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【重要事項説明】建築基準法第54条|外壁後退のある住宅地は住環境バツグン!民法との関係は?しっかり理解してがっちり土地利用。宅建・土地取引・投資のノウハウ!!

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こんかいは建築基準法第54条(第一種低層住居専用地域等内における外壁の後退距離)についてです。

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外壁後退とは、低層住宅の良好な住環境を守る第1種低層住居専用地域・第2種低層住居専用地域・田園住居地域において、建物の外壁と敷地境界線までの距離を制限する規定です。

これらを詳細に理解するには、経験と知識が必要です。

しかしながら、どのような規定があるのか概要を理解しておけば、そのような物件に巡り合ったときに気づきが生まれます。

これが重要なのです。

内容を理解しておかないと、買主からの「このような用途や大きさの建築はできるの?」との質問に正確に答えることができません。

不動産取引や建築設計において都市計画や建築基準法の制限を説明する際には正しい根拠とその内容を正確に買主に伝える必要があります。

建築士試験、重要事項説明などにおいて必須の知識となりますので、こちらの記事が参考になれば嬉しいです。

それでは、わかりやすくポイントを絞って解説します。

 

 

 

1 建築基準法における重要事項説明事項とは?

重要事項説明では、宅建業法施行令第3条第1項第2号に掲げる内容を説明する必要があります。

宅建業法施行令第3条第1項第2号(重要事項説明:建築基準法

二 建築基準法第39条第2項、第43条、第43条の2、第44条第1項、第45条第1項、第47条、第48条第1項から第14項まで(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第49条(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第49条の2(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第50条(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第52条第1項から第14項まで、第53条第1項から第8項まで、第53条の2第1項から第3項まで、第54条、第55条第1項から第3項まで、第56条、第56条の2、第57条の2第3項、第57条の4第1項、第57条の5、第58条、第59条第1項及び第2項、第59条の2第1項、第60条第1項及び第2項、第60条の2第1項、第2項、第3項(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)及び第6項、第60条の2の2第1項から第3項まで及び第4項(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第60条の3第1項、第2項及び第3項(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第61条、第67条第1項及び第3項から第7項まで、第68条第1項から第4項まで、第68条の2第1項及び第5項(これらの規定を同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第68条の9、第75条、第75条の2第5項、第76条の3第5項、第86条第1項から第4項まで、第86条の2第1項から第3項まで並びに第86条の8第1項及び第3項

「エッ」と思うぐらい多いですが、このうち都市計画や建築基準法に基づく指定や認可状況、条例などを調査し、該当する事項を説明することになります。

調査方法としては、都市計画課(法)や建築指導課(法)などを担当する窓口にて確認することとなります。

くれぐれも「どれが対象ですか?」などの尋ね方はやめましょう!

対象となる窓口にて確認して内容を理解し、説明が必要な事項を洗い出して整理するのが資格者の責務です。「役所がいったから。」では役割を果たしていません。

 

 

 

2 外壁後退とは(建築基準法第54条第1項・第2項)

建築基準法第54条(第一種低層住居専用地域等内における外壁の後退距離)

第54条 第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域又は田園住居地域内においては、建築物の外壁又はこれに代わる柱の面から敷地境界線までの距離(以下この条及び第86条の六第1項において「外壁の後退距離」という。)は、当該地域に関する都市計画において外壁の後退距離の限度が定められた場合においては、政令で定める場合を除き、当該限度以上でなければならない。

2 前項の都市計画において外壁の後退距離の限度を定める場合においては、その限度は、1.5m又は1mとする。

外壁後退とは、低層住宅の良好な住環境を守る第1種低層住居専用地域・第2種低層住居専用地域・田園住居地域にて、建物の外壁と敷地境界線までの距離を1.5mまたは1mに制限する規定です。

敷地境界線には道路境界線と隣地境界線がありますが、全ての境界線からの後退が必要ということになります。

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これにより、建物が敷地いっぱいに建つことによる圧迫感・密集感が生じず、建物と建物の間に一定の空間ができ、日照・通風・防火機能を確保することで良好な住宅街区を形成する目的があります。

また、別途地区計画や建築協定風致地区などによって外壁後退が定められている場合もあります。

後退距離は、外壁・柱の外面からの敷地境界線までの垂線距離のことをいいます。

なお、壁面線と外壁後退は別物です。詳しくはこちらの記事をご覧ください。

ossan358.hatenablog.com

 

 

 

3 調査方法

敷地境界線(道路側境界線と隣地側境界線)は、各々で1.5mもしくは1mかで異なる区域もあるため、都市計画図や自治体の窓口で確認しましょう。

また、外壁後退の制限がある地域で中古物件を取り扱う場合は、建物が後退済みかどうか建物図面や建築計画概要書を参考にしながら、現地での確認も重要です。

 

4 外壁後退の緩和措置を受けることができる?

建築基準法施行令第135条の22(外壁の後退距離に対する制限の緩和)]

法第54条第1項の規定により政令で定める場合は、当該地域に関する都市計画において定められた外壁の後退距離の限度に満たない距離にある建築物又は建築物の部分が次の各号のいずれかに該当する場合とする。

一 外壁又はこれに代わる柱の中心線の長さの合計が3m以下であること。

二 物置その他これに類する用途に供し、軒の高さが2.3m以下で、かつ、床面積の合計が5㎡以内であること。

次の条件を満たす場合は、外壁後退の緩和措置を受けることができます。

  • 後退ラインからはみ出す部分の外壁中心線から周囲の長さが3m以下であること
  • 物置等で、軒の高さが2.3m以下、かつ外壁後退線よりはみ出す部分の床面積が5㎡以下であること

出窓や戸袋・外部バルコニーなどは、外壁とみなされる場合とみなされない場合のケースがあるため、必ず自治体や審査機関に事前に相談しておきましょう。

 

 

 

5 民法では?

(境界線付近の建築の制限)

第234条 建物を築造するには、境界線から50㎝以上の距離を保たなければならない。

2 前項の規定に違反して建築をしようとする者があるときは、隣地の所有者は、その建築を中止させ、又は変更させることができる。ただし、建築に着手した時から1年を経過し、又はその建物が完成した後は、損害賠償の請求のみをすることができる。

 

第235条 境界線から1m未満の距離において他人の宅地を見通すことのできる窓又は縁側(ベランダを含む。次項において同じ。)を設ける者は、目隠しを付けなければならない。

2 前項の距離は、窓又は縁側の最も隣地に近い点から垂直線によって境界線に至るまでを測定して算出する。

 

民法第234条・235条にて、敷地境界線からの離隔距離は50㎝以上距離を確保することと規定されています。

また、境界線からの距離を1m未満とする場合には、窓等で目隠しをつけるよう規定されています。

民法では、“敷地境界線からの距離”ですが、建築基準法では“全ての境界線からの距離”となっているため、隣地境界線のみならず道路境界線も対象となります。

 

 

 

6 外壁後退距離が足りないと!?

よく外壁後退距離を指定された数値ギリギリで設計して、実際の工事で監理が不十分で外壁後退距離がたりなくなってしまった(違反)という事例を聞きます。

この場合には、違反物件となりますので、隣地の土地を借りるか買うかして違反を解消するか、減築などをして是正するしかありません。

建築基準法に違反するとローンも降りなければ資産価値も減少します。

良好な住宅を確保する地域にある物件ですので、ある程度余裕を持った計画とすることが必要です。

 

 

 

7 まとめ

いかがでしたか?

土地の仲介業者は購入希望者に対して、その土地がどの「用途地域」に属するかとあわせて、建築物への制限についても必ず伝える義務があります。

それをきちんと理解できていないまま販売してしまうと「そもそも建物が建てられないことが後から分かった」なんてことにも・・・。

少しでも疑問がある場合は、事前に建築確認の部署(機関)に確認し法チェックをしておきましょう。

一概にホームページのパンフレットだけでは読み解けない部分もあるため、きちんと窓口などで内容を確認することが必要です。

不動産の取引・設計や投資の際には、買主や施主の要望を十分に理解して、リスクを回避するためにも理解をしておく必要がありますね。