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【重要事項説明】建築基準法第86条・86条の2(一団地認定)|総合的設計制度・一団地認定・総合設計制度の違い、わかります!?都市計画法との関係、対象の地域とその理由!しっかり理解してがっちり土地利用。宅建・土地取引・投資のノウハウ!!

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こんかいは建築基準法第86条・86条の2(総合的設計制度)についてです。

建築基準法では「原則1つの敷地には1つの建築物しか建築できない」という決まりがありますが、「総合的設計制度」では、総合的にひとつの敷地として複数の建物を建てることができる制度です。

なんとなくわかっているようで、詳しく説明しようとすると理解できていないものです。

これらを詳細に理解するには、経験と知識が必要です。

しかしながら、どのような規定があるのか概要を理解しておけば、そのような物件に巡り合ったときに気づきが生まれます。

これが重要なのです。

内容を理解しておかないと、買主からの「このような用途や大きさの建築はできるの?」との質問に正確に答えることができません。

 

この記事では、不動産取引における重要事項説明のうち「建築基準法第86条・86条の2(総合的設計制度)」について解説しています。

 

不動産取引や建築設計において都市計画や建築基準法の制限を説明する際には正しい根拠とその内容を正確に買主に伝える必要があります。

建築士試験、重要事項説明などにおいて必須の知識となりますので、こちらの記事が参考になれば嬉しいです。

それでは、わかりやすくポイントを絞って解説します。

 

 

 

1 建築基準法における重要事項説明事項とは?

重要事項説明では、宅建業法施行令第3条第1項第2号に掲げる内容を説明する必要があります。

宅建業法施行令第3条第1項第2号(重要事項説明:建築基準法

二 建築基準法第39条第2項、第43条、第43条の2、第44条第1項、第45条第1項、第47条、第48条第1項から第14項まで(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第49条(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第49条の2(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第50条(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第52条第1項から第14項まで、第53条第1項から第8項まで、第53条の2第1項から第3項まで、第54条第55条第1項から第3項まで、第56条第56条の2第57条の2第3項、第57条の4第1項第57条の5第58条第59条第1項及び第2項第59条の2第1項第60条第1項及び第2項第60条の2第1項、第2項、第3項(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)及び第6項第60条の2の2第1項から第3項まで及び第4項(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)第60条の3第1項、第2項及び第3項(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)第61条第67条第1項及び第3項から第7項まで、第68条第1項から第4項まで、第68条の2第1項及び第5項(これらの規定を同法第88条第2項において準用する場合を含む。)第68条の9第75条、第75条の2第5項、第76条の3第5項第86条第1項から第4項まで、第86条の2第1項から第3項まで並びに第86条の8第1項及び第3項

「エッ」と思うぐらい多いですが、このうち都市計画や建築基準法に基づく指定や認可状況、条例などを調査し、該当する事項を説明することになります。

調査方法としては、都市計画課(法)や建築指導課(法)などを担当する窓口にて確認することとなります。

くれぐれも「どれが対象ですか?」などの尋ね方はやめましょう!

対象となる窓口にて確認して内容を理解し、説明が必要な事項を洗い出して整理するのが資格者の責務です。「役所がいったから。」では役割を果たしていません。

 

 

 

2 一団地認定とは

総合的設計制度とは、本来ならばひとつの敷地にひとつの建物を建てなければならないところ、総合的にひとつの敷地として複数の建物を建てることができる制度のことです。

正確には団地の総合的設計制度(一団地認定制度)といいます。

つまり、総合的設計制度と一団地認定制度は同じ制度なのです。

例えば、複数のマンションで一敷地一建築物の原則に従って、それぞれの敷地ごとに、接道義務や斜線制限などの規定を適用してしまうと、小規模なマンションしかできません。

そこで、一団地認定制度を活用し、まとまった土地として整備することで、設計の自由度を高めることで「良好な市街地環境を確保しつつ適切な土地の有効活用を図ること」が一団地認定制度の目的です。

一団地認定されるかどうかの具体的な認定の基準は、特定行政庁(市町村長もしくは都道府県知事)ごとにより異なります。

特定行政庁による認定制度となり、接道義務、容積率、建ぺい率、日影規制などが、同一敷地内にあるものとみなして適用されます、

基本的には、住宅団地系が多く、不動産取引における重要事項説明の対象になっています。

一団地認定基準については、国からの技術的助言をもとに各特定行政庁が基準を設定しているのと、認定箇所も各自治体の窓口で確認できます。

さらに、緩和内容について詳しく知りたい場合には、役所の建築指導課でヒアリングします。

 

ちなみに、総合的設計制度と総合設計制度はよく間違われますが、異なるため注意が必要です。

総合設計制度についてはコチラ>>

ossan358.hatenablog.com

 

 

3 一団地認定により一敷地として適用される規定(特例対象規定)

建築基準法第86条第1項(一の敷地とみなすこと等による制限の緩和)

建築物の敷地又は建築物の敷地以外の土地で2以上のものが一団地を形成している場合において、当該一団地(その内に第8項の規定により現に公告されている他の対象区域があるときは、当該他の対象区域の全部を含むものに限る。以下この項、第6項及び第7項において同じ。)内に建築される1又は2以上の構えを成す建築物(2以上の構えを成すものにあつては、総合的設計によつて建築されるものに限る。以下この項及び第3項において「1又2二以上の建築物」という。)のうち、国土交通省令で定めるところにより、特定行政庁が当該1又は2以上の建築物の位置及び構造が安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めるものに対する第23条、第43条、第52条第1項から第14項まで、第53条第1項若しくは第2項、第54条第1項、第55条第2項、第56条第1項から第4項まで、第6項若しくは第7項、第56条の2第1項から第3項まで、第57条の2、第57条の3第1項から第4項まで、第59条第1項、第59条の2第1項、第60条第1項、第60条の2第1項、第60条の2の2第1項、第60条の3第1項、第61条又は第68条の3第1項から第3項までの規定(次項から第4項までにおいて「特例対象規定」という。)の適用については、当該一団地を当該1又は2以上の建築物の一の敷地とみなす。

 

おさらになりますが、建築基準法第86条の一団地認定とは、一敷地一建築物の原則を緩和し、複数建築物を一つの建築物・敷地とするための制度のことです。

一団の敷地内に複数の建築物を総合的によって建築する場合、特定行政庁によってその各建築物の位置および構造が、安全上、防火上および衛生上支障がないと認められれば、この特例の対象となる容積率、建ぺい率、高さの制限等の規定については、これらの建築物は同一敷地内にあるものとみなされるということです。

特定の要件を備えている場合には、特例として建築基準法第86条「ひとつの敷地とみなすこと等による制限の緩和」ができ、第1項に一団地の総合的設計制度、第2項に連担建築物設計制度が定められています。

第1項:一団地認定(新規建築物に対する認定)

第2項:連単建築物(既存建築物に対する認定)

 

《一団地認定における一敷地とみなす規定対象》

  • 延焼の恐れのある部分の外壁の防火構造:第23条
  • 接道義務:第43条
  • 容積率第:52条第1〜14項
  • 建蔽率第:53条第1・2項
  • 外壁後退(一種低層・二種低層・田住):第54条第1項
  • 絶対高さ制限(一種低層・二種低層・田住)特例認定(10m→12m):第55条第2項
  • 道路・隣地・北側斜線制限:第56条第1〜4項、第6・7項
  • 日影規制:第56条の2第1〜3項
  • 特例容積率適用地区内の容積率特例:第57条の2
  • 特例容積率適用地区内の容積率特例(指定取り消し):第57条の3第1〜4項
  • 高度利用地区:第59条第1項
  • 敷地内に広い空地を有する建築物の容積率等の特例:第59条の2第1項
  • 特定街区:第60条第1項    
  • 都市再生特別地区:第60条の2第1項
  • 居住環境向上用途誘導地区:第60条の2の2第1項
  • 特定用途誘導地区:第60条の3第1項
  • 防火・準防火地域内の建築物:第61条
  • 地区計画(再開発等促進区、沿道再開発等促進区)、(容積率建蔽率・絶対高さ制限)特定行政庁の認定緩和:第68条の3第1〜3項

 

 

 

4 まとめ

いかがでしたか?

一団地認定制度は、大規模な建築の際に有効な制度となっています。

しかし、社会情勢の変化とともにいつの間にか認定要件を満たさない一団地が散見されるようになっています。

平成30年には、国土交通省から「建築基準法第 86 条第1項等に基づく一団地認定の特定行政庁による職権取消しのためのガイドライン」が公表され、一団地認定自体の存続が妥当ではないケースがより一層増えたことに対し特定行政庁が柔軟に対応できるようになっています。

取引説明する場合には、特定行政庁による認定内容を確認したり、場合によっては現時点で適法となっているのか建築士に依頼する必要もあります。

また、不動産業者の方や建築士の方は、取引等でこの地区に入っている場合には、忘れずに確認して、クライアントに説明できるようにしておくことが必要です。

思い込みはやめてきちんと窓口などで内容を確認することも必要です。

土地の仲介業者は購入希望者に対して、その土地がどの「用途地域」に属するかとあわせて、建築物への制限についても必ず伝える義務があります。

少しでも疑問がある場合は、事前に建築確認の部署(機関)に確認し法チェックをしておきましょう。

不動産の取引・設計や投資の際には、買主や施主の要望を十分に理解して、リスクを回避するためにも理解をしておく必要がありますね。