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【重要事項説明】地方拠点法第21条(促進区域での行為の制限)|制度の概要と課題!?重要事項との関係、対象の地域とその理由!しっかり理解してがっちり土地利用。宅建・土地取引・投資のノウハウ!!

【重要事項説明】地方拠点法第21条(促進区域での行為の制限)|制度の概要と課題!?重要事項との関係、対象の地域とその理由!しっかり理解してがっちり土地利用。宅建・土地取引・投資のノウハウ!!

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地方拠点法とは、地方拠点都市地域の整備および産業業務施設の再配置の促進に関する法律のことです。


売買の対象となる不動産が拠点整備促進区域(拠点業務市街地整備土地区画整理促進区域)に該当する場合には、重要事項説明が必要です。

宅建業法施行令第3条に規定され、調査した結果、売買の対象なる不動産が、地方拠点法に関して指定のある区域等に該当する場合には、制限の内容を調査するとともに、不動産の重要事項説明書の項目にチェックをつけて、制限内容を説明する必要があります。

なんとなくわかっているようで、詳しく説明しようとすると理解できていないものです。

これらを詳細に理解するには、経験と知識が必要です。

しかしながら、どのような規定があるのか概要を理解しておけば、そのような物件に巡り合ったときに気づきが生まれます。

これが重要なのです。

内容を理解しておかないと、買主からの「ここで家が建てれるの!用途や大きさの建築はできるの?」との質問に正確に答えることができません。

この記事では、不動産取引における重要事項説明のうち「地方拠点法」について解説しています

不動産取引や建築設計において都市計画や建築基準法などの制限を説明する際には正しい根拠とその内容を正確に買主に伝える必要があります。

建築士試験、重要事項説明などにおいて必須の知識となりますので、こちらの記事が参考になれば嬉しいです。

それでは、わかりやすくポイントを絞って解説します。

 

 

 

1 その他法令に基づく重要事項説明事項とは?

 


法令としては、宅建業法第35条第1項第2号の部分となります。

宅建業法第35条(重要事項の説明等)第1項第二号(抜粋)]

宅地建物取引業者は、宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の相手方若しくは代理を依頼した者又は宅地建物取引業者が行う媒介に係る売買、交換若しくは貸借の各当事者に対して、その者が取得し、又は借りようとしている宅地又は建物に関し、その売買、交換又は貸借の契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面(第五号において図面を必要とするときは、図面)を交付して説明をさせなければならない。

 

二 都市計画法建築基準法その他の法令に基づく制限で契約内容の別(当該契約の目的物が宅地であるか又は建物であるかの別及び当該契約が売買若しくは交換の契約であるか又は貸借の契約であるかの別をいう。)に応じて政令で定めるものに関する事項の概要

 

次に政令ですが、宅建業法施行令第3条となります。次の項では、この第3条について詳しく説明します。

ossan358.hatenablog.com

 

1-2 都市計画法建築基準法以外のその他の法令に基づく制限

施行令第3条ですが、第1項が「宅地又は建物の貸借の契約以外の契約(売買)」について、第2項が「宅地の貸借の契約」について、第3項が「建物の貸借の契約」について規定されています。

大半が対象外となりますが、この内容を覚えておくことで、少しは重要事項説明漏れを防ぐことができると考えられます。

 

それでは、この記事ではその他の法令に基づく制限のうち『地方拠点都市地域整備法』について解説していきます。

 

 

 

2 地方拠点都市地域整備法の規定

宅建業法施行令第3条第1項第6の3号

地方拠点都市地域の整備及び産業業務施設の再配置の促進に関する法律第21条第1項

 

地方拠点都市地域整備法の重要事項説明については、宅建業法施行令第3条第1項第6の3号に規定されており、説明対象は法第21条第1項になります。

 

2-1地方拠点法の経緯と目的

www.mlit.go.jp

地方拠点法は、地方においては、若年層を中心とした人口減少が再び広がるなど、地方全体の活力の低下が見られる一方で、人口と諸機能の東京圏への一極集中により、過密にともなう大都市問題が更に深刻化するという状況が生じていたことから、地方拠点都市地域(地域社会の中心となる地方都市と周辺の市町村からなる地域)について、都市機能の増進と居住環境の向上を図るための整備を促進し、これにより、地方の自立的な成長を牽引し、地方定住の核となるような地域を育成するとともに、産業業務機能の地方への分散等を進め、産業業務機能の全国的な適正配置を促進することを目的として制定されました。

 

地方拠点都市地域の整備および産業業務施設の再配置の促進に関する法律は、1992(平成4)年制定され、地方拠点都市法や地方拠点法と呼ばれています。

地方は、若年層を中心に人口減少が進んでおり、活力の低下が見られる一方、人口や様々な機能の東京圏への一極集中により、過密にともなう大都市問題が更に深刻化するという状況が生じ、都市と地方の格差が拡大しています。

そこで、地方の中心都市とその周辺市町村を地方拠点都市地域に指定して、都市機能および居住環境の整備を促進し、産業施設の地方への分散移転による再配置を進めることを目的として制定されました。

要は、東京一極集中から地方に人や仕事を分散させて、地方に活力と魅力ある地域づくりを進めるための法律です。

地方拠点都市地域は都道府県知事が指定します。

 

 

 

3 地方拠点法第21条第1項とは

地方拠点法第21条第1項(建築行為等の制限等)

拠点整備促進区域内において土地の形質の変更又は建築物の新築、改築若しくは増築をしようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、都道府県知事(市の区域内にあっては、当該市の長。以下この条及び次条において「都道府県知事等」という。)の許可を受けなければならない。ただし、次に掲げる行為については、この限りでない。

一 通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で政令で定めるもの

二 非常災害のため必要な応急措置として行う行為

三 都市計画事業の施行として行う行為又はこれに準ずる行為として政令で定める行為

 

地方拠点法第21条第1項とは、拠点整備促進区域内において土地の形質の変更や建築物の新築等を行うものは、都道府県知事、市長の許可を受けなければならないとするものです。

 

拠点整備促進区域とは、正式には『拠点業務市街地整備土地区画整理促進区域』とするもので、都市計画法第10条の2第1項第四号に規定される促進区域として都市計画決定されます。

現在(令和2年3月末)のところ2都市のみとなっています。

都市機能と居住環境整備の手段として土地区画整理事業を促進するために、拠点業務市街地整備土地区画整理促進区域(略して拠点整備促進区域)を定めます。

拠点整備促進区域は、地方拠点都市地域内の市街化区域のうち、次の要件を満たす区域で定めます。

  • 良好な拠点業務市街地として一体的に整備・開発される自然的経済的社会的条件を備えている
  • 大部分の土地が建築物の敷地として利用されていない
  • 2ha以上あること
  • 大部分が商業地域内にあること

 

 

 

■まとめ

いかがでしたか?

重要事項説明の一つである『地方拠点法』についての説明でした。

指定されている都市は、呉市(呉駅南拠点整備土地区画整理事業 4.5ha)と坂出市坂出駅南口土地区画整理事業3.6ha)のみです。

両地区ともに事業は終了し、区画整理事業も換地処分が完了しています。

重要事項説明としては、促進区域の指定はあるけど、完了しているので特段の制限はなしということになります。

調査した結果、売買の対象となる不動産が地方拠点法の促進区域に該当する場合には、制限の内容を調査するとともに、不動産の重要事項説明書の「地方拠点法」の項目にチェックをつけて、制限内容を説明する必要しなければなりません。

このような土地に関しては、土地の仲介業者は購入希望者に対して、その土地がどの「用途地域」に属するかとあわせて、制限についても必ず伝える義務があります。

少しでも疑問がある場合は、事前に担当の部署に確認し法チェックをしておきましょう。

不動産の取引・設計や投資の際には、買主や施主の要望を十分に理解して、リスクを回避するためにも理解をしておく必要がありますね。