このブログは、まちづくりや都市計画、不動産の取引や投資に関して役立つ情報をつぶやくOSSAN(オッサン)のブログです。良かったらブックマークを活用いただき、業務や調べごとの時に活用してくれると励みになります。
こんかいは建築基準法第55条(第一種低層住居専用地域等内における建築物の高さの限度)についてです。
建築物の高さの制限とは、絶対高さ制限ともいい低層住宅の良好な住環境を守る地域に、建物の高さに制限する規定です。
これらを詳細に理解するには、経験と知識が必要です。
しかしながら、どのような規定があるのか概要を理解しておけば、そのような物件に巡り合ったときに気づきが生まれます。
これが重要なのです。
内容を理解しておかないと、買主からの「このような用途や大きさの建築はできるの?」との質問に正確に答えることができません。
不動産取引や建築設計において都市計画や建築基準法の制限を説明する際には正しい根拠とその内容を正確に買主に伝える必要があります。
建築士試験、重要事項説明などにおいて必須の知識となりますので、こちらの記事が参考になれば嬉しいです。
それでは、わかりやすくポイントを絞って解説します。
1 建築基準法における重要事項説明事項とは?
重要事項説明では、宅建業法施行令第3条第1項第2号に掲げる内容を説明する必要があります。
宅建業法施行令第3条第1項第2号(重要事項説明:建築基準法)
二 建築基準法第39条第2項、第43条、第43条の2、第44条第1項、第45条第1項、第47条、第48条第1項から第14項まで(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第49条(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第49条の2(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第50条(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第52条第1項から第14項まで、第53条第1項から第8項まで、第53条の2第1項から第3項まで、第54条、第55条第1項から第3項まで、第56条、第56条の2、第57条の2第3項、第57条の4第1項、第57条の5、第58条、第59条第1項及び第2項、第59条の2第1項、第60条第1項及び第2項、第60条の2第1項、第2項、第3項(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)及び第6項、第60条の2の2第1項から第3項まで及び第4項(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第60条の3第1項、第2項及び第3項(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第61条、第67条第1項及び第3項から第7項まで、第68条第1項から第4項まで、第68条の2第1項及び第5項(これらの規定を同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第68条の9、第75条、第75条の2第5項、第76条の3第5項、第86条第1項から第4項まで、第86条の2第1項から第3項まで並びに第86条の8第1項及び第3項
「エッ」と思うぐらい多いですが、このうち都市計画や建築基準法に基づく指定や認可状況、条例などを調査し、該当する事項を説明することになります。
調査方法としては、都市計画課(法)や建築指導課(法)などを担当する窓口にて確認することとなります。
くれぐれも「どれが対象ですか?」などの尋ね方はやめましょう!
対象となる窓口にて確認して内容を理解し、説明が必要な事項を洗い出して整理するのが資格者の責務です。「役所がいったから。」では役割を果たしていません。
2 建築物の高さの制限(絶対高さ制限)とは
(第一種低層住居専用地域等内における建築物の高さの限度)
第五十五条 第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域又は田園住居地域内においては、建築物の高さは、十メートル又は十二メートルのうち当該地域に関する都市計画において定められた建築物の高さの限度を超えてはならない。
2 前項の都市計画において建築物の高さの限度が十メートルと定められた第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域又は田園住居地域内においては、その敷地内に政令で定める空地を有し、かつ、その敷地面積が政令で定める規模以上である建築物であつて、特定行政庁が低層住宅に係る良好な住居の環境を害するおそれがないと認めるものの高さの限度は、同項の規定にかかわらず、十二メートルとする。
3 前二項の規定は、次の各号の一に該当する建築物については、適用しない。
一 その敷地の周囲に広い公園、広場、道路その他の空地を有する建築物であつて、低層住宅に係る良好な住居の環境を害するおそれがないと認めて特定行政庁が許可したもの
二 学校その他の建築物であつて、その用途によつてやむを得ないと認めて特定行政庁が許可したもの
4 第四十四条第二項の規定は、前項各号の規定による許可をする場合に準用する。
絶対高さ制限とは、低層住宅の良好な住環境を守る第1種低層住居専用地域と第2種低層住居専用地域と田園住居地域内では、高さが10mまたは12m以上の建物は建てられない制限です。
これら3つの用途地域については、建築物の高さの限度の他、隣地境界線から外壁までの距離を定める外壁後退、建築物の敷地の面積の最低限度といった低層住宅地の住環境を保護するための制限を定めることが可能とされている地域です。
低層住宅地の住環境を守る観点からも、日照や通風と関係する建築物の高さについては一定の限度を設けることを目的としています。
3 高さの限度の値
[建築物の高さ:施行令第2条第1項第6号]
六 建築物の高さ 地盤面からの高さによる。ただし、次のイ、ロ又はハのいずれかに該当する場合においては、それぞれイ、ロ又はハに定めるところによる。
イ (略)
ロ 法第33条及び法第56条第1項第三号に規定する高さ並びに法第57条の4第1項、法第58条及び法第60条の3第2項に規定する高さ(北側の前面道路又は隣地との関係についての建築物の各部分の高さの最高限度が定められている場合におけるその高さに限る。)を算定する場合を除き、階段室、昇降機塔、装飾塔、物見塔、屋窓その他これらに類する建築物の屋上部分の水平投影面積の合計が当該建築物の建築面積の8分の1以内の場合においては、その部分の高さは、12m(法第55条第1項及び第2項、法第56条の2第4項、法第59条の2第1項(法第55条第1項に係る部分に限る。)並びに法別表第4(ろ)欄2の項、3の項及び4の項ロの場合には、5m)までは、当該建築物の高さに算入しない。
ハ (略)
高さの限度ですが、都市計画において定められます。
高さの限度が定められると、建築物の高さは、都市計画で定められた10mまたは12mを超えてはならないとされます。なお、建築物の高さとは、地盤面からの高さとなりますが、建築面積の8分の1以内の階段室、昇降機塔、装飾塔、物見塔などは5m以内であれば高さに算入することが可能となっています。
4 絶対高さ制限の緩和の要件
4-1 特定行政庁の認可
[施行令第130条の10(第一種低層住居専用地域等内における建築物の高さの制限の緩和に係る敷地内の空地等)]
法第55条第2項の規定により政令で定める空地は、法第53条の規定により建蔽率の最高限度が定められている場合においては、当該空地の面積の敷地面積に対する割合が1から当該最高限度を減じた数値に10分の1を加えた数値以上であるものとし、同条の規定により建蔽率の最高限度が定められていない場合においては、当該空地の面積の敷地面積に対する割合が10分の1以上であるものとする。
2 法第55条第2項の規定により政令で定める規模は、1,500㎡とする。ただし、特定行政庁は、街区の形状、宅地の規模その他土地の状況によりこれによることが不適当であると認める場合においては、規則で、750㎡以上1,500㎡未満の範囲内で、その規模を別に定めることができる。
第2項に定められていて、空地及び敷地面積が政令で定める基準に該当するものであって、特定行政庁が認定するものが対象です。
緩和される高さとしては、最大で2m(10m→12m)となります。では、政令ですが、施行令第130条の10に規定されています。
緩和を受けるには特定行政庁の認定が必要となるので、建築計画の前から認定基準を確認しておく必要があります。
4-2 特定行政庁による許可
先の認定とは異なり、次のいずれかに該当し、特定行政庁が許可すれば12mを超えて建築する事が可能です(法55条第3項)。
- その敷地の周囲に広い公園、広場、道路その他の空地を有する建築物であつて、低層住宅に係る良好な住居の環境を害するおそれがないと認めて特定行政庁が許可したもの
- 学校その他の建築物であつて、その用途によつてやむを得ないと認めて特定行政庁が許可したもの
なお、この許可受けるには、許可の前に建築審査会の同意を得る必要があります。
この許可ですが、既存不適格建築物の場合において、増築する場合などが対象となるくらいです。
5 絶対高さ制限と最高高さ制限の違い
高度地区の最高高さ制限とは異なることに注意が必要です。絶対高さ制限は、戸建エリアに高い建物を建てないことを意図して、建物の高さが10mまたは12mに制限されます。
これに対し、最高高さ制限は、第1種低層住居専用地域と第2種低層住居専用地域、田園住居地域に限らず、他の用途地域においても指定され、高さの最高限度を定める理由として、日照や採光、通風を確保することがあげられます。
高度地区についてはコチラ>>
6 まとめ
いかがでしたか?
土地の仲介業者は購入希望者に対して、その土地がどの「用途地域」に属するかとあわせて、建築物への制限についても必ず伝える義務があります。
それをきちんと理解できていないまま販売してしまうと「そもそも建物が建てられないことが後から分かった」なんてことにも・・・。
少しでも疑問がある場合は、事前に建築確認の部署(機関)に確認し法チェックをしておきましょう。
一概にホームページのパンフレットだけでは読み解けない部分もあるため、きちんと窓口などで内容を確認することが必要です。
不動産の取引 ・設計や投資の際には、買主や施主の要望を十分に理解して、リスクを回避するためにも理解をしておく必要がありますね。