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【重要事項説明】建築基準法第61条(防火地域・準防火地域)|分かっているようで意外と難しい!?都市計画法との関係、対象の地域とその理由!しっかり理解してがっちり土地利用。宅建・土地取引・投資のノウハウ!!

このブログは、まちづくりや都市計画、不動産の取引や投資に関して役立つ情報をつぶやくOSSAN(オッサン)のブログです。良かったらブックマークを活用いただき、業務や調べごとの時に活用してくれると励みになります。

こんかいは建築基準法第61条(防火地域・準防火地域)についてです。


防火地域・準防火地域とは、火災の被害が起きやすい地域、そして火災を防ぐために予防しなければならない地域です。

なんとなくわかっているようで、詳しく説明しようとすると理解できていないものです。

これらを詳細に理解するには、経験と知識が必要です。

しかしながら、どのような規定があるのか概要を理解しておけば、そのような物件に巡り合ったときに気づきが生まれます。

これが重要なのです。

内容を理解しておかないと、買主からの「このような用途や大きさの建築はできるの?」との質問に正確に答えることができません。

不動産取引や建築設計において都市計画や建築基準法の制限を説明する際には正しい根拠とその内容を正確に買主に伝える必要があります。

建築士試験、重要事項説明などにおいて必須の知識となりますので、こちらの記事が参考になれば嬉しいです。

それでは、わかりやすくポイントを絞って解説します。

 

 

 

1 建築基準法における重要事項説明事項とは?

重要事項説明では、宅建業法施行令第3条第1項第2号に掲げる内容を説明する必要があります。

宅建業法施行令第3条第1項第2号(重要事項説明:建築基準法

二 建築基準法第39条第2項、第43条、第43条の2、第44条第1項、第45条第1項、第47条、第48条第1項から第14項まで(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第49条(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第49条の2(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第50条(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第52条第1項から第14項まで、第53条第1項から第8項まで、第53条の2第1項から第3項まで、第54条第55条第1項から第3項まで、第56条第56条の2第57条の2第3項、第57条の4第1項第57条の5第58条第59条第1項及び第2項第59条の2第1項第60条第1項及び第2項第60条の2第1項、第2項、第3項(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)及び第6項第60条の2の2第1項から第3項まで及び第4項(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)第60条の3第1項、第2項及び第3項(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)第61条、第67条第1項及び第3項から第7項まで、第68条第1項から第4項まで、第68条の2第1項及び第5項(これらの規定を同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第68条の9、第75条、第75条の2第5項、第76条の3第5項、第86条第1項から第4項まで、第86条の2第1項から第3項まで並びに第86条の8第1項及び第3項

「エッ」と思うぐらい多いですが、このうち都市計画や建築基準法に基づく指定や認可状況、条例などを調査し、該当する事項を説明することになります。

調査方法としては、都市計画課(法)や建築指導課(法)などを担当する窓口にて確認することとなります。

くれぐれも「どれが対象ですか?」などの尋ね方はやめましょう!

対象となる窓口にて確認して内容を理解し、説明が必要な事項を洗い出して整理するのが資格者の責務です。「役所がいったから。」では役割を果たしていません。

 

 

 

2 準防火・防火地域とは

準防火・防火地域は、規模等による建築物の耐火建築物等を要求する基準と、屋根や外壁等に関する構造の基準を定めています。

指定は、都市計画審議会を経て都市計画決定されます。

建築物の耐火建築物等を要求する基準と、屋根や外壁等に関する構造の基準を定めていますので、不動産調査で見落とすと、設計に大きく影響してしまいます。

しっかりとして確認が必要です。

 

なお、同じような防火に関する記事で法第22条(屋根不燃)があります。

関する記事は、こちらを参考ください。

ossan358.hatenablog.com

 

2-1 都市計画法による規定

都市計画法第9条第21項

防火地域又は準防火地域は、市街地における火災の危険を防除するため定める地域とする。

住宅などの建物が密集している地域が準防火地域に指定されます。

まさに、火災の被害が起きやすい地域、そして火災を防ぐために予防しなければならない地域が防火地域に、そしてその周辺が準防火地域に指定されます。


一番、制限が厳しい防火地域を囲むように指定されるのが準防火地域で、さらにその周りが法22条指定区域になることが多いです。

主に、主要な駅の市街地や住宅密集市街地、幹線道路沿いなどに指定されています。

都市計画決定されると、建築基準法で規定するそれぞれの条文が効力を発揮します。

自治体の都市計画図や窓口で調査ができます。

 

