がある場合は、事前に担当の部署に確認し法チェックをしておきましょう。

不動産の取引・設計や投資の際には、買主や施主の要望を十分に理解して、リスクを回避するためにも理解をしておく必要がありますね。