2-2 建築基準法による規定

建築基準法第61条(防火地域及び準防火地域内の建築物)]

防火地域又は準防火地域内にある建築物は、その外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に防火戸その他の政令で定める防火設備を設け、かつ、壁、柱、床その他の建築物の部分及び当該防火設備を通常の火災による周囲への延焼を防止するためにこれらに必要とされる性能に関して防火地域及び準防火地域の別並びに建築物の規模に応じて政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならない。ただし、門又は塀で、高さ2m以下のもの又は準防火地域内にある建築物(木造建築物等を除く。)に附属するものについては、この限りでない。

 

建築基準法第136条の2(防火地域又は準防火地域内の建築物の壁、柱、床その他の部分及び防火設備の性能に関する技術的基準)]

法第61条の政令で定める技術的基準は、次の各号に掲げる建築物の区分に応じ、それぞれ当該各号に定めるものとする。

一 防火地域内にある建築物で階数が3以上のもの若しくは延べ面積が100㎡を超えるもの又は準防火地域内にある建築物で地階を除く階数が4以上のもの若しくは延べ面積が1,500㎡を超えるもの 次のイ又はロのいずれかに掲げる基準

イ 主要構造部が第107条各号又は第108条の3第1項第一号イ及びロに掲げる基準に適合し、かつ、外壁開口部設備(外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に設ける防火設備をいう。以下この条において同じ。)が第109条の2に規定する基準に適合するものであること。ただし、準防火地域内にある建築物で法第86条の4各号のいずれかに該当するものの外壁開口部設備については、この限りでない。

ロ 当該建築物の主要構造部、防火設備及び消火設備の構造に応じて算出した延焼防止時間(建築物が通常の火災による周囲への延焼を防止することができる時間をいう。以下この条において同じ。)が、当該建築物の主要構造部及び外壁開口部設備(以下このロ及び次号ロにおいて「主要構造部等」という。)がイに掲げる基準に適合すると仮定した場合における当該主要構造部等の構造に応じて算出した延焼防止時間以上であること。

二 防火地域内にある建築物のうち階数が2以下で延べ面積が100㎡以下のもの又は準防火地域内にある建築物のうち地階を除く階数が3で延べ面積が1,500㎡以下のもの若しくは地階を除く階数が2以下で延べ面積が500㎡を超え1,500㎡以下のもの 次のイ又はロのいずれかに掲げる基準

イ 主要構造部が第107条の2各号又は第109条の3第一号若しくは第二号に掲げる基準に適合し、かつ、外壁開口部設備が前号イに掲げる基準(外壁開口部設備に係る部分に限る。)に適合するものであること。

ロ 当該建築物の主要構造部、防火設備及び消火設備の構造に応じて算出した延焼防止時間が、当該建築物の主要構造部等がイに掲げる基準に適合すると仮定した場合における当該主要構造部等の構造に応じて算出した延焼防止時間以上であること。

三 準防火地域内にある建築物のうち地階を除く階数が2以下で延べ面積が500㎡以下のもの(木造建築物等に限る。) 次のイ又はロのいずれかに掲げる基準

イ 外壁及び軒裏で延焼のおそれのある部分が第108条各号に掲げる基準に適合し、かつ、外壁開口部設備に建築物の周囲において発生する通常の火災による火熱が加えられた場合に、当該外壁開口部設備が加熱開始後20分間当該加熱面以外の面(屋内に面するものに限る。)に火炎を出さないものであること。ただし、法第86条の4各号のいずれかに該当する建築物の外壁開口部設備については、この限りでない。

ロ 当該建築物の主要構造部、防火設備及び消火設備の構造に応じて算出した延焼防止時間が、当該建築物の外壁及び軒裏で延焼のおそれのある部分並びに外壁開口部設備(以下このロにおいて「特定外壁部分等」という。)がイに掲げる基準に適合すると仮定した場合における当該特定外壁部分等の構造に応じて算出した延焼防止時間以上であること。

四 準防火地域内にある建築物のうち地階を除く階数が2以下で延べ面積が500㎡以下のもの(木造建築物等を除く。) 次のイ又はロのいずれかに掲げる基準

イ 外壁開口部設備が前号イに掲げる基準(外壁開口部設備に係る部分に限る。)に適合するものであること。

ロ 当該建築物の主要構造部、防火設備及び消火設備の構造に応じて算出した延焼防止時間が、当該建築物の外壁開口部設備がイに掲げる基準に適合すると仮定した場合における当該外壁開口部設備の構造に応じて算出した延焼防止時間以上であること。

五 高さ2mを超える門又は塀で、防火地域内にある建築物に附属するもの又は準防火地域内にある木造建築物等に附属するもの 延焼防止上支障のない構造であること。

 

詳しくは政令に記載されています。

政令の概要をめとめるとこんな感じです。

 

《施行令第136条の2(概要)》

【一号】

・防火地域内で3階以上、または延べ面積が100㎡を超えるもの。

・準防火地域内で4階以上、または延べ面積が1,500㎡を超えるもの。

👉耐火構造、外壁開口部(延焼の恐れがある部分)を防火設備等

 

【二号】

・防火地域内で2階以下かつ延べ面積が100㎡以下のもの。

・準防火地域内で3階以下(地階を除く)かつ延べ面積が1,500㎡以下のもの。

・準防火地域内で2階以下(地階を除く)かつ延べ面積が500㎡を超え1,500㎡以下のもの。

👉準耐火構造、外壁開口部(延焼の恐れがある部分)を防火設備等

 

【三号】

・準防火地域内の木造建築物等で2階以下(地階を除く)かつ延べ面積が500㎡以下のもの。

👉外壁・軒裏(延焼の恐れがある部分)を防火構造、外壁開口部(延焼の恐れがある部分)を防火設備等

 

【四号】

・準防火地域内の木造建築物等以外で2階以下(地階を除く)かつ延べ面積が500㎡以下のもの。

👉外壁開口部(延焼の恐れがある部分)を防火設備等

 

【五号】

・高さ2mを超える門または塀等(防火地域内の建築物に附属、準防火地域内の木造建築物等に附属)

👉延焼防止上支障のない構造(令和元年国交省告示第194号)

 

防火地域内の建物は、延べ床面積(階ごとの面積を足した面積)が100㎡以下の小規模なものを除き、耐火建築物にしなければなりません。

準防火地域は普通、防火地域の外側の地域に指定されるため、防火地域よりも制限は緩やかになっています。準防火地域内の建物は、規模に応じて防火措置を施した建築物にし、防火性能を高めて延焼の抑制を図っています。

 

 

 

3 耐火建築物・準耐火建築物とは

3-1 耐火建築物とは

火災が起きても周囲に燃え広がらず、倒壊してしまうほどの変形や損傷が起きないような建物です。つまり、鉄筋コンクリート造や耐火被覆(火災の熱から守るために、耐火や断熱性の高い材料で覆うこと)した鉄骨造が耐火建築物にあたります。これら鉄筋コンクリート造など、規定の耐火性能を有するものを耐火構造といいます。また、火が燃え広がる部分(延焼のおそれがある部分)である外壁の開口部(玄関ドア・窓・換気扇など)に防火設備(防火戸となる網入りガラスなど)を設置します。

開口部となる扉や窓は重要で、閉鎖することによって、燃え広がったり燃え移る火災を相当な時間止めておくことができます。このような延焼を遮断・防止できる鉄製の扉や網入りガラスの窓のことを防火戸といいます。

 

3-2準耐火建築物とは

主要構造部(防火の観点から建物を建築する際に骨格となる、壁・柱・床・梁・屋根または階段のことを指し、構造的に建築物を支えている部分を指す「構造耐力上主要な部分」とは異なります)を耐火建築物の構造に準じた耐火性能にした建物です。耐火建築物ではダメだった木造でも、主要構造部を耐火被覆することにより準耐火建築物になります(もちろん、鉄筋コンクリート造や鉄骨造でも大丈夫です)。木造のように耐火構造以外の構造で、耐火構造に準ずる規定の耐火性能を有するものを準耐火構造といいます。

また、耐火建築物と同じように、火が燃え広がる部分(延焼のおそれがある部分)である外壁の開口部(玄関ドア・窓・換気扇など)に防火設備(防火戸など)を設置します。

 

 

 

4 区域が内外にわたる場合

区域が地域の内外にわたる場合は、厳しい方の規定が採用されます。

・防火地域+準防火地域 → 防火地域が適用

・防火地域+防火・準防火地域外 → 防火地域が適用

・準防火地域+防火・準防火地域外 → 準防火地域が適用

※防火壁により区画されている場合は緩和。

 

 

 

5 各構造について

5-1 屋根の構造について

建築基準法第62条(屋根)]

防火地域又は準防火地域内の建築物の屋根の構造は、市街地における火災を想定した火の粉による建築物の火災の発生を防止するために屋根に必要とされる性能に関して建築物の構造及び用途の区分に応じて政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならない。

 

防火地域又は準防火地域内の建築物の屋根は、「市街地における火災を想定した火の粉による建築物の火災を発生を防止」する性能が求められます。

具合的には、技術的基準(令第136条の2の2)に適合するもので、告示構造(H12建告1365)又は大臣認定品の使用が求められます。

 

5-2 外壁の開口部について

防火地域又は準防火地域内の建築物で、延焼のおそれのある部分の外壁の開口部は、「防火戸その他の政令で定める防火設備(準遮炎性能)」の性能がもとめられます。

具合的には、技術的基準(令第136条の2の3)に適合するもので、告示構造(H27国交告257)又は大臣認定品の使用が求められます。

 

5-3 耐火構造の外壁は、隣地境界線に接して設けることが可能

建築基準法第63条(隣地境界線に接する外壁)]

防火地域又は準防火地域内にある建築物で、外壁が耐火構造のものについては、その外壁を隣地境界線に接して設けることができる。

防火地域又は準防火地域内における建築物で、外壁が耐火構造であれば、隣地境界線に接して設けることが可能です。

 

5-4 看板等への防火措置

建築基準法第64条(看板等の防火措置)]

防火地域内にある看板、広告塔、装飾塔その他これらに類する工作物で、建築物の屋上に設けるもの又は高さ3mを超えるものは、その主要な部分を不燃材料で造り、又は覆わなければならない。

防火地域内において、屋上に設ける看板等、又は、高さ3mを超える看板等は、主要な部分を不燃材料で造るか、不燃材料で覆う必要があります。

※看板等:看板、広告塔、装飾塔等の工作物

 

 

 

6 耐火建築物・準耐火建築物であれば火災保険が安くなる

耐火建築物や準耐火建築物であった場合、燃えにくい材料で建てるため、一般的な建築費より高くなりますが、その分、火災保険が安くなります。

ただし注意が必要なのは、安くなる条件は「耐火建築物」「準耐火建築物」「省令準耐火建物」のいずれの記載があることが必要です。

準防火地域だからといって必ず安くなるわけではありませんので注意が必要です。

また、「耐火建築物」と「耐火構造」は異なります。

具体的には、建築確認申請書(第四面)【5.耐火建築物等】欄に「耐火建築物」「耐火構造建築物」「準耐火建築物」「特定避難時間倒壊等防止建築物」に該当する記載が必要です。

 

 

 

7 まとめ

いかがでしたか?

準防火・防火地域については、火災の被害が起きやすい地域、そして火災を防ぐために予防しなければならない地域です。

どの自治体でも指定の可能性があるものですが、場合によっては、都市計画図をインターネットや電話で確認するだけではわかりにくい場合も多いようです。

思い込みはやめてきちんと窓口などで内容を確認することも必要です。

土地の仲介業者は購入希望者に対して、その土地がどの「用途地域」に属するかとあわせて、建築物への制限についても必ず伝える義務があります。

少しでも疑問がある場合は、事前に建築確認の部署(機関)に確認し法チェックをしておきましょう。

不動産の取引・設計や投資の際には、買主や施主の要望を十分に理解して、リスクを回避するためにも理解をしておく必要がありますね